日時:2025年6月29日(日)10:00~12:00
会場:宇治市生涯学習センター 第一ホール
主催:宇治市町内会・自治会交流会
後援:宇治市 市民協働推進課
参加者:54名
気温36度を超える猛暑の中、大勢の自治会長・自治会関係者の方がお集まりくださいました。
冒頭、当会の発起人である初田さんから、参加者の皆様に向けてごあいさつ。
つい先日に町内で起きた交通事故をきっかけに、あらためて地域コミュニティの大切さ、町内・自治会内での情報交換の大切さを実感されたことをお話しされました。
また昨今の地域コミュニティの衰退、町内会・自治会への加入者減少や少子高齢化という社会問題について話され、今回の交流会を通して今居る私たちに何ができるのかを問われました。
全体交流会では、参加者の事前アンケートに記載された「実際の声」をもとにして、その一部をご紹介しました。
事前アンケートの「実際の声」は以下の3種類です。
町内会・自治会の運営で特に困っていることや課題
他の町内会・自治会の取り組みや、行政からの対策・支援について聞いてみたいこと
うまくいっている取り組みや、共有したい工夫
まず前半では、当交流会の後援でもある市民協働推進課 地域連携係のご担当者に登壇いただき、困っていること・課題の中から、行政で対応できることについて解説いただきました。
町内会・自治会の手引きには、町内会運営の基礎知識や運営のヒント、積極的な活動を されている団体の事例紹介を掲載しています。会則や予算書・決算書の作成例も載せて いますので、特に初めて町内会長をされる方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。 地域活動サポートメニューは、「市役所にはたくさんの部署があって、どこが何をして いるのかわからない」というお声をいただくことも多いので、地域活動のサポートにつな がる事業について、宇治市または関係団体のどこが担当しているのかをまとめたもので す。町内会活動にはもちろん、日々の困りごとがあった際に助けになる一冊と思っていま す。
宇治市のホームページにも掲載しているので、どなたでもダウンロードすることができます。実際に「ホームページから印刷して、町内会の会議で配布した」という報告もい ただいています。
ゴミを捨てる定点については、町内会とは別の 扱いです。10 件~15 件の世帯が利用できる安全な場所を申請いただいた上で、ゴミ捨て の定点としてご利用いただいています。
町内会に未加入だ からと言って、ゴミを捨てさせないということはできません。ですので、方法の1つと して、ゴミステーションを設置されている場合は、町内会費とゴミの管理費用を別に徴 収して、別に管理するのがよいと思います。町内会未加入者の負担額を少し高くするこ とで、町内会加入を促すという事例も聞いたことがあります。
町内会が防犯カメラを設置するための費用の一部を補助する制度があります。宇 治市では現在、駅や学校の近くを中心に約 180 の防犯カメラを設置していますが、町内 会は宇治市に約 600 ありますので、地域からの要望にすべてお応えすることはなかなか できません。ですので、この補助金を活用いただき、各地域によって防犯カメラが必要 と思われる場所に設置いただきたいと思っております。
地域コミュニティ活性化事業補助金は、町内会・自治会が市民活動団体や企業と連携し て行う先進的で自主的な取組に対して、3年間で最大 60 万円の補助をしています。対象 事業は、地域のつながりを強化するもの、または ICT 等を活用して地域活動を効率化す るものです。これらの条件さえ満たしてもらえれば事業の自由度は高く、これまでも防 災・健康・農業といった様々な分野の活動を通して、地域のつながり強化をいただく事 業が実施されました。
宇治市としても、町内会と団体のマッチン グが必要と考えています。「町内会としてこういう課題があるけど、一緒に取組ができる団体はないか」というこ とを宇治市にご相談いただきたいと思います。
