ゲームソフト販売サイト「ゲームショップ1983」様に掲載委託をしていたインタビュー記事の再掲記事です。
個人サイトに掲載している都合上、ゲーム内スクリーンショットを貼ることができないエコノミー版となっております。
ご了承くださいませ。
※インタビュー文面の著作権はサイト作成者にあります。
■システム面について
――1.敵の行動範囲を固定表示した状態で別の敵にカーソルを合わせてしまうと、固定表示が解除されてしまうのが不便です。
吉田:不便ですよね。私もそう思いますので修正致します。
――2.到達マップが新たに登場しましたが、
次回作以降にもこのような特殊な条件を達成するマップが登場する予定はあるのでしょうか。
シミュレーションゲーム的には面白い試みだったので、できれば他にもネタを見てみたいです。
吉田:シナリオの展開上、到達マップは必須でした。
基本的にはシナリオが完成した後に戦闘パートを作るので必要であれば追加していきたいと思っています。
――沈尹戌前半のステージはターン経過、全滅or一定数撃破だとつじつまが合いませんね。
相手が強国だからこそ敵将に的を絞らないといけないという話なので。
――3.今回、難攻不落三国伝以来となる追加マップがありましたが、
最後のマップは悲鳴を挙げたくなるほど厳しかったです。
吉田:申し訳ありません。マスター前日に……
吉田:なんか追加MAP作ればよかったね。
スタッフ:今からやればいいんじゃないですか?
どれくらいで作れます?
吉田:バランス未調整だったら……2時間あれば……
スタッフ:やりましょう!!
吉田:本気で!?ちょっと待って!!
プログラマに確認する!
(頼む……無理って言って欲しい……ほんと寝てないんだよ……)
プログラマ:組み込むだけでしょ?余裕です。
システムそのままならバグは出ませんからw
吉田:……
吉田:そして構成1時間、バランス調整1時間の追加MAP4つが完成しました。
難易度は私が10回チャレンジして6回成功するくらいの難易度です。
そして……孫ピン貴様だけはのステージで田文を出すのを忘れました……
深夜作業&マスター直前に新たになんかするもんじゃないって思いました。
――このツイートにはそんな裏があったのですね…。
まさかこの仕様提案が、昨年夏に公開された
VITA「雷子 紺碧の章」がPSNトロフィー世界ランカーの手を焼いた!(→ブログ「絶対SIMPLE主義」より)
この記事で語られた騒動の引き金になったとは思いませんでした…。
――4.『白騎馬』が今回、限られた場面にしか出ない兵科となりましたが
時代設定による変更でしょうか?それともゲームバランス調整のためでしょうか?
その分、様々な意味で印象に残るユニットになりましたが……。
吉田:白騎馬は出しても良かったのですが、バランスブレイカーなので今作は限定させて頂きました。
シミュレーションが得意なのであれば使い方も分かると思うのですが
分からない人からみると……直ぐに星になる兵科ですので……
――前作の白騎馬は上手に使えば強かったのですが、無鉄砲に使うとプレイヤー側で
コントロールできなくなる兵科なので、その辺のバランスが難しかったと思いますね。
――5.前作でもそうでしたが、戦闘マップ上のカーソルは何故スライドパッド操作にも対応させているのでしょうか。
マス目を選ぶ確実性を高める意味で十字キーに留めた方が良いように感じているのですが。
吉田:特に意味はなかったのですが……操作性はもう少し考慮させて頂きます。
――6.混戦時になると特にユニットのHP・敵味方の判別などのしにくさが目立つのですが…
吉田:改善したいと思います。
――火計の時もユニットが行方不明になりますよね。
敵ならそのまま放置して燃え尽きてもらうのですが…。
――7.戦闘スキップを行うと、シミュレーションパート途中に起こる会話イベントが
飛んでしまうので、イベントシーンは自動挿入されるようにしてほしい。
吉田:ここはプログラマと相談させて頂きます。
――8.スタッフロールのコメントが読めるように、一時停止機能が欲しいです。
吉田:速読の練習には……なりませんよね……別途考えさせて頂きます!
