校歌の由来

津具中学校の校歌の由来を、校歌碑除幕式(昭和56年5月29日)の式典次第から引用してみます。

なお、現在の校歌碑は第1回卒業生(昭和26年3月卒業)から寄贈されたものですが、校歌が制定されたのは昭和27年5月18日。第1回卒業生は在学中校歌を歌うことなく卒業していかれました

津具中学校校歌

一、 あなたのし よきひとの かしこきひとを 育てんと 愛の花さく津具中 たのし 樂しからずや

二、 あな尊 愛なくば 荊のあら野 人の子と 生れし幸もいづこにありや つとめざらめや

三、 あなうれし よきひとの 淑き傳統をうけ纖ぐと 名に負う村の若人 われら自敬せでやわ

四、 あなさやけ 山川の清き故郷天地の さやさや淨き美し津具村 いとしかりけり

五、 面白の 面白の わが任なれや むびあい 力を協せ 好き村造る その眞木柱

六、 朗らかに 朗らかに ことほぎ いわう たら乳根の おもと君なる津具中 尊 智惠の苗圃

                                         

「校歌除幕式次第」より引用

郷土が生んだ文学者今泉浦治郎先生の作詩をいただいたので、次は作曲を誰にお願いしたらよいかということになりましたが、たまたま今泉若枝先生が名古屋在住の音楽家森一也先生と旧知の間柄であるということで、先生に森先生のお宅までお願いにいってもらいました。

 ところが、森先生は作詩をご覧になって「この素晴らしい詩には私の先生の平井康三郎先生の曲が相応しい。私からお願いしてあげましょう。」というお言葉で、はからずも名曲平城山の作曲者として高名な平井先生の曲をいただくことができました。

 このようにして、わが津具中学校の荘重にして幽雅な校歌は生まれました。

 校歌の発表会には、森先生にご来校いただいて歌唱指導をしていただきました。

 なお、森先生には生徒歌の作曲をしていただきました。                                                                                                                                              

                                    (初代渡辺校長記)

作詩者今泉浦治郎先生略歴

明治14年4月17日上津具村中林に今泉源治郎氏の6男として生まれる。

明治27年下津具高等小学校卒業後しばらく農業に従事し、愛知師範学校に入学する。卒業後国漢の文検にパスし、私立郁文中学校、廣島甲種工業学校に奉職、大正5年京大英文専科を卒業して文学士となる。

その後、愛知第一師範学校、山口高等商業学校で教鞭をとり、61才で退官する。この間、サイラス・マーナーの翻訳(日本で最初)など翻訳活動に力を入れる。

昭和27年津具に帰省、北設風土記など津具村や北設楽郡に係わる著作に没頭する。

晩年は横須賀市に居を移し、昭和39年82才で逝去。

 号 凡空山人  叙勲正五位勲五等瑞宝章    (縁故者今泉若枝先生談 北設風土記参照)


作曲者平井康三郎先生略歴

1910年9月10日生まれ高知県出身 本名保喜

1934年東京音楽学校ヴァイオリン科、36年同研究科作曲科を卒業。36年に第5回音楽コンクールにカンタータ《不尽山を見て》が第1位入賞。1947年までは東京音楽学校で作曲を教え、日本作曲家組合副委員長などをつとめる。

愛唱されている歌曲が多いが、《平城山》がとくに有名である。その他、歌曲集《日本の笛》《日本の花》《平井康三郎名歌曲集》などがある。       (音楽之友社標準音楽辞典より)

(引用終了)                          

卒業生の皆さん 文語体の格式ある校歌を今でも何も見ずに最後まで歌えますか?(サイト管理者は2番から既に怪しいです・・・)

生徒の歌

ところで校歌のほかに、生徒の歌があったのをご存じでしょうか?

そのあたりのいきさつについて、津具村学校沿革史(昭和49年3月15日  津具村教育委員会発行)から引用してみます。

 本校の誇るものに27年渡辺校長が制定した校歌がある。

 作詞を今泉敏上津具村長を通じ伯父で偉大な国文学者浦治郎先生にお願いし、先生から二つの詩を戴いた。文語体で格調高いものを校歌に、口語体で平明な方を生徒歌に選び、その作曲を今泉若枝先生を通じて先生が県一高女奉職時の同僚で高名な森一也先生にお願いした。先生は生徒歌だけを作曲され校歌の方を恩師の平井廉三郎先生にお願いして下さった。作詞が浦治郎先生であった事と、一番弟子の森先生のご好意からのご盡力で、当時作曲界の最高峰平井大先生が心よく一中学の為作曲戴けたのであった。

(引用終了)

その津具中生徒の歌は以下のとおりです。

津具中学校生徒の歌

一、 愉快だ愉快だ ここで育ち ここで学び

   知恵と愛と力と 光のかがやく かがやく 朝日の朗ら若人

二、 若人われら 強いからだ 熱い血潮

   浄い心 たしかな知識のすくすく すくすく 伸びさく 花だ 木の実だ

三、 ぴちぴちはねとむ 鮎のような 若いすごい

   力光 何にも負けない 若人若人 我等だ 千里一跳び

四、 津具中 りつぱよ 檜 杉柾てらら光り

   廣い お庭 白玉みがきの明るい明るい 学校 たのし なつかし


今回、学校に保管されていた楽譜から、音源を起こしてみました。

演奏(伴奏譜の編曲も含む)をしてくれたのは、依田遥香さん(平成21年度第60回卒業生)。

依田遥香さんは現在ワルシャワのポーランド国立ショパン音楽大学修士課程に留学中です。

生徒の歌.pdf