[台本]東西東西・噺屋:天犬 大火の興行 ─第九幕・畢ノ断片:ことごとく、すべてをおわらせる。─
○慈苑戸 畢(じえんど おわり)
??歳、女性
自称・一の一番弟子。
常に伏せ目がちでおどおどしている。
剣術に優れており、切れないものなど無い。
師匠である一の事が大好きで大好きで仕方が無い。
○半 シオン(はした しおん)
15歳、女性
畢の妹弟子。
とある組織で殺し屋として育てられ、かつて一を殺す為に派遣されたが、一が弟子にした。
戦闘能力において最強に迫る程の力と技術を持つ。
言動が少なく、感情も乏しいのでそこら辺を育み中。
○虚聞飛鳥馬華蔵閣 一(きょぶんあすまけぞうかく はじめ)
??歳、男性
畢とシオンの師匠。
いつも和服を身にまとっており、軽快に下駄を鳴らしながら歩く。
その発言は常に適当、だが何故か納得できてしまう言い分を必ずくっつけてくる。
自称・尊海 牢乎の弟子だが、そのような事実は無い。
第五幕にて死んでしまい、畢たちは彼の行方を知らない状態が続いていた。
慈苑戸 畢♀:
半 シオン♀:
虚聞飛鳥馬華蔵閣 一♂:
↓これより下が台本本編です。
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~厭離穢土欣求浄土・左心室~
(畢とシオン、沢山の怪異を相手している。)
畢:「はぁッ!!!!」
シオン:「ふっ!!!!」
畢:「鬼に一反木綿にぬりかべに妖狐に!!
キリがないよー!!」
シオン:「本当に、な!
他のところも、こんな感じ、なのか?!」
畢:「そうかもしれないね!オワリたちも頑張らないと!」
シオン:「そう、だな!」
畢:「──ッ!シオンちゃん!!」
シオン:「──ッ!!」
(シオン、間髪で避ける。)
シオン:「沢山居た怪異が一瞬で……!」
畢:「これ……!」
(畢、嬉しそうに振り向く。)
畢:「ししょー!」
一:「……。」
畢:「ししょー!ししょー!一(はじめ)ししょー!」(嬉しそうに手を振る。)
一:「……。」
畢:「もうどこ行っていたんですか……!オワリ、凄く寂し──」
シオン:「危ない!」
(シオン、畢を押して攻撃を避ける。)
畢:「え……?」
一:「……流石、半(はした)くんだ。
私の不可視の攻撃に気付き、いとも簡単に避けるとは。」
畢:「し、ししょー……?」
シオン:「ッ!どういうつもり、だ!ハジメ!
何故、姉弟子を、攻撃する!」
一:「何故。何故、か。
簡単な話だ。
私はここ、“厭離穢土欣求浄土・左心室(おんりえど・ごんぐじょうど・さしんしつ)”にて、
天狗・赤星(てんぐ・あかほし)に仇なす者を排する役目を帯びた、彼の分身体だからだよ。」
シオン:「どういう事、だ!」
一:「君たちの敵という事だよ。」
畢:「そ、そんな……!」
シオン:「姉弟子!コイツは偽物、だ!
ハジメがこんな事、言うはずが、無い!」
一:「ハハハ、偽物では無いよ。
偽物じゃない事は、オワリくんなら分かってるんじゃないか?」
畢:「っ!」
一:「オワリくん。」
畢:「……。」
一:「私が君に敵意を向けた時、君はどうするんだったかな?」
畢:「…………“私を、虚聞飛鳥馬華蔵閣 一(きょぶんあすまけぞうかく はじめ)を斬り殺せ”。」
一:「そう。さあ、武器を構えて。」
畢:「……。」(構える。)
シオン:「姉弟子……?ハジメ……?」
一:「来なさい。」
畢:「──ッ!!」
(畢と一、鍔迫り合う。)
一:「消化試合の始まりだ……ッ!!」
畢:「……ッ!」(涙ぐみながら一を睨む。)
(畢と一、何度か武器を交える。)
一:「すまないね、オワリくん。
私のやる事なす事、全て失敗してしまった。」
畢:「……。」
シオン:「どういう事、だ……?!」
一:「私はね。この世界を終わらせようとしていたんだよ。」
シオン:「な……!!」
一:「その為に作り出したのが、この子。慈苑戸 畢(じえんど おわり)なんだ。」
シオン:「作り出した……?!」
畢:「…………。」
一:「こらこらオワリくん。攻撃の手が止まっているよ。」(斬撃を放つ。)
畢:「くっ……!」(ギリギリで躱す。)
一:「オワリくんは、かつて咲き、私が摘んだ“災厄の華”を元に製造した人工的な“救世主”なんだ。」
畢:「はあッ!!」
一:「これは受けてはまずい、なッ!