――河内さん(プログラマー)が今回も攻めてて笑いました。
次回作もコーナーギリギリを攻める感じになりそうなので楽しみです。
――9.開発者さんの最低クリアレベルの表示が欲しい(または、知りたい)です。
吉田:機会があればご報告したいと思います。
――10.雷子PC版をスチームではなくフリーゲームサイトで配信した理由は何でしょうか。
吉田:ふりーむにアップした理由は、少しでも多くの方に触れて頂きたいと思ったからです。
スチームで販売するにはあまりにも操作性に難があることを知っていたのとローカライズが必須になるからです。
■紺碧の章のストーリーについて
――1.雷子紺碧の章のテーマは「愛」と「復讐」ですか?
吉田:申し訳ありません。『復讐』一本です。
月森:俺は「愛」と「復讐」でも間違ってないと思うよ。ただそれは認識のズレが発生してるわけじゃなくて、
ここでいう「愛」はその言葉が持つ純粋なイメージとはだいぶ離れたところまで行ってしまってると言う意味。
それこそ「愛」と「復讐」の意味が重なるほど非常に近い場所まで行ってるから、
そういう意味では吉田が「復讐」一本と言い切るのも納得。
――2.寿夢の末子・季札が神徒に身を落とす前日譚はありますか?
吉田:ここは描くべきだったと思っています。機会があればやりたいですね。
――主にプレイヤー側の行動が元で、季札の心が擦り切れていった末に 神徒化したようですが…タイミング的には、夫概が討たれたあたりでしょうか?
――3.闔閭が王座に就いた途端に宝剣をほしがるのは史実通りでしょうか。
吉田:史実通りです。
――シナリオ中で闔閭が「宝剣が欲しい」と言い出したのは、夫概に窘められるのも仕方なしの唐突ぶりでしたが、
「呉越春秋闔閭内伝」でも城郭が整った直後に剣がほしいなーと言い出しててびっくりしました。
――4.申包胥は秦の援軍を取りつけ楚の滅亡を防ぎ、昭王の下を去ったところで描写が終わっていますが、
彼のみトゥルーエンドを迎えたということでしょうか?
吉田:申包胥のみトゥルーエンドを迎えたと思って下さい。
彼をその後の話に出さなかったのは楚が呉や越との絡みがあったのかどうかわからなかったからです。
オリジナルで描いても良かったのですが、呉越の中に楚を入れるにはちょっと強引な気がしました。
――5.スタッフロールの端々でもトラウマのように語られていたカブトムシのサブエピソード、
あれもいわゆる「(アイデアが)降ってきた」ネタでしょうか。
吉田:(アイデアが)降ってきました。
――幼虫を使わず成虫をすりつぶしてる辺り時代の最先端を走ってますよね。
悪食さんが拳を振りかざすのもやむなしです。
――6.紺編ラストチャプターで孫ピンと鄒忌の戦いが長引いた場合、伍子胥が乱入してくることはあるのでしょうか。
その場合、伍子胥は神徒側に着き孫ピンと対するのでしょうか?
吉田:伍子胥と孫ピンが会うことはありませんが、もし仮に会ってしまったら戦う事になるでしょう。
共に最愛の人を失い大事な身体の一部を失った者です。
――7.風杏が無差別に殺していた対象は人攫いの一味ということでしょうか。
吉田:人攫いの一味です。ですがホウ涓はその事実を他人には言いませんでした。
それは鄒忌に自分が人攫いの連中を狙っていることを知られたくなかったからです。
――8.風杏が拉致に遭い、鄒忌の下から逃げ出すまでの間、鞭打ち以上の酷い目に遭っているとしか思えない(何が起きたかは省かれてる)のですがどうなのでしょうか。
吉田:ここを表現したらCEROが通らないので省きました。
ご想像にお任せしますが、呉編の序盤に孫武と風杏が話している会話である程度分かっていただけるかと。
設定上はそういうことです。
――設定上なのでCERO上ではセーフですね。
――9.以前のツイートにあった、「シナリオを書いてた時にもっとも胃にきた部分」って何処だったのでしょうか。
やはり終盤でしょうか。
吉田:正直、一番辛かったのは莫耶の最期です。
――干将・莫耶の最期は、おおよそ史実通りなんですよね…。
絶望的な敵(伍子胥・邪鬼)が迫る中、どうにか逃げ切ったあとのIFも見てみたかったです。
――10.製作時に当たって参考にした資料は何ですか?
