共同実施班ニュース
かがやき
平成15年10月17日 第4号
今年度もあっという間に半年が過ぎ、お忙しい毎日を過ごしておられることと思います。
ところで、みなさん今年はなんの秋の予定ですか?
どんな秋にしても、実りの多い秋にしたいものですね。
萩に行ってきました! ~全事研全国大会報告~
明治維新の原動力となった高杉晋作、伊藤博文等の多くの人材が、吉田松陰の松下村塾でわずか2年半の間に育ったという山口県萩市で全国大会がありました。
第7次の定数加配が始まって3年目の今年、ある程度の成果や課題が見えてきたところで、全事研特別委員会の共同実施研究報告や、「これからの共同実施を考える」と題したシンポジウムが行われました。
簡単にみなさんにお伝えします。
全事研特別研究委員会研究報告
「共同実施を中心とした学校事務組織の強化対応等についての研究」
(「学校経営」と学校事務職員の新たな役割)
共同実施の意義
複数の学校事務の一部をともに考え、一緒に行い、子供の豊かな育ちを支援し、効果的で円滑な学校経営の推進と発展の手段(目的ではなく)としての共同実施。
共同実施の現状(他県の様子)
< 秋 田 県 >
未配置校を含む学校間連携が多い。
近隣校の相互支援(学校訪問)を行い、事務の平準化を図り、学校間格差をなくす。
< 新 潟 県 >
市町村教委や校長会によるサポート組織の支援がある。
学校経営への参画として、予算委員会を設置している。
< 大 阪 府 >
高槻市の川西中学校(拠点校)に第2事務室を設け、今後は市内いくつかのブロックを作り、第2事務室を増やすことを考えている。拠点校の環境整備が進んでいる。
< 佐 賀 県 >
県事務研教育改革課題研究班で「事務の共同実施導入マニュアル」を作成した。
小城町では、H11年度から共同実施を行い、H14年度から小城町教育委員会の訓令「小城町学校事務センターの設置に関する要綱」によりセンター的組織を設置した。
< 広 島 県 >
県教育委員会主導で共同実施が推進されている。
県教委は平成14年3月28日付けで、「市町村立小学校及び中学校の事務の共同実施の促進について」を各市町村教育委員会へ通知し、学校経営における事務管理機能の強化を図るため、拠点校に事務を総括する職として新たに事務長等を設けることにした。
< 三 重 県 >
H11年度
県教育委員会より公立小中学校事務職員の標準的職務について通知文が出された。
H12年度
文部省研究指定校1地区と加配なしの14地区で共同実施実践研究が県内7教育事務所管内で始まった。
H13年度
中勢教育事務所管内の全校を、中学校区単位を基本とした16グループに分け、共同実施実践研究が教育事務所の重要施策の1つとして開始された。
H14年度
共同実施グループと関係機関の連携を強化し、共同実施組織を学校運営組織の中に位置付け、職務担当制をさらに推し進め、標準的職務の共同実施組織による完全実施と新たな教育支援的事務の検討が目標とされた。
「共同実施推進チーム」が組織され、「共同実施のモデル案」としてとりまとめ、管内の教育関係者で組織された「共同実施ワーキング会議」でも承認され、県内教育事務所にも参考資料として送付された。
H15年度
県内全域での共同実施研究が開始された。中勢地区の「共同実施モデル案」も参考にしながら教育事務所ごとに具体的な実践が展開される。
共同実施の成果と課題
共同実施の成果
事務の効率化(時間短縮、簡略化、標準化、事務処理ソフト活用)
きめ細かな学習指導支援(備品有効活用、地域関係渉外等)
教育の情報化支援(パソコン周辺整備、各種情報データベース化)
事務職員のOJT(職場内研修による資質向上、専門性向上)
学校経営への参画(各種会議参画、校内諸規定策定、予算委員会等運営)
事務部門の強化(組織化、事務部確立、校務分掌の変化、事務部統括)
連携・支援強化(地区内学校支援・連携、教委・保護者・地域と連携)
事務職員自身・他職種の意識改革
共同実施の課題
解決のための支援
1 支援・連携
2 評価と説明責任
3 状況への対応
4 発想の転換
↑
私たち自身の発想の転換
・ 学校・地域全体の効率化
・ 子供たちを忘れてはいけない
組織化をはかり、個人プレーからチームプレーへ。
その地域に合った共同実施の方法を検討する。
共同実施の定着の方策
① 法的条件整備
② 共同実施の組織化
③ 自治体全域での実施
④ 加配を伴わない共同実施の推進
シンポジウム「これからの共同実施を考える」
メンバー
兵庫県立姫路工業大学環境人間学部教授 清原正義氏
青森県八戸市立八戸小学校事務主幹
八戸市小中学校事務支援室室長補佐 船橋敏明氏
宮崎県教育庁教職員課給与係係長 日渡円氏
これまで関わってきた共同実施について
< 清原先生 >
○学校事務も、開かれた学校、自主性・自律性を目指し、学校といっしょによりよく変わって
いく必要がある。
○共同実施は第7次定数改善計画とともにある。(定数問題がある)
○定数加配の受け皿で、効果を上げなくてはいけない。
加配すれば学校運営がよくなると、地域や国民に言っていくことで、学校事務の条件整備向上
につながる。
< 八戸市 船橋氏 >
○5人の加配を集中配置し、今年4月より八戸市全体をカバー(教育事務所、教育委員会、各
校の事務職員間の連絡調整や事務支援する)小中学校事務支援室を設置した。青森には加配
という起爆剤が必要だった。
< 宮崎県 日渡氏 >
○現在44市町村のうち、35市町村で共同実施を行っていて、県教委も支援しているが、市
町村教委主導で進めている。
