赤潮について

皆さんは、海が赤く、あるいは茶色く見えたりした経験はありませんか?それは、赤潮かもしれません。

紅茶は、溶存している物質の色のせいで、綺麗な赤色に見えますが、赤潮は、紅茶のような溶存物質のせいではありません。また、泥や砂などの「つぶつぶ」あるいは粒状物質が、赤かったり茶色く見えるわけでもありません。赤潮は、主に植物プランクトンが濃密に集まって、あのように赤く、あるいは茶色く、見えるのです。肉眼では見えないような小さな生き物が集まって、あのように見えます。


赤潮は、「海水中で微小な生物(主に植物プランクト ン)が異常に増殖して,そのために海水の色が変わる現象」とされています。


海水(外洋の綺麗な海水をイメージしてください)には、N(窒素)やP(リン)はほとんど溶けていませんが、河川水には沢山溶けています。生活排水にも、もっと沢山溶けています。沿岸域、特に閉鎖性の高い内湾では、窒素やリンを豊富に含んだ河川水や生活排水が流れ込むので、それに含まれる窒素やリンを使って、植物プランクトンが増えます。赤潮の実体はそのようにして増えたプランクトンなのです。


植物プランクトンが増えすぎると何が問題になるでしょうか?

1つは、増えた植物プランクトンの種によっては、魚や貝を殺すことがあります。養殖している魚や貝が大量に死んでしまうことで経済的に悪影響を及ぼすことがあります。

2つ目に、増えた植物プランクトンが動物プランクトンに食べられたり、死んで微生物による分解を受ける時に酸素を消費します。植物プランクトンが多いと消費する酸素も多いので、海底付近の海面から酸素の供給が届きにくい所では、酸素が減ってしまいます。それによって、海底付近に暮らす、生き物(貝など)が死んでしまうことがあります。

3つ目に、直接他の生き物を殺したりしなくても、匂いを発する時があります。植物プランクトンそのものの匂いもありますし、死んで分解された時に匂うこともあります。

4つ目に、見た目が良くないことがあります。赤潮を見ると、綺麗だなあ、と思う人はおおくないのではないでしょうか。むしろ汚いなあと思う人の方が多いかもしれません。そうすると赤潮は景観を悪化させていることにもなります。