共同実施班ニュース
かがやき
平成15年3月20日 第2号
ニュース1号の宇奈月町・大門町の事務職員の皆さんの感想や意見をどう思われましたか?
一昨年の全体研修会で、共同実施の中間報告がありました。
その時、宇奈月町の共同実施の内容に大きな衝撃を受けた方や疑問を抱かれた方も多かったようです。
当初、加配の関係からも県教委より教育支援が大きく求められていたようですが、その後「事務の効率化あっての教育支援」と少し路線も修正されたようです。
今、宇奈月町と大門町では、この2年間の「共同実施のまとめ」を作成中とのことです。
事務の共同実施で行われた業務内容やその具体的な実施方法そしてその成果や課題を共有することによって共同実施を共通理解することが、これからの事務職員の職務を考えていく上でも参考になるのではないかと思います。
共同実施の試行が始まってから4年目になります。
全国ではいろんな形態で行われているようです。
今回は少し県外に目を向けて、主なパターン別に共同実施を見てみましょう。
全国のいろんな共同実施
(1)拠点校と協力校の学校間連携による事務の共同処理
現状の学校事務の中から共同で処理できる事務を抽出して集中処理する
【参考】大阪府高槻市、新潟県糸魚川市
【大阪府高槻市の詳細】
< 形 態 >
●平成13年度から3年間の指定。
●中学校が18校、小学校が44校という大きな市の中で(同じ校区でない)中学校1校と小学校2校で行っている。
●加配は中学校に、兼務は主査の3人に発令されている。
●最初の2年間は市教育センターからの調査研究委嘱校の指定を受け、研究グループの代表は中学校長。
●集まる日などは決まっていない。
< 業 務 内 容 >
●文書収受事務の効率化
●ホームページの開設や電子メール利用による情報発信や相互交流
●パソコン操作やプログラム操作等のサポート(事務職員に対する研修)
●簡易プログラムやテンプレートの制作
●用紙等の共同購入
●情報管理や取扱いに関する研究
< 特 徴 >
●姫路工業大学教授の清原正義先生が共同研究者なので、助言してもらえる。
●平成13年度に高槻市立学校事務職員会が設置され、全員が「旅費調整委員会」「事務マニュアル検討委員会」「事務改善検討委員会」「標準的な職務内容検討委員会」等に(複数)所属し、共同実施の支援体制も整っている。
●共同実施の究極の目的は「学校教育目標の達成である」と明示している。
●共同実施以外の事務職員に対してもパソコン研修をしたり、ニュースで情報を伝えたりしている。
●大阪府ではいくつも共同実施地区があるので連携ができる。
【新潟県糸魚川市の詳細】
< 形 態 >
●平成13年度から3年間の指定。
●市内6小学校(内小規模複式校5校)で行っている。
●加配は最も児童数の多い小学校に臨時職員が配置され、兼務はなし。
●共同実施日は月2回午後半日のみ
< 業 務 内 容 >
●各種調査事務の効率化(メールによる報告、書き込み)
●就学児童名簿のデータ共有
●市管理運営規則に定める書式の効率的な活用
●文書受理簿の配信
●来賓名簿(データベース化による案内状、宛先のシール印刷)
●備品の有効活用(データベース化)
●図書台帳のデータベース化
●会計事務、学籍事務の情報の共有
< 特 徴 >
●研究実践校(加配校)の主任1人の肩にすべてかかっている。
●セキュリティの関係で校内LANが組めない。
●協力校は文書収発等において恩恵を受けている。
●市事務研、県事務研のバックアップがしっかりしている。
●市教委との話し合いの場がとても多く同時進行で仕事が進んでいた。
(2)市町村の協力連携組織を設置して拠点校を中心に事務の標準化と効率化を進める
事務の共同実施の他に効率化を進めるためのシステム整備を組織的に進める
【参考】滋賀県今津市、宇奈月町
【滋賀県今津市の詳細】
< 形 態 >
●平成13年度から3年間の指定。
●町内4校(中学校1校、小学校3校)で行っている。
●加配は最も児童数の多い小学校に配置され、兼務はなし。
●共同実施日は月1回半日のみ。出張扱いである。
●滋賀県には教育事務所がない。
●平成14年度に滋賀県の他地区で新たに加配ありの共同実施が始まった。
< 業 務 内 容 >
●備品管理マニュアル作成
●学校徴収金(学年会計)事務とシステム化
●給与報告等の事務処理のチェック
●認定事務(通勤、住居、扶養等)の助言←兼務なしなので助言のみ
●生徒転出入事務のマニュアルづくり
●平成15年度備品の共同購入
●情報の共有と危機管理ガイドライン
< 特 徴 >
●パソコンの得意な人が加配校に配置されているので、作りたいと思うソフトが短期間に作成でき、他の人は操作などわからないことを気軽に聞ける。
●共同実施によってできたシステムが制度として残っていくように町教委と協力していきたいと考えている。
●将来的に、県内5つの振興局(県の出先機関)単位で共同実施が行われ、1ブロックにつき1人のリーダーが置かれればよいという職務確立のための構想を持っている。
(3)事務センターによる共同実施
