Research Projects

発生タイミングを決める分子機構(生物タイマーの分子機構)

ここの生物の発生のタイミングはそれぞれ決まっています。キイロショウジョウバエの場合、胚、1齢幼虫、2齢幼虫期間は、ほぼ24時間、3齢幼虫期間は約48時間、前蛹期は12時間、そして蛹期は約3、5日です。これらの時期を決めているのは脱皮ホルモン(エクダイソン)であることは知られていましたが、実際にどのような分子機構でそれぞれの期間が決まるかはわかっていません。私たちは、まず遺伝子発現制御による前踊期間を決めるタイマーの分子機構を明らかにすることに成功しました。そしてこの機構において、Blimp-1という転写抑制因子を砂時計の砂のように利用することで、時間を正確に決めていることを明らかにしました。現在、さらに詳細にその機構を解析するとともに、栄養状態が前踊期間に影響を及ぼす機構を解析しています。さらに、FTZ-F1とBlimp-1が3齢幼虫期間や蛹期間決定に関わることを示す結果を得ており、その分子機構についても解析しています。(説明動画)

発生をコントロールする遺伝子の発現制御の分子機構

発生過程で様々な遺伝子が部位特異的かつ時間特異的に発現することは重要なことで、その機構を分子レベルで明らかにすることが多くの研究室で行われています。我々の研究室でも昆虫の脱皮や変態過程で我々が同定した転写抑制因子Blimp-1と転写活性化因子FTZ-F1が重要な役割を果たすことを示しこれらの因子による転写制御機構の解析を行なっています。その解析の中で、EDG84A遺伝子は前踊中後期に体の前半部分の表皮細胞で急激に発現する特徴ある遺伝子です。この遺伝子の転写活性化にFTZ-F1とDHR3という2つの転写活性化因子によって活性化する機構を解析しており、今まで明らかにされていないクロマチンレベルの遺伝子発現制御機構が明らかになりつつあります。この他、Blimp-1によるユニークな転写制御機構についても解析しています。

染色体ペアリング依存的転写活性化機構の解析

ショウジョウバエの特定の遺伝子では相同染色体がペアリングすることによって遺伝子を活性化することを見出し、その機構を解析しています。