第一部の後半では、「うまくいっている取り組み・共有したい工夫」から3つの事例を紹介し、ご参加の関係者の方に実際に紹介いただきました。
(1)グラン・ド・ムール宇治木幡:夏祭りと防災訓練の融合、プランター花壇の設置
(2)菟道自治会:ブログ形式のホームページ運用
(3)サウスヒルズ町内会:炊き出し形式の防災訓練
分散交流会(=分散会)とは、参加者が少人数のグループに分かれ、自由なテーマで各々の話をしていただくものです。
参加者もご自分の発言をおこなっていただき、ご自分の関わる町内会・自治会が抱える課題や悩みを共有していただきました。
分散会の時間に不足を感じるほど、参加者の方々が互いに意見交換・情報共有をされている印象でした。
閉会間近には、参加者の皆さんにアンケート記入のご協力を頂きました。
今後の交流会開催の参考にします。
お暑い中、会場へ足を運んでご参加くださり、本当にありがとうございました。
今後の交流会情報も発信して参りますので、よろしくお願いいたします。
皆様から寄せられた「実際の声」を、実行委員で分類しました。分類がまたがる場合には、複数箇所に記載しています。また、内容が多岐にわたるもの等は、文章を分けたり、補足しているものがあります。
・町内会・⾃治会の役割とは? 町内会・⾃治会に加⼊するメリットは?の答え
・⾃治会・町内会の魅⼒の作り⽅
・現役世代にとって町内会を魅⼒的なものにするには?
・会則・規約の改定について
・組により組⻑のなり⼿の数が違う(10年に1回、4年に1回等)
・⾼齢化が進み、役員の成り⼿がいない
・輪番制の役員負担軽減(省略)
・「地域事業サポートメニュー」を新⼈の役員や組⻑にも知っていただく機会を
・役員が1年で交代するので、中⻑期的な取組が進まない
・役員の負担を減らすための意⾒を提出しても、コミュニティを重視する先輩⽅の理解を得られない
・会則・規約の改定について
・町内会・⾃治会加⼊世帯の減少
・役員や⾏事・会議に負担を感じ退会する⼈が増えている
・賃貸マンション⼊居者への加⼊事業が難しい
・脱会した世帯が再⼊会された理由
・転⼊者が⾃治会に加⼊しない
・賃貸マンション⼊居者への加⼊事業が難しい
・会費の再有料化や値上げ
・⾃治会費の運⽤⽅法
・ゴミ箱設置に伴う費⽤
・集会所建替費⽤を毎年積み⽴てているが、積み⽴てが苦しい、集会所の維持管理
・集会所のトイレ(和式)が⼦どもや⾼齢者に使いにくいので、(集会所が利⽤されない)
・町内会事業への参加率の減少に伴い、事業が少なくなってきている
・⾼齢化により、体振⾏事への不参加
・⾼齢化により、運動会は⼈集めが⼤変
・集会所のトイレ(和式)が⼦どもや⾼齢者に使いにくいので、集会所が利⽤されない
・町内会のサービスの質向上(と輪番制の役員負担軽減の両⽴)
・幼児や⼩学⽣のおられる家族やシニア世代には町内会の存在がプラスに感じられることが多いが、現役世代にとって町内会を魅⼒的なものにするには?
・役員が1年で交代するので、中⻑期的な取組が進まない
・ゴミステーション(ゴミ捨場)の管理、清掃が負担
・ゴミステーション(ゴミ捨場)、未加⼊者の取扱い
・側溝の清掃
【うまくいっている取り組み、共有したい取り組み】
・地域清掃の「交流会」化(イーストヒルズ⾃治会)
・公園の草引き(やまと町内会)
・防災に対する取組について聞きたい
・⾃治会の役員が運営する⽭盾を感じている
・⾃主防災会の位置付けが不明
・⾃主防災会の役員を⾃治会役員が兼任しているが脱退者が多い
・防災備蓄品の内容と⽅針
・連合でない50世帯ぐらいの町内会は防災訓練をどうしているのか、連合解散した場合どのように対応できるか
・防犯に対する取組について聞きたい
・公園等の公共施設への防犯カメラの設置
【うまくいっている取り組み、共有したい取り組み】
・防犯カメラの導⼊(イーストヒルズ⾃治会)
・地域清掃の「交流会」化(イーストヒルズ⾃治会)
・公園の草引き(やまと町内会)
・回覧板の配布に時間と⼿間がかかる、効率的な⽅法は?
