冬休みが始まってからあっという間に時間が経過し、遂に二十四日になった。
朝のテレビには昨晩、まだクリスマス前日でもないというのに、若い男女二人組が街に溢れている様子が映っていた。
……そういう俺はというと、久しぶりに軽くランニングをして、朝ご飯を作り、休日出勤する母さんを見送り、休む間も無く昼ご飯を作り、それを食べて、ようやく一息ついたところだった。
「はぁー……疲れたー」
「お疲れ」
ソファーにドスンと腰掛けて、うへーと仰け反っていると、五十嵐だけが労わってくれた。
ホント、他の人は何をやっているんだよ……。姉ちゃんとかマジで手伝って欲しい。
「でも、休んでいる暇はもう無さそうだよ」
「……どういうことだ?」
「ほら、もう来てる」
「え?」
次の瞬間、ピーンポーンとインターホンが鳴った。
玄関に向かって、ドアを開けると、
「フフフ……我、ここに参上!」
かっこいいポーズを決めた、今日も中二病全開の水無瀬がそこにいた。
「いらっしゃーい、どうぞ上がって上がって~」
「フッ……邪魔する……」
おい、何故この家の住人ですよ~的な対応をするんだ俺より先に。確かに同居しているけどさぁ……。元々の住人の俺からしたらなんだか納得がいかない。
それにしても同居か……。今改めて考えてみるとこの状況ヤバいな。今更だけど。
五十嵐は水無瀬をリビングに連れて行くと、二人並んでソファーに座る。
「水無瀬さんはプレゼントを持ってきたの?」
「当然」
そう言って水無瀬はポケットから小さな箱を取り出す。
果たして何が入っているのだろうか……。まあ、それはその時間になるまでのお楽しみだ。
「ところで、ヴァルプルギス・フルムーンはまだ?」
「まだだ」
もうそろそろもっちーが来てもおかしくないのだが……。集合時間も近づいてきている。
プレゼントを買うのに手間取っているのだろうか。
そんな風に考えてしばらく待っていると、突然水無瀬が立ち上がり言った。
「来た」
ピーンポーン、と次の瞬間我が家のインターホンが鳴った。
玄関に向かい、ガチャリとドアを開けると、
「よっ」
水無瀬の言葉通り、レジ袋を提げたもっちーがそこに居た。
「おう、上がれ」
「お邪魔します」
俺は全然気づかなかったのだが……水無瀬はもっちーの足音でも聞こえていたのだろうか。まるで超能力だな。中二病になったらこんな力を持てるのだろうか。
俺たちがリビングに移動したことで、水無瀬、もっちー、五十嵐、そして俺、というクリスマスパーティーのメンバーが全員揃った。
「よし。それじゃ、クリスマスパーティーを始めるか」
さあ、楽しいクリスマスパーティーの始まりだ!