山と川、そして土のつながり

私は30年以上、リバーカヤックで全国の川を下ってきました。その中で、山と川の景色が密接につながっていることを漠然と感じていました。そんな折、カヤック仲間から誘われて参加した講座で、土の中の水や空気の流れについて深く知る機会を得ました。それが地表の環境や植物に大きく影響することを知った時、これまで見えなかった山と川のつながりが、はっきりと見えてきたのです。

土と対話する楽しさ

土に穴や溝を掘るという、ごくシンプルな作業が、土地の環境を劇的に変えることがあります。例えば、ぐずぐずと湿っていた場所が、水はけの良い快適な空間に変わっていく様子を目の当たりにするのは、本当に面白い体験です。この感動を多くの人と分かち合いたいという思いから、現在は体験会や講座を通じてお伝えしています。

長年の経験が活きる指導

土の中の環境を理解する上で難しいのは、「土地の読み取り方」と「川にならう」という点です。メグル水講座では、私がリバーカヤックで培ってきた「水の動きを読む」技術や「流れを作るにはどうするか」という視点を中心に、これらの概念を分かりやすくレクチャーしています。

私自身、多摩川のリバーカヤックスクール「グラビティ」で30年近くにわたり、川の水の動きを教えてきました。地形や岩の配置から、どこに強い流れがあるのか、水がどんな動きをするのかを言葉にして伝える経験を積んできました。

コンクリートで覆い固めたり、重機で地面を締め固めたりすることなく、スコップひとつで小さな穴を掘るだけでも環境は変わっていきます。この楽しさを、ぜひ多くの方に知ってほしいと願っています。

私たちの最終的な目標は、「メグル水学」が小学校の教科書に載ること。子どもたちが自然と共生する知恵を学ぶ未来を目指しています。