・電⼦回覧板の⽀援
・情報通信技術、輪番制の中でのホームページ管理運営の実態とノウハウ
【提案】
・交流会や地区連合会などに ZOOM など利⽤されると気軽に参加しやすくなる。
【うまくいっている取り組み、共有したい取り組み】
・令和6年度から⾃治会ブログを開設し、随時タイムリーな情報を提供している(菟道⾃治会)
・LINE オープンチャットの活⽤(イーストヒルズ⾃治会)
・他団体(福祉作業所、⼤学等)との連携
・近隣の町内会役員とのコンタクトがほとんどない
・⾃治会とマンション管理組合の協働
・⼦供会の⾏事をどうしているか
【うまくいっている取り組み、共有したい取り組み】
・マンションの⽞関に公園公社から借り受けたプランター、花のあるマンション(グラン・ドムール宇治⽊幡⾃治会)
・電⼦回覧板の⽀援
・市のサーバーの町内会・⾃治会への⼀部提供の可能性
・⾏政からの資⾦⾯を含む継続的な町内会ホームページ運営⽀援策
・(集会所の?)⺠営化とサポート
・個⼈情報保護と地域⾒守りの兼合い
・外国籍居住者とのコミュニケーション
・集会所の運営管理
・テレビの共同アンテナの終わり⽅、業者の少なさ
交流会後にご回答いただいたアンケート結果になります。
非常に役に立った 15名 31%
少し役に立った 28名 58%
あまり役に立たなかった 5名 10%
全く役に立たなかった 0名 0%
聞いていない・わからない 0名 0%
非常に役に立った 26名 54%
少し役に立った 17名 35%
あまり役に立たなかった 5名 10%
全く役に立たなかった 0名 0%
参加していない/分からない 0名 0%
防災、防犯 20名
ICT活用(電子回覧坂など) 15名
若い世代の参加促進 15名
会費・財政の見直し 9名
居場所づくり、見守り活動など 5名
その他
地域資源の維持と活用(集会所・伝統行事)
脱会者対策(地域住民に求められる町内会・自治会とは。行事の情報交換)
アウトソーシングの実際
個人情報保護への対応
非常にそう思う 19名 40%
やや思う 14名 29%
どちらとも言えない 13名 27%
あまり思わない 1名 2%
ぜひ参加したい 16名 33%
できれば参加したい 22名 46%
どちらとも言えない 8名 17%
あまり参加したくない 1名 2%
参加するつもりはない 1名 2%
第1部として実施された「全体会」では、事前アンケートに寄せられた地域の声を出発点に、宇治市市民協働推進課による制度解説と、自治会の実践事例(夏祭り×防災訓練、ブログ型ホームページ、防災炊き出しなど)の紹介が行われた。この構成に対して、アンケート回答者の約9割が「非常に役に立った」「少し役に立った」と回答しており、全体的には肯定的な評価が多数を占めた。
特に高く評価されたのは、他の自治会のリアルな取り組みや工夫に触れる機会が得られた点である。「共通する課題が見えてきた」「他の町内の取組が参考になった」「今後に活かせる視点が得られた」など、具体的な実践事例から自分たちの地域でも応用できそうなヒントを感じたという声が目立った。また、「他団体の活動や規模の違いを知ることができた」「町内会によって状況や優先課題が異なることに改めて気づけた」など、視野を広げる機会として有意義だったという意見も多かった。
一方で、テーマの設定や構成に対しては改善を求める声も少なくなかった。「内容が広すぎて焦点が定まらない」「自分の地域の課題とは少しずれていた」といった声からは、参加者それぞれが持つ期待や問題意識に対して、やや抽象度が高い内容に映った面があると考えられる。また、「制度の説明が多かったが、活用事例がもう少し欲しかった」「HP作成やICT活用の話も聞きたかった」といった声に見られるように、具体性と現場感のバランスにも今後の工夫が求められる。
