胡屋について
胡屋について
胡屋(えびすや)は広島県で最も古い造酒屋であり,創業は慶長8年 (1603)と伝えられています。300年以上にわたり日本酒の酒造業を営んできた全国でも有数の老舗でしたが,戦後の機械化・大規模化に対応できず,昭和47年(1972)には酒造業から撤退, 平成7年(1995)には酒販店としても閉店し,その歴史に幕をおろしました。
胡屋の店内には少しだけカビのにおいが残ります。これは,酒造りに利用していた麹(こうじ)菌によるものです。酒造りは半世紀前に辞めていますが,建物には今なおその菌(カビ)が住み続けています。また店内には当時酒の販売に使用していた徳利を多数展示しています。
胡屋の家屋は長い歴史の中で増改築が重ねられ,今残っている建物も部分ごとに建てられた時代が異なっています。特に古い部分は江戸時代に建てられており,店内に展示している江戸時代に書かれた家相図(家の間取りで吉凶を占うために書かれたもの)の間取りと一致します。
料理を彩る器の多くは胡屋の家屋に遺された,100年以上も前に購入されたもの,または実際に使用されていたものです。お膳は「緑漆塗り膳」で,明治9年(1876)に購入した記録が残っています。現代の感覚からすると,いずれも小ぶりサイズですが,往時に思いを馳せてお楽しみください。