「何故ここに先生がいるんだ……?」
見間違いようがない。あの特徴的な人物は、間違いなく俺たち一年C組の担任、堀河先生だ。
俺たちがじっと見つめすぎたせいか、先生は視線を感じたようでふいとこちらを向く。そして、俺たちに気づいたようだった。
「あら~、偶然ですね~、五十嵐さん、雨宮君、望月君に、アリスさん、こんばんは~」
「こんばんは、先生!」
威勢よく五十嵐が返事をする。やはり先生に間違いなかった。
「それにしても、あと三日で学年末テストですが、勉強は捗っていますか~?」
「「「うっ」」」
俺と同時に、もっちーとアリスが声を出す。
こんな時でも容赦ねぇな……。流石高校教師である。
「大丈夫でしょ! よゆーです!」
「あら~五十嵐さんは大丈夫そうですね~」
五十嵐は、バッチグー! と言わんばかりに親指を立てた。
「そ、それにしても、先生は何故パーティーに参加しているんですか?」
「もちろん、招待状を貰ったからですよ~」
先生は紙を出してひらひらと振る。確かに水無瀬の招待状だ。
「水無瀬、先生にも招待状を出したのか……。他の先生もいるんですか?」
「うーん、それは無いと思いますよ」
「? どういうことですか?」
もっちーの疑問を、先生は即座に否定で返した。
「水無瀬さんは、先生を学校の先生として招待したのではないからですよ~」
「……なるほど?」
もっちーは分かったような分かっていないような曖昧な反応をする。五十嵐に関しては、頭の上にクエスチョンマークが大量に浮かんでいる。
グイッと俺の袖を引っ張って、アリスが小声で聞いてくる。
「……ちょっと、どういうこと?」
「あーっと、水無瀬は、堀河先生を学校の先生だから、という理由で招待していない、っていうことだ。つまり、堀河先生と水無瀬の間に、先生と生徒という関係だけじゃなくて、もっと別の関係があるっていうことだと思うぞ」
「……ふーん」
アリスも納得したのかしていないのかよく分からない反応をする。
ともかく、先生と水無瀬の間に他の関係があるっていうことだよな……。友達とか? いやいや、普通こんな年の離れた友達っているのか?。
ならば近所のお姉さんポジションだろうか? アニメや漫画に出てくる年上の幼馴染的なアレだ。まあ確かにないことはないだろうが……。
いやそうじゃない、最も可能性が高いのは他にある。それは……。
「ま~あまり言うべきではないんでしょうけど、実は水無瀬さんの従姉なんですよ~」
「「「「ええええ⁉」」」」
やはり、水無瀬の親戚だった。