お薦めのものとかがあるのなら是非、教えて頂きたいです。
吉田:李志清 (著) の『孫子の兵法』をお奨めします。
沈尹戌の記録って本当に少なくてこの漫画があったことで大幅にシナリオが助かりました。
ちなみに鬼谷子がいつの時代の人なのかは未だにハッキリとわかりません。
春秋時代の人であるのは間違いないと思うのですが……
――春秋・戦国時代の書物は少しずつ読んでいますが、沈尹戌の記述は本当に少ないですね。
googleで沈尹戌で検索すると紺碧の章が引っかかるレベルでしたし…。
――11.越編で、史実モノであるという前提をひっくり返す一言がありました。
雷子1・于吉役の佐々木義人さんが
「現存する正史さえ、編纂という言葉通り、何者かの意図が介在します。
雷子の三国時代が”物語”などと誰が証明できるのでしょう…」と言っていましたがまさにその通りで。
雷子の面白さはこの一言にあると感じました。
吉田:佐々木さん凄いですよね。一度、お話したことがありますがまたお話ししたい方です。
――12.「鈍色の花束」という心を抉る曲名を考えたのは誰ですか?
吉田:トウ艾です。
――トウ艾さん仕事しすぎです!
――13.鈍色の花束の正体に気付いた瞬間、プレイヤーへ最大の心理ダメージが入ったと思います。
吉田:秀逸な歌詞ですよね。
月森:こういった楽曲の「仕掛け」は何度も使えないですからね。
話的にも紺碧のストーリーだからこそ活きる手法ですし、まぁ今回だけかなw
――孫武と伍子胥の歌詞だと思っていた時期も私にはありました……。
――14.五帝の時間跳躍の範囲、女カや邪鬼の影響下だとどの時代まで行けるのでしょうか。
吉田:後々分かることになります。
湯の現代イベントの有無は、ちょっと未定です。
――かつては現代で回転寿司を堪能できたようですが…。
湯の現代トリップ歴は、サブシナリオのシナリオフックになりそうですね。
――15.西施が孔丘(とその周囲)に目を付けられてはいけないと忠告していましたが、
女カに対して儒教は致命的に相性がよくない、信仰心をうすめられるものということなのでしょうか。
吉田:4作目で明らかになります。
――三国時代以前の人物の中で、中華世界への影響力が強い人物の一人ですからね。
本人が登場するかも含めてお楽しみですね。
――16.神徒となった伍子胥は呉・越を恐怖政治で支配するようですが、
史実ではその後楚に滅ぼされることになっていますがどうなるのでしょうか。
楚漢戦争編でその後の一端を語られるのでしょうか?
吉田:3作目で答えが待っています。
――不老不死を得たにも関わらず、雷子では歳を重ねていましたからね。
その辺りの変化も注目したいところです。
※当ページ作成時に追記:少し歳を重ねた伍子胥は3作目に登場します。とある「雷子に登場済の人物」と邂逅し、そして・・・。
――17.雷子1の「于吉」の中身は伍子胥の時と大きく変化があったりするでしょうか。
もし仮に中身が当時の伍子胥のままで、周瑜が筋肉女だったらどういう結末になるかが気になります。
吉田:周瑜が筋肉女でも、伍子胥は何処までも霊姑孚に一途な気持ちを持ったままです。
ですが筋肉女が大好きな性癖は治りませんでした。
――18.今作から五帝の湯・舜が味方側として参戦しましたが、楚漢戦争編に登場する五帝は
1作目に登場したコクでしょうか?
吉田:3作目はコクは参戦します。後は……
――19.干将・莫耶が遺した「みけんじゃく」と宝剣は楚漢戦争編以降に再登場しますか?
吉田:4作目で登場します。
――前作質疑応答にあった「武器の概念」としてでしょうか?