会場環境についてもいくつか指摘があった。「机がなくてメモが取りにくかった」「進行が早く、理解が追いつかなかった」など、学びの機会として活かすには環境整備の面でも改善の余地があるといえる。資料の事前共有や、会場設営の工夫、進行スライドの可視化などが挙げられる。
総じて、全体会においては「情報を受け取る」場としての意義がしっかりと評価されており、特に初めて自治会に関わる人にとっては学びの機会として非常に有用だったという声が目立った。ただし、「共通理解の場」としての役割を果たす一方で、「具体的な悩みや課題の深掘り」には限界があるという課題も明らかになった。今後は、テーマをより絞った形での開催や、対象者(例:新任会長向け、中小自治会向けなど)を限定したセッションの導入も視野に入れることで、より満足度の高い全体会の運営につながることが期待される。
第2部として行われた「分散交流会」は、6~7名の小グループに分かれて自由に語り合う形式で実施された。アンケート結果では、参加者の約9割が「非常に役に立った」「少し役に立った」と回答しており、特に「他自治会の生の声が聞けた」「横のつながりを感じられた」といった、対話による学びや気づきが好意的に受け止められていることがわかる。
高く評価された点のひとつは、現場に即した具体的な課題や実践の共有ができたことである。「運営の仕方や防犯カメラの管理方法、防災対策の実例が参考になった」「会計や会則の見直しなど、他所の工夫を知る良い機会だった」など、参加者自身の地域課題と接続しやすい情報が得られた点が支持されている。また、「町内会の構成や歴史、規模によって悩みの性質が異なることに気づけた」「町内会がなくなる危機にある地域の話を聞き、驚いた」といったように、自分の立ち位置を客観視する機会としても機能した。
さらに、「会長と会計しかいない体制」「役員の成り手不足」「町内会費の二段階制」など、日頃なかなか話題にしづらい悩みが率直に出されたことに対し、「共通の課題が多いことに安心した」「それぞれが模索していることが励みになった」といった共感の声も多く見られた。
一方で、構成や進行に関してはいくつかの課題も指摘されている。最も多かったのは「時間が足りなかった」という意見であり、「せっかく話が深まってきたところで終了になった」「自己紹介や現状説明で終わってしまった」という声も少なくなかった。また、「グループの属性がバラバラで、戸建とマンションでは話が噛み合わない」「共通の課題が見つかりにくかった」など、グループ分けに対する工夫不足も浮かび上がっている。
進行面でも、「参加者任せの進行で意見がまとまらなかった」「誰かが仕切ってくれた方が話しやすい」「実行委員や市職員がファシリテーターとして入ってほしい」という要望が寄せられている。特に高齢の参加者や話すことに慣れていない方にとっては、テーマ設定や問いかけがある方が安心して発言できるとの声もあった。
また、一部の参加者からは、「一軒家中心の町内会と、マンション中心の自治会では課題の質がまったく異なる」「グループ分けは“規模”や“形態”でしてほしい」といった提案も寄せられており、次回以降は属性ごとの構成が満足度向上の鍵になりそうだ。
総じて、分散交流会は「現場のリアルな悩みと工夫を共有できる貴重な場」として高く評価されているが、より充実したものにするためには、①グループ分けの精緻化、②時間配分の見直し、③進行サポート体制の強化、という3点が重要になる。特に「聞きっぱなしで終わるのではなく、共有と記録が欲しい」という声もあることから、発言内容の簡易な記録や次回へのフィードバックループの仕組みづくりも、検討に値すると言える。