共同実施班ニュース
かがやき
平成16年3月15日 第5号
みなさん、10月の全体研修会はいかがでしたか?
もう5ケ月近くも経ってしまいましたね。
少し思い出してみましょう。
『共同実施はそれ自体が目的ではなく、学校をよくするため、また事務の効率化をはかるため、先生方や私達自身の意識改革のための一つの手段でしかありません。
「共同実施、いつかあたるかも・・・」
とただ心配しているだけでなく、どんな取り組みでもいいから、自分の学校でできることを前向きにやってみることで、私達自身も仕事にやりがいが持て、学校になくてはならない存在になっていくのではないでしょうか』
ということを言いました。
共同実施といっても、やり方が決まっているわけでもなく、それぞれの市町村で自分たちの事情に合った方法と内容で行えばいいし、何か新しいことをしなくてはいけないというわけでもないのです。
さて今回は、研修会後のアンケートで要望が多かった、福光町の状況をくわしく紹介し、参考になりそうな地区事務研での取り組みや、県教委への質問もお知らせします。
福光町の共同実施って?
本来は10月の研修会でお知らせする予定でしたが、時間の都合によりできませんでした。
そこで、今回はQ&A形式で紹介します。
Q:何人で実施されていますか?
A:小学校4校、中学校2校、計6校の7名(福光中学校2名〔加配1名〕)で行っています。
Q:日時・場所はどのように設定されていますか?
A:*週1回(木曜日) 8:15~12:15
*福光中学校(ミーティングルーム)
*各校からの所要時間 : 平均 片道8分
Q:共同実施用として町または町教委で準備してもらえた事務用備品はありますか?
A:特にありません。机及び椅子はミーティングルームのものを使用しています。
Q:どのような形で実施されていますか?
A:給与・旅費など、業務ごとに主務者を決めて、効率化を図れる方法がないか検討しています。また、各校で作成してきた書類等の相互チェックを行っています。
Q:具体的にはどのようなことをされていますか?
A:【給与】
*例月給与データの相互チェックを行い、担当者がまとめて提出しています。
(担当者は輪番制)
ただし、認定関係などについては該当校の事務職員がその都度提出しています。
【旅費】
*旅行命令簿や旅費請求書の相互チェックを行っています。
*端末入力については旅費担当者が主となって入力していましたが、全員が端末入力に
慣れるために、途中からは時間があれば各自で入力することにしました(端末入力は
福光高校で行っています)。
【財務】
*職員会議で予算説明をするための様式の内容を検討し統一化しました。
さらに、その様式を使って各自で予算説明を行いました。
*今までは教育委員会による予算要望についての説明会がなかったのですが、今年度は
教育委員会の担当者に事務センターに来てもらい、共通要望事項などについて説明を
受けることができ、共通理解をしたうえで予算要望書を提出することができました。
また、整備の遅れている点などについても十分に話し合ったので、より適正な予算要望が
でき、庁内LANの学校への配線が整備されることになりました。
【その他】
*センター便りを学期に1回発行し、全町教職員に配布しています。
*福光町事務マニュアルを作成しました。
(内容:服務・旅費・町会計・町補助金・私費会計について及び福光町事務スケジュール表)
・・・各校3部ずつ配布し、先生方にも回覧したところ、様式をサーバーに入れて欲しい
といった声もありました。
*専門講師を招いてのワード・エクセルの研修を数回実施しました。
Q:共同実施を行ってよかったこと、改善されたと思われることはどういったことですか?
A:*県内旅費については入力票を作成せず端末入力することによって、支払いが早くなった。
*疑問点を聞きやすく、理解することができた。
*情報交換ができるので、誤りに対処しやすかった。
*より良い学校事務について、考え、話し合うことができた。
*事務所への出張回数が減った。
*各自のパソコン技術が向上した。
Q:共同実施を行って課題に思われたことはどういったことですか?
A:*設備の問題から、実務をすることができず、本務校での執務が忙しくなった。
*学校を空けることが多く、他職員に負担になり、又本務校に戻っても慌しく、ストレスが
溜まった。(特に小さい学校)
*協議点をはっきりさせないと、雑談気味になってしまい、時間の無駄になってしまう。
*特に教育支援は、各自の能力・興味によって、できることが相違する。
*学校(教員)とのコミュニケーション不足
*活動時間の確保
*市町村立学校であるため、県の端末を配置するには問題があるといわれた。
町の庁内LANは、セキュリティの関係で町職員以外は使えない状態である。
(町職員の方は、休暇の請求等で電子決裁を受けている)
県にも町にもつながらない状況の中でできることを探すのは難しい。
県の端末が入れば、旅費の入力や試算がいつでもできる。
Q:来年度、取り組んでみたいことはありますか?