■紺碧の章の登場人物について
――1.今作・紺碧の章で好きなキャラクターは誰でしょうか。
吉田:個人的には伯ヒが好きです。
伯ヒは現代の考えでは良識のある人ですが当時では越の物語上、愚臣と表現されています。
伯ヒは呉越の物語の都合上、愚か者・裏切り者となっていますが伍子胥の方がよっぽと非道だと思います。
伍子胥と伯ヒは育ちが違ったことから交じり合うことのない道を進んでいったと思っています。
――私も、伯ヒのキャラ付けは素晴らしいと思いました。
楚から寝返って味方ユニットとして使えたのが(史実を知らないプレイヤーは特に)驚きです。
伍子胥は国事的にはマトモな発言をしているはずなのですが、
現代と価値観が違うばかりに、プレイヤーによっては伍子胥よりも伯ヒの方に肯ける場面もあったと思います。
伍子胥が汚れ役を全て身に受けて国事に勤める役人なのに対して、
伯ヒはやたらと人間味あふれるキャラクターというか。結局佞臣として処刑されましたが……。
吉田:すべては勝てば官軍負ければ族ってことですね。
――2.序盤は色々な意味で頼りがいがあった夫概のキャラは、のちの展開を意識してのものだったのでしょうか。
吉田:初めの設定では夫概は愚弟で描こうかと思いましたが、オリジナリティに欠けるのと、
伍子胥の鬼畜度を高めるために、雷子の中では珍しく常識のある人物になりました。
――3.夫差の描写が暗愚寄りで、斉を討とうと出撃し会盟を開こうとするくだりがカットされていますが、
どういった意図があったのか気になります。確かにバカ息子ですが…
吉田:夫差の会盟をすっ飛ばしたのは、雷子で会盟の盟主となることの凄さを表現出来ないからです。
描けば中途半端になっていたと思います。
――4.越編序章からアクセル全開の文種さんのキャラ付けはいったいどういうことなのでしょう…。
おかげで越編の掴みはバッチリでした。
吉田:呉編から一気に敵側の越編に移る為、みんなに『愛されるキャラ』にしたかったのです。
――対立する勢力にプレイヤー視点が移る場合、対立勢力のキャラを好きになれないと
辛いですからね…。直前が闔閭の死で〆られてたので尚更です。
――5.春秋時代を調べてもさっぱり資料が出てこない沈尹戌と鬼谷子のキャラ付けが凄まじいと思います。
とくに沈尹戌はまさかの曹仁枠(かっこいいアホ)だったのが意外で意外で…
でも終盤の漢らしさが色々な意味で引っ張っていってくれたと思います。
吉田:本当は鬼谷子はシナリオを書き始めたころはモブ中のモブだったんです。
ですが物語を進めていくうえでこれ程便利なキャラはいないとなり、今の鬼谷子さんが完成しました。
――鬼谷子さんは雷子1にいそうでいなかったタイプのキャラですよね。
沈尹戌のやりとりなんかは、湯と舜が一部始終を見守るジジババ化するのも仕方なしですね。
――6.霊姑孚を肌黒にするのは英断だったと思います。
それによって乙女な中身とのギャップがさらに際立ったかと。
吉田:乙女ですよねー。
月森:でしょ?ありがとうございます。
――作中の対抗馬が8歳ですしね。
――7.西施の広島弁は誰の監修でしょうか?
吉田:西施は元々は関西弁でしたが、声優さんが広島の方だったので急きょ、広島弁に変更になりました。
――8.田文の立ち絵の表現は、最初から構想していたものですか?
吉田:田文の構想は最初からのものです。史実と逆にしました。
――9.女カ陣営(季札、伍子胥)のカラーモチーフは白ですか?
吉田:そんなことはありません。
――陣営ごとに決まった配色があるようなので(魏→黒 斉→青白 秦→黄)
全身まっしろな神徒組は白なのかと思っていました。
■紺碧の章の楽曲について
■鈍色の花束
――孫武と伍子胥が交わす「呉を大国に仕立てて民が安心して暮らす地にしよう」
そんな約束の曲……だと思ってたのですがサントラを聴いて印象がひっくり返りました。
なんですかこれ!?
