会員企画
本企画は、会員からの申し込みによって開催される会員企画で、他の一般的な研究発表と同様に会員本人の責任において発表されます。
小講演1(27日(火)13時30分~)
◆抵抗と服従―フランクル,ミルグラム,そして間接的抵抗ー
講演者 辻本昌弘(東北大学大学院文学研究科教授)
昨年,講演者の辻本昌弘教授が,『社会心理学研究』第39巻2号に,モノグラフ「間接的抵抗について」を発表した(https://doi.org/10.14966/jssp.2212)。この論文は34ページという,異例の長さである。感銘を受けた企画者は,授業でこれを取り上げた。すると,学生の授業評価アンケートで,「間接的抵抗の話は,神回だった」という賞賛を受けた。これも珍しいことである。しかし,学会内では,賛否両論があるのではないかと想像する。本企画では,まず,辻本教授から,フランクルの人間観やミルグラムの服従実験を参照しつつ,間接的抵抗を思想史的・心理学的文脈に位置づけた上で,間接的抵抗事例を理論と実践の両面から紹介していただく。その後,企画者が指定討論者として講演内容を振り返りつつ,講演者,並びにフロアの皆様と討議する。ウクライナやガザをはじめとする戦争・紛争の影が世界を覆う今こそ,間接的抵抗研究について議論を深めたい。
講演者の略歴:東北大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。 いわき明星大学人文学部専任講師をへて現職。
主な業績:辻本昌弘(2023) 間接的抵抗について, 社会心理学研究 39(2) 107-140.
辻本昌弘(2021) 社会科学における生活史研究,再考, 質的心理学研究 20(1) 63-81.
辻本昌弘, KUDA Alejandro(2012) アルゼンチン日系人の生活と体験 : 20世紀前半のブエノスアイレスを中心に, 文化 76(1) 136-115.
企画・司会・指定討論 阿部恒之(東北大学大学院文学研究科教授)
小講演2(28日(水)10時30分~)
◆東北の文化とトラウマケア−ウチとソト、そして共感−
講演者 中間裕美子(東北医科薬科大学病院認知症疾患医療センター公認心理師)
東日本大震災から13年。沿岸の風景は大きく変わりました。災害と復興には、ウチとソトのバウンダリーのために、「分かってほしい」「分かってもらえない」という葛藤や喪失感が交錯します。仙台はお茶っこ文化が根付いており、災害や復興のプロセスを支えています。心を通わせて温め合い、勇気づける習慣であり、心理学の言葉では共感です。鎮魂と復興、災害の備えのために、共感とバウンダリーの強みを活かしたシーケンス「5 step for Tohoku」をご紹介します。東北の文化と合う臨床的共感モデル「TIPモデル®」、海外のトラウマインフォームド教育、トラウマスチュワードシップを取り入れています。Take a lot away!
講演者の略歴:教育学修士(山形大学大学院)。山形大学、医療法人恒昭会 藍野病院、防衛省を経て現職。
主な業績:
(事例研究)中間裕美子(2006) 事例研究 やり直しの視点から見た希死念慮を持つ学生の心理面接, 学生相談研究, 26(3), p.198~208.
(口頭発表)中間裕美子(2020) 「特に問題ない」と繰り返す女性の問題意識とアプローチ, 第2回東北宮城糖尿病医療学研究会
中間裕美子(2019) 介入困難な症例と支援について, 第1回東北宮城糖尿病医療学研究会
企画・司会 中間裕美子(東北医科薬科大学病院認知症疾患医療センター公認心理師)