棒を遣った「格闘」が始まった歴史は先史以前に遡るものでしょうが、現在に続く「杖術」としての開祖は江戸時代初期の夢想権之助であると伝わっています。ここでは杖道について特徴を概説します。
「突かば槍 払えば薙刀 持たば太刀 杖はかくにもはずれざりけり」
「傷つけず 人を懲らして戒むる 教えは杖の外にやはある」
杖道は白樫の丸棒を操って剣と戦う武道です。杖の特質から以下のような大きな特徴があります。
・丸い直棒:上記の古歌にあるように突き・払い・打ちという動作をあらゆる方向へ行うことができます。槍、薙刀、太刀を統合したものが杖術です。
・四尺二寸一分:128cmの長さは大人が両腕を広げたときに、その両端を両手の内に収めることができます。杖はその体勢から突き・払い・打ちのいずれの動作も瞬時に繰り出すことができる、極めて強力な武器なのです。
・両面性:杖は急所を攻めれば一撃必殺の武器となりますが、他方で鋭利な刃や切っ先を持たないため、上記の古歌に謳われるように致命傷や重傷を負わせることなく相手を制圧することができます。杖道は人を慈しみ活かす武道であると言えます。