十数分後、五十嵐は雪に埋もれつつ、どうにか隣のトト■像を壊し終えた。
そいて、除雪した雪をどんどん俺の家の前に移していく。もちろん、俺も雪かき用のシャベルを持って手伝う。
作業開始から三十分。ようやく、もともと俺の家の前に積もっていた雪は、家の前庭の一角に全て集めることができた。
「あー、終わったー……」
「じゃあ、シャベル片付けてくるね」
「おう、ありがと」
俺は雪かきシャベルを片手に家の中に入って行く五十嵐を見送りつつ、上に遮蔽物のある玄関ポーチの段差に腰掛ける。
あー、疲れた……。未だに雪が降り続いているくらい寒いというのに、びっしょり汗をかいてしまった。シャツが濡れてものすごく不快だ。
それに、除雪してから三十分も経ったからか、あれだけ綺麗に除雪されていた自宅前が、再びうっすらと白みを帯び始めていた。少しマシになったとはいえ、これじゃあまた繰り返しだ。これだから雪の時は憂鬱になるんだよな……。
「はぁ……」
「そんなに落ち込んでどうしたの?」
ちょうど玄関から再び出てきた五十嵐が声を掛けてくる。
「……また雪かきをしなきゃいけないのか、って思うとな」
「大丈夫だよ、わたしが全部やるから!」
五十嵐が胸をドンと叩く。
それは心強いんだが、五十嵐一人にやらせるのもなんだかなぁ、という気持ちだ。
あー、これじゃあ雪が降り終わるまで延々と同じ思考回路を辿ることになってしまうじゃないか!
自分自身までにも嫌気がさしてきたその時だった。
「えい!」
「ばふっ!」
うぎゃー! 突然顔面にものすごく冷たい感覚が! それは口の中にもちょっとだけ入って来て、キンキンに冷えた感覚をもたらす。同様に冷たいものがマフラーの隙間から首へと侵入してきた!
雪か⁉ でもポーチにいる以上、上から雪が落ちてきたという可能性は無い! ならば……。
「当たったー!」
「お前か!」
慌てて雪を払って、雪が飛んできた方向を見ると、そこには集めた雪の前で俺を見て笑っている五十嵐。お前が雪玉を投げつけてきたのかよ! 冷てーなおい!
しかも、俺が落ち込んでいる間に用意したのか、五十嵐はポンポンと雪玉を次々と投げつけてくる。
ちょっちょ…‥ちょっと待てよ! 俺は顔への直撃を避けるために、腕で頭をガードする。
このままやられっぱなしではいられない。なんとかして五十嵐に一矢報いたい!
俺は飛来してくる雪玉をやり過ごしつつ、地面にうっすらと積もりつつある雪をかき集めて小さい雪玉を作る。そして、少し手加減しつつ五十嵐の方へと投げる。
「とりゃー!」
「きゃー! やったなー!」
倍返しとばかりにポンポンポンポンと雪玉が投げつけられてきた。ほぼノーラグで次々とだ。
いったいどうやって雪玉を作っているんだ五十嵐さんよ……。
状況はこちら側が圧倒的不利のまま、二人だけの雪合戦が始まった。