A:*次期昇給予定者名簿のチェックなど、チェック体制の強化。
*センター校に集まる回数を減らしてもできる事務の共同実施。
*町村合併に向けての諸準備
Q:その他、感想等ありましたらお願いします。
A:*財務システムなど、設備面の充実がなければ、効率が落ちる。
*共同実施をしていて、していない学校へ転任した人で、共同実施的な事務を推進している
人がいたら、その内容を紹介して欲しい。
*実務処理の場として充実させたいが、実務を行うにはその都度各校から資料や書類を
持ってこなければならず、できる事務処理は限定される。
*共同実施を行っている福光町では、お互いを支えあうような雰囲気があり、わからない
ことや一人では悩んでしまうことでも、他の小中学校の事務職員に相談しやすくとても
安心感があります。
疑問点も違う視点からの考えを聞くことで自分の知識が増えるし、確信して仕事が進め
られます。
もし、他の市町村でも行うのであれば、週1にこだわらず月1でも集まることで「共通理
解」を得られるこの共同実施は事務の効率化及び事務職員の内面的なものにも良い影響を与
えてくれると考えています。(臨任職員)
15年度宇奈月町ではどんなことをやっていたの?
<15年度の新たな取り組み>
・ 宇奈月町学校管理規則服務規程改正に伴う様式集の見直しと様式集の全職員配布
・ 小学校統合に向けての研修会
・ パソコンによる文書収受
(担当者が作成した文書収発簿をメールで他校に送信することで、文書受付事務の効率化が
はかられています。収発簿がペーパーレス化になっている学校もあります。)
地区事務研での取り組み
10月の全体研修会でも話が出ましたが、共同実施という形ではなく
今、私たちの置かれている状況でも学校のために何かできることがあるはずです。
参考になりそうな地区事務研の活動を少し紹介してみましょう。
富山市小教研事務部会共同実施班
富山市小教研事務部会では、初めて研修テーマの中に共同実施が取り入れらました。
6人のメンバーで共同実施の研修は進められましたが、実態がつかめないうえ、限られた時間のなかで試行錯誤の連続でした。
最終的には、なぜ共同実施を行うことになったのかその経緯、校長先生を交えての座談会、富山市で共同実施を行うとしたらどのような形がいいかパターンをいくつか考えたもの等をまとめて1つの冊子にし、会員に配布しました。
何も知らなかった当初に比べ、10月の全体研修会での発表を聞いたり、「かがやき」を読んだりしているうちに、富山市小教研事務職員の共同実施に対する意識は高まってきたようです。来年度研修するテーマに共同実施を希望するものが、今年度より増えているというのもそのあらわれだと思います。
事務職員として、時代に適応していくために何をしていけばいいのか、真剣に考えて、共同実施を実際やってみたいという意欲的な風が流れ出したように思われます。
パターンについてはもちろんたたき台として提示したに過ぎず、すべてはこれからの県の動向を見ながら、富山市のあり方を考えていくことになるのでしょうか?
