竹送りについて

奈良の東大寺二月堂において、毎年3月1日から14日間修二会「お水取り」が行われます。

「お水取り」は、別名「お松明」とも言い、天平勝宝4年(西暦752年)に、実忠和尚によってはじめられ、現在まで一度も途絶えることなく、毎年続けられています。「お松明」はその名のとおり松明を持って、二月堂の舞台を駆け抜ける儀式です。

その松明に使われる竹は、お水取りの時期が近い頃に、山城地方をはじめ高山や月ヶ瀬方面で、奈良に通じる街道筋に寄進竹を置いておくと、その他の品物と共に信者や村人たちが順番に運んでいました。しかし、いつしかこうした風習は消えてしまいました。

 昭和50年頃、田辺町(現在の京田辺市)の老人クラブが町内の伝説や昔話を集録したなかに、「二月堂の竹」の話があり、  田辺町からもたくさんの真竹という種類の寄進竹が送り出させていたことがわかりました。

 また、昭和53年頃、近畿一円は60年に一度という花枯病によって、真竹が一本残らずなくなっていまい、二月堂では 四国、九州まで竹を調達に行かれ、大変苦労されているということでした。

そんな折、「昔使われていたような、立派な真竹があれば、我々が交代で二月堂まで運んでいくのに」という方がいらっしゃいました。その話を聞いた人が、「私の住んでいる地域に、立派な真竹が生えているから、一度持ち主にきいてあげよう」と持ち主に連絡を取られました。竹の持ち主の方は、「そんな有名な行事に使っていただけるのであれば、喜んで寄進しましょう」とおっしゃってくださり、竹送りの行事が40年ぶりに復活することとなったのです。

それ以来、我々山城松明講社員が中心となり、たくさんの参加していただいてる皆さんの手によって、二月堂へ寄進竹をお届けしています。