2番の詞が孫ピン・ホウ涓のエピソードなのはすぐに気付けるのですが、
「降り注ぐ鈍色の花束」の意味を反芻して気付いた時の絶望感といったら……。
「天壌無窮に自問自答の弓(あめ)」もよくよく見ると深い詞だと思います。
月森:わかりやすく言えば、劇中のOPがワンコーラスしかない事を逆手に取った仕掛けです。
一見孫武と伍子胥のストーリーのような顔つきで、終わってみて残る感覚は始めの印象と違うところにある。
その感覚を楽曲でもやってみた感じです。
ちなみにまさに鈍色の花束という言葉らへんあの一連の印象深い所ですが、歌録り当日までメロディが決まらず…
その場で「もういいや、決まってないけど歌うわ!」つって何も考えず歌ってその場で生まれた物ですw
■大禍刻
――紺碧の章の目玉シーン、ダークサイド堕ち伍子胥がいよいよ
プレイヤーに牙を剥くという場面で流れるのが印象的です。
太刀打ちできないから逃走するしかない。そんな絶望感に満ちたシーンの曲ですが、
聞いてみると後半の歌詞(「打ち起こせ震える鏃~明日を照らし出す篝火」)自体は
暗いものではないんですよね。前半は超中華級の復讐者が爆誕してる感じですけど…。
月森:そこまでちゃんと見ていただいてありがとうございますw
吉田:絶望感いっぱいの曲ですよね。
月森:この曲はとにかく絶対的な絶望感をテーマにして、楽曲チーム各々の絶望を詰め込んだ感じです。
もう絶対無理じゃんって絶望感を味わってくれたら、大成功です。
■流蛍の糸
――闔閭の崩御で呉編は幕を閉じ、夫差に越への復讐を誓わせて越編へ……
泣き伏せる夫差の背を見つめながら静かに佇む伍子胥こそが「僕(やつがれ)」なのでしょうか。
スタッフロールでlily-anさんが「闔閭の為に歌います」と一言添えていたのが印象に残りました。
そのとおり、闔閭の鎮魂歌といっても差し支えなさそうです。
月森:まさに鎮魂歌です。わかりにくい言葉をあえて使っているのは、
「死」というイメージはわかりやすいようで実は人によって、思想によって少しつづ大きく違うんだろうなと。
なのでストレートではない言葉を使う事で具体的なのに具体的じゃない事を言いたかったんです。
■ヒガンノハナ
――伯ヒこんにゃろう!だいたい伯ヒのせい。
……それはともかく、霊姑孚の死が引き金となって取り返しのつかない事態となりました。
愛で動くタイプの復讐者にその仕打ちをしたら、そりゃ伍子胥さんこうなりますわ…。
五帝・沈尹戌一行を追いかけ回した後、むしろ開き直った伍子胥といったイメージを抱きました。
歌詞自体はダークサイド化直後だと思うのですが、
ダークサイド直後の恐怖感は「大禍刻」がさんざん煽ってくれましたので……。
〆の「遠くで未来が泣いた」は雷子・呉編への繋がりを意識させます。
一部の詞に、別の漢字に置き換えても意味がつながる言葉遊びの意匠を感じました。
(一振りの権→剣、悲願→彼岸、悲眼、この血→地)
月森:この曲実は個人的に紺碧で1番好きな曲です。
個人的にというのは、アーティストとしてこの曲欲しいって思った曲です。本当すげーかっこいい。
ライブとかでやりたい。持ち曲で欲しい。まぁ持ち曲なんだけどもw
■嵐刃-Raijin-
――この戦場で復讐者として力を振るう孫ピンの胸の内を、ありったけ曝け出しているイメージです。
馬陵の戦い(ホウ涓が討たれる章)も運命のステージですが、鈍色の花束が(あとで)散々に心抉ってくれるので
あそこでボーカル曲が流れないのは納得ができます。終盤で断罪するべきはホウ涓より鄒忌なので。
「もし時間を遡ることができたら。女カの計画を止めたら悲劇を避けることができるのか?」
風杏を救えなかった後悔を抱え、風杏を救う道を捨てて神との対峙に臨む。
不可逆な運命への復讐と、切り拓くべき未来のために戦う孫ピンの叫びで締める最後の戦闘曲と感じました。
吉田:最初、月森君に歌詞の一部分で「奪われた風」と出したのですが
月森君が『ここは絶対に「奪った風」の方が強く表現できる』と言ったのでそうなりました。
月森:そんな小さい事よくおぼえてるなw
まぁそこを説明すると長くなるので控えますが、この曲は珍しく比較的原詩に忠実な書き方をテーマにしてましたね。
曲を通してやりたかった事は「やりやがったなてめーぶっ殺すぞ」みたいな感情ですw
■見ることのない笑顔
――日常の中でかつて交わした約束が、絶望に囚われた風杏のひとすじの希望だった。
戦場で拾われ、孫武の隣で過ごした日々のたいせつな記憶。
時を経た後、孫武が約束を覚えていると信じて、その手を伸ばした先にあったものが……
鄒忌によって歪められていなければ、奇跡で済んだ物語だったのですが。
「茜色に染まる空と大河に映る影戯」という詞が、大河を擁する呉のイメージに繋がりました。
この部分、とても風流でいい表現だと感じました。
月森:自分でも「茜色に染まる空と大河に映る影戯」という部分が好きです。
というか、この部分の歌詞は1番始めに頭に浮かんだ部分です。
呉という国の何でもない日のとある夕暮れ、この当たり前で普通の幸せを俺なりに表現した歌詞です。