16年度に期待して・・・・・・。
富山市小教研事務部会で「富山市での共同実施」を考えてみました。
案-1
○富山市内の小中学校をいくつかのブロックに分割
○給与、旅費、市費伝票などの相互チェック
○拠点校に集まる、センター方式
○集まる日は、書類の提出時期に合わせて設定(定期的にしない)
○センター長は校長
学校の自主性・自律性が言われている中、学校で必要であるはずの事務職員は学校にいて、
月に何度かの共同実施で効率化を図り、職場内研修をする。
センター長は、校長が務め、教育と事務両方の研修を充実させる。
案-2
○小学校と中学校は別々に実施
○小学校は8つの区域、中学校は4つの地域に分割
○集まる日は、2週間に1回、1日程度
小学校と中学校とでは、業務内容に多少違いがあるので別々に集まった方が効率的に仕事ができると思う。
小学校、中学校それぞれで職場内研修をする。
案-3
○富山市内の事務職員を一カ所に集めた、事務センター方式
○給与、旅費、服務などの校務ごとに係を作り担当
○学校との連絡は、電話、FAX、メール、文書交換などを利用
○センター長は事務職員
一カ所に集中させることによって、事務専門部門を分担し効率化する。
センター長は、自らの仕事に自らが責任を持つために事務職員が務める。
黒部市、大門区域の取り組み
黒部市学校事務研究会
黒部市事務研究会では、
「黒部市学校管理規則の改正に伴う提出書類等の見直し」
「事務経営案作成」
「各校の事務マニュアル作成」
を行いました。
特に「事務経営案作成」は、事務計画のようなもので、「学校事務職員の業務内容」と「今年度の重点目標」、「学校の行事予定をもとにした事務計画」が記載され、自分の仕事を他の教職員にお知らせして、「こんな仕事をやりますよ!」と宣言しています。
今年度、宇奈月町から異動になった者が2人いて、共同実施で作られたものを参考にしました。
研究会では、校長会に了承をいただき、16年度始めには、全校で事務経営案を出し、教育計画にも載せることになりました。
みんなで内容を検討し、黒部市内小中学校の職務標準表のようなものができあがりました。
また、各校の事務マニュアルは、先生方向けであるということと、各校独自のものであるという特徴があります。
職員会議で提案したことをまとめたようなものなので、異動してきてもすぐにその学校の事務のやり方がわかります。
いろんな取り組みは事務職員が変わっても引き継がれやすくなり、先生方にも、今までわかりにくかった学校事務を身近に感じてもらえるようです。
各校によって詳しい内容は違いますが、共通部分をみんなで検討しました。
来年度には、市内小中学校全部で出される予定です。
今後は、年度途中でもタイミングを見て職員会議で少しずつ提案・説明していき、中身が変わった時は、なるべく早く変えて、タイムリーに先生方に伝えていきたいと考えています。
2月の魚津地区事務研修会では、魚津市の方から、PTA会計や学年会計報告がエクセルを使って簡単に作成できるシステムも紹介していただいたので、事務マニュアルに活用する学校もでてくると思います。
このように、共同実施という形ではありませんが、市内の小中学校全部の学校事務職員が協力して、学校事務の必要性を各校でアピールすることができそうです。
大門区域学校事務職員会
大門町では平成14年度で共同実施を終えましたが、区域校長会、町教育長さんの了承を得て今年度の10月から再び行っています。
また、高岡教育事務所の出納員さんにもいろいろと相談をしながら進めているところです。
1~2か月に1回と回数は減りましたが、中学校1校と小学校3校の事務職員4名(臨任職員1名含む)が大門中学校に集まり、町予算要求の資料作成や、年末調整・給与データ等のチェック、備品台帳についての検討などを行いました。
今後も継続したいと考えています。
質問コーナー
10月全体研修会後のアンケートによると、「共同実施をぜひやってみたい」という地区も少し出てきたようです。
そこで、この質問に対する答えを教育事務所を通じて、県教委にお聞きしてみました。
Q.共同実施をしたかったらやってもいいと聞きました。
その場合、どのような順で行動したらいいのか下のように考えてみましたが、これでいいで
すか?
また、兼務辞令は出ますか?
兼務辞令が出ないとき、旅費や給与の他校分データチェック、明細受領などをしてもいいの
ですか?
<学校事務職員の動き>(案)
① 同じ市町村内でやってみたい人を募る。(事務職員の意思を統一する)
② 教育事務所に伝える。
③ 校長会に意思を伝える。
④ 市町村教育委員会に意思を伝える。
⑤ 実際どんなことを行うか計画する。
A.(今のところ、県教委からの回答は頂いていませんが、わかり次第、協会から何らかの方法
でお知らせいたします。)
おわりに
今年度最後の「かがやき」を発行しました。
一年間、研究委員をやってみて感じることは、これからの学校教育改革や行政改革(公務員制度改革)の動きの中で、学校事務も確実に変化していくので、私達学校事務職員も、これから何をどうしていったらいいかを、今よ~く考えなければならない時期にきているということです。
それには、各個人の資質の向上はもとより、その市町村や地区での事務職員同士の横のつながりを一層深め、思いや願いを一つにまとめていくことが必要ではないかと思います。
その実施方法として、共同実施もあり、事務研の活動もあると思うのです。
さあ、あなたも他校の学校事務職員と協力して、今の自分の仕事を、子どもたちと学校のためにもう少しレベルアップしてみませんか?