開催日時:2020年2月17日 15時~17時
開催場所:日大理工駿河台校舎タワースコラ6階S620会議室
https://www.cst.nihon-u.ac.jp/campus/surugadai/
参加費:無料(国際津波防災学会非会員も参加可能)
参加申込:資料の準備のため、参加者は、以下のサイトからお申し込みください。
15:00 開会挨拶
市川洋(津波防災対策検討分科会 幹事)
15:05 講演
東日本大震災後の津波防災地域づくりにおける技術的課題
星上 幸良(日本大学理工学部海洋建築工学科 准教授)
15:50 報告、意見・情報交換
1)第1回公開検討会準備状況(趣旨、話題提供者、プログラム、他)報告
2)調査活動報告
a.津波災害の特徴
b.他学協会・組織の津波防災対策策定指針
3)ガイドラインの構成・内容について(意見交換)
4)津波防災対策手法・技術の体系化について(意見交換)
16:55 閉会挨拶
浜田英外(津波防災対策検討分科会 幹事)
17:00 解散
東日本大震災後の津波防災地域づくりにおける技術的課題
星上 幸良
要 旨
2011年3月に発生した東日本大震災の内、特に津波災害は我が国の築き上げた沿岸まちづくりの防災リスクの脆弱さを明らかにした事は言うまでもない。震災から約9年が経過し、被災地への復興支援は未だ必要とされつつも、減災を目指したハード面での復興事業は収束を迎えつつある。
これらの復興事業に適用された計画手法は、被災時に制度化されていた従来の技術であるが、震災復興を急ぐあまりに、十分な評価や議論がなされないまま各地で適用・展開された印象が強く、近年、復興状況を視察する限り、津波防災地域づくり法が目指しているまちづくりの実現とはかけ離れた現状があるように思える。この背景には、計画や技術を適用する際の「丁寧さ」に欠けていた事が挙げられる。
本講演では、震災復興の現場に携わった技術者の立場から、復興計画策定上の留意点について様々な角度から提起し、問題解決の一助となれば幸いである。
准教授 星上 幸良(ほしがみ・ゆきよし)
専門分野:海岸保全計画(津波・高潮・海岸侵食),沿岸環境学,住民合意形成
略歴:
1965年、 東京都葛飾区生まれ
1988年3月 日本大学理工学部海洋建築工学科 卒業
1988年4月 国際航業(株)入社 海岸・海洋の調査・解析・計画設計に従事
2005年9月 日本大学理工学研究科海洋建築工学専攻 博士後期課程修了
2019年3月 国際航業(株)退社,4月より日本大学理工学部に着任.
国内外の海岸侵食や沿岸域管理の実務に係わる中で,海岸での物理現象や人為的圧力に興味を持ち,仕事の傍ら調査研究に取り組む.恩師の助言で社会人博士課程を受講し修了.更に東日本大震災の復興事業に係わり,海と人間社会の接点である沿岸域管理の重要性を再認識した.30余年のコンサルタントとしての実務経験を技術者育成に活かすべく母校に就学.
沿岸域で生じる,海岸侵食や津波高潮による災害,環境破壊などの諸問題は,人間の社会活動による影響が大きい.また,こうした問題は,海岸の物理現象や動植物の生息環境に加えて,その地域の歴史や人間の思惑が,複雑に絡んだ“縮図”である.こうした課題に対し,最新技術を活用して客観的かつ科学的に紐解き,環境保全と防災の両立を目指し研究に取り組んでいる.