事務センターは教育委員会の一部として設置し、学校とセンターの兼務体制
共同実施の目的を主として学校運営に対する組織的な支援をする
【参考】宮崎県、広島県
【宮崎県の詳細】
宮崎県の共同実施の背景と特徴
(1)共同実施組織のアイデアが以前からあり、その基盤があった。
「学校事務理論検討委員会」、県教育委員会から研究委託された
「21世紀をめざす学校事務開発事業」等
(2)県内の全市町村における「事務処理規程」の成立により、主査以
上の事務職員に「事務主任」の発令があり学校事務の「総括的責
任」を担うものとして明確に規定されている。
(3)事務処理の効率化に関する共同実施要項が、平成13年4月に
県教育委員会より出されている。
(4)校内において、校長、教頭、事務主任、教務主任を中心とした
「研究推進会議」、全職員を対象とした「全体協議会」、さらに、
教育事務所、市町村教育委員会、研究実践校及び共同研究校が
一体となって共同実施について研究協議する「地区別研究協議
会」を設置している。
近郊地域型 【 佐土原町 】
< 形 態 >
●週1回火曜日半日程度。月末や上旬に1時間ほど給与・旅費書類作成会や随時必要に応じて集まる。
●中学校1、小学校2(3校4名)
●兼務辞令あり。
●区域内の巡回あり。
●中心校に1名の加配。
< 業 務 内 容 >
●校外活動や外部講師依頼等に関する事務の流れの標準化や情報の提供・バスの手配
●作品応募の集約・発送、ソフト教材一覧表の作成等の教育活動運営支援
●施設・設備補修事務の共同管理
●地域住民への学校の情報提供(広報紙の発行)
●校務分掌組織の見直しと改善(総務委員会の設置)
広域地域型 【 串間市 】
< 形 態 >
●週1回木曜日1日。
●中学校3、小学校3(6校小中兼務1名含む6名)
●兼務辞令あり。
●中心校に1名の加配。
< 業 務 内 容 >
●若年層や臨任の事務職員等への学校巡回支援
●学校環境整備計画や高額備品の合同予算要求
●校外活動等の渉外業務や契約・支払い
●教材費等の保管・支払い等
山間地域型 【 北浦市 】
< 形 態 >
●週1回木曜日1日。
●中学校2、小学校2 分校1(5校、分校兼務1名含む6名)
●兼務辞令あり。
●中心校に1名の加配。
< 業 務 内 容 >
●町予算の一括管理と町全体にかかわる補助金等事務の一部を担当
●成績処理のデータ入力
●校納金集金支払い事務
●教職員へのパソコン技能修得支援
●事務処理のシステム化とパソコンの活用等
都市地域型 【 延岡市 】
< 形 態 >
●月3回半日程度。
●中学校2、小学校4(6校7名)
●随時参集とFAX等の活用。
●兼務辞令あり。
●中心校に1名の加配。
< 業 務 内 容 >
●定例的事務処理を組織的に処理することを基本とする。
●事務処理システムの確立(事務管理ソフトの導入と活用、年度更新)と事務・学校広報の作成
●学校行事案内のためのホームページの開設
●校納金集金・会計管理システムの改善
●図書管理バーコードシステムの導入等
【広島県の詳細】
< 形 態 >
<事務長等の位置づけ>
●拠点校へ配置し、関連校の事務長を兼務する。
●上司の命を受け、拠点校及び関連校の事務を掌握する。
●所掌に係る拠点校及び関連校の校長の事務の一部を専決する。
< 共同事務室 >
●拠点校の事務室を共同事務室とし、各学校の事務職員が兼務する。
●共同事務室は、共同処理する事務を分掌する。
●事務職員は、共同処理するため必要な期間は、共同事務室に勤務し、その他は、各校に勤務する。
< 特 徴 >
●一職一級制の給与上の処遇改善=8級格付(管理職手当支給)を確保する手段として、共同実施を県教委が提案する。
●学校に勤務し必要に応じて共同処理する。現在週1回半日程度。
●加配なしで、事務の効率化(書類の相互点検・研修機能とあわせて相互支援体制)をはかる。
●8級職としての職階制を機能させるために、事務長に対して兼務発令をすると同時に給与・財務等の一定の権限を委譲させている。
●共同実施を行ったところから事務長発令がなされ、大半の事務長は7級どまりで、わずか総括事務長のみが8級へ昇格する。現在5名の事務長のうち4名が高校からの起用である。
編集後記
いかがですか?
全国では、共同実施の目的や意義、内容や方法、いずれにしても同じものがありません。 そういう意味においても、富山県での共同実施の目的や意義をしっかりと考えていかなくてはならないのではないでしょうか。
15年度から福光町は加配をもらって、宇奈月町は加配なしで、事務の共同実施が行われることになっています。
「学校にいてこそ学校事務職員」とはよくいわれる言葉ですが、私たちが学校で何をするか何をしていくかが、これからの学校事務職員を大きく変えていくのではないかと感じます。
私たちの仕事の一つ一つについて、子どもや保護者・地域や教職員としっかりと連携し、それぞれの学校の教育に根づいた学校事務の創造を今こそ展開していかなければならない時機にきているのではないかと思います。