○共同実施は意識改革である。これまででいいならそれでいい。変えるつもりなら変えなくて
は。
○地方分権に向けて着手しようとするなら、おのずから学校事務の役割が見えてくる。
共同実施の課題は
< 清原先生 >
○学校運営の変化に対応する1つのスタイルとして共同実施がある。共同実施がいいとすすめ
てほしい。学校事務のモデルを作ろうというものが少ない。教委・校長会に協力してもらえ
るよう働きかける必要がある。
○目的(学校運営を高めるため、教育サービスの向上)を明確にする。1つのスタイルを作り
出す。長期的な展望を持つ。加配なしでの実施も考える。
○組織体制の整備、評議員組織を作る。(そうしないと学校事務職員だけが苦労する。)推進
組織を整備する。
○常に評価していく。成果がどこに表れるか。共同組織を作ることで、各校で学校運営の参画
がどうすすんだか発表してほしい。
< 八戸市 船橋氏 >
<制度面>
○標準的職務表がない。
○共同実施で何をすればいいのかとまどう。
○地教委に主体性がなく、学校事務に丸投げ。
<メンタル面>
○学校事務職員間に温度差がある。時代の風と受け、妥協する必要あり。
○意識が薄い事務職員、管理職に対し、こちらを向いてほしいという目的で事務支援室を作っ
た。各関係機関の調整役となっていきたい。
共同実施の期待することは
< 清原先生 >
●様々な学校運営に対応していくために学校(相互)支援機能の強化
●従来の単数配置→組織的な体制
●共同実施により地域全体で学校事務への制度整備ができていく。共同実施によって、学校教
育サービスの向上につなげる。
○加配することで、学校がこうよくなるということをアピールしていくことが必要。
○共同実施をひとつの手立てだと考える。今の段階では、共同実施がいいか悪いか評価する
段階ではまだない。試行を続けていかなくてはいけない。
○最終的に学校事務の必要性・在り方を決めていくのは、地域住民の期待と評価である。
○共同実施を1つのてこにしていく。教育委員会と学校の在り方を変えていかなければなら
ない。
○学校事務が新しいものに対応していくための共同実施の意義もある。
< 八戸市 船橋氏 >
○千載一遇のチャンス。共同実施を全県下で成功させたい。青森県では、都市部の八戸市で共
同実施が行われている他、町村部、小都市部でもそれぞれしている。67市町村みんなが、
町村部、小都市部、都市部のモデルの中から適正なものを選べるという手法で全県的に広め
たい。
○子供たち、私たち自身のためにやっていきたい。
< 宮崎県 日渡氏 >
これからの学校事務を取り巻くものに、定数が少なくなるかどうかの問題がある。
平成18年度から新公務員制度改革によって、能力等級制が導入される。
それは、それぞれの職務によって格付けされるということであり、職務遂行能力を明らかにす
ることが必要である。
したがって、組織を作って、その中の職務やポストを構築していかなくてはならない。
その点で言えば、共同実施は格付けするにはタイムリーである。
いかがでしたか?
ちょっと難しい話だったかもしれませんが、私たち学校事務職員を取り巻く状況は、どんどん変わっていきそうだということがわかりますね。
文部科学省の方が行政説明の後、私たち学校事務職員に向けて言われました・・・
学校の組織力を高めるために、事務職員の専門性を高めてほしい。
校長を管理面からサポートしてほしい。
学校内にありながら、外の目(社会一般の目、客観的に見る目)を、組織として一体である中で、持ってほしい。
評価しない、大人という立場で、やさしく厳しいまなざしを子供たちにそそいでほしい。
私たちの学校での役割が見えてくるような気がしませんか?
質問コーナー
Q.最近「定数」という言葉をよく聞きますが、事務職員の定数はどうやって決まるのですか。
A.教職員定数算定の法的根拠
学校教育法 第二節 学校基準
○公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律
第9条 事務職員の数は、次に定めるところにより算定した数を合計した数とする
1 4学級以上の小学校及び中学校並びに中等教育学校の前期過程の数の合計数に1を乗じて
得た数
2 3学級の小学校及び中学校並びに中等教育学校の前期過程の数の合計数に四分の三を乗じ
て得た数
3 27学級以上の小学校の数に一を乗じて得た数と21学級以上の中学校の数に一を乗じて
得た数との合計数
4 就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律第2条に規定す
る保護者の児童又は生徒の数が著しく多い小学校若しくは中学校で政令で定めるものの数の
合計数に一を乗じて得た数
○市町村立学校県費負担教職員定数条例
(目的)
第1条 この条例は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第41条第1項の規定に基づ
き、市町村立学校職員給与負担法第1条に規定する校長、教頭、教諭、養護教諭、助教諭、養護
助教諭、及び講師(以下「教員」という。)、学校栄養職員並に事務職員の定数を定めるこ
とを目的とする。
(定数)
第2条 前条の定数は、次のとおりとする。
教 員 5,814人
学校栄養職員 95人
事務職員 310人
<平成15年度 職員録より>
定数法だと・・・
<事務職員協会総会資料より>
実際数は……
小学校 211人
中学校 83人 計 294人 …………この差はいったい何?