──ッ!ハシタくん!!!」
シオン:「ッ!姉弟子の攻撃がこちらにもッ!!」
一:「いやはや是非も無しッ!!!“結界・三千世界(さんぜんせかい)”!!!」
シオン:「く……!あ、危なかった……!」
一:「間に合って良かったよ。」
シオン:「っ!姉弟子!何故アタシごと狙った!」
畢:「じゃないと、ししょーに攻撃当たらないもん。」
シオン:「な……っ!」
(一、拍手する。)
一:「素晴らしい。良い残忍さだオワリくん。」
シオン:「ハジメ……!お前、も、何を言っている……!」
一:「私がオワリくんに求めていた物だよ。
残忍さ、冷酷さ、冷徹さ、冷血さ、鉄血さ。
それを以てして、世界を終わらせる魔王になって欲しかった。」
間。
一:「けど、失敗した。」
シオン:「……?」
一:「実際のオワリくんは臆病で泣き虫。人を傷付ける事も避けたがる。
花を愛で、蝶を眺める、幼気(いたいけ)な乙女に成長した。
ハシタくんごと狙った攻撃も、私が防ぐと分かった上での行動。
自分の攻撃が通らない事を分かっての“残忍”なフリでしかない。
そんな君は──」
間。
一:「失敗作だ。」
シオン:「ハジメッ!貴様──」
一:「けど。」
(一、 武器を下ろす。)
一:「それで良いんだ。」
畢:「……!」
シオン:「……ハジメ?」
一:「臆病で泣き虫で良い。人を傷付けようとしなくて良い。
残忍さも、冷酷さも、冷徹さも、冷血さも、鉄血さも、君には必要ない。
何故なら──」
間。
一:「君はこんなにも可愛いのだから。」
畢:「っ!」
一:「オワリくんが可愛すぎて、私が何故世界を憎み、終焉を望んでいたのかも忘れ、曖昧になってしまった。
それまでは、あれだけ用意周到に事を進めていたというのに。
ハハハ。オワリくん。君は私から世界を救ってしまっていたな。」
(畢、武器を下ろす。)
畢:「……じゃあ、オワリたち、戦う必要無いじゃないですか……!」
一:「残念ながらそういう訳にもいかない。」
間。(一、シオンの背中を押して畢の方へ行かせる。)
シオン:「ハジメ……?」
一:「実を言うとね。理由は言えないが、私は既に死んでいるんだ。」
畢:「っ!」
一:「そんな私が何故、こんな場所へ顕れたか。
それは──」
(一から突然物凄い覇気が発せられる。)
畢:「っ!!」
シオン:「なん、だ!この気迫……!」
一:「先にも言ったが、今の私は、“天狗・赤星(てんぐ・あかほし)”の分身体に私の自我、経験、そして皮を被せられた存在。
この“災厄の華”、“厭離穢土欣求浄土(おんりえど・ごんぐじょうど)”の、黄泉の住人たちに、
君たちを掃討する様に命ぜられていてね。」
シオン:「なん……だと……!」
一:「ハシタくん。オワリくんを頼むよ。」
間。
一:「閑話休題。それはさておき。ともかく、だ。
ここからが本番だ。
二人とも、しっかり私を倒しておくれ。」
畢:「……。」
シオン:「……やる、ぞ!姉弟子……!」
畢:「……うん!」
一:「とは言えせっかくなので私も本気だ!」
シオン:「ッ!!」
畢:「シオンちゃん!目を瞑って!ししょーを見ちゃダメ!!!」
シオン:「相分かった!」(目を瞑る。)
一:「私の幻術をまず封じるか!だがその状態で私の攻撃が避けられるかな!?」
シオン:「心配無用、だ!」(一に向かって駆けていく。)
一:「──ッ!」(後ろに飛び退く。)
シオン:「目を瞑っていようと、耳を塞いでいようと、鼻をつまんでいようと──」
一:「完全に私に着いてきているッ!!」
シオン:「仮に五感を奪われていようとッ!アタシのナイフはハジメの急所を貫くッ!!」
一:「ぐおッ!!
──だが今の私はその程度は死ねないぞ!!」
畢:「シオンちゃん!」
シオン:「分かってるッ!!」(退避する。)
畢:「『絶技』ッ!!」
一:「ッ!!?」
畢:「『“四枚華(しまいばな)”ッ!!』」
(畢の刀、一瞬で2回斬り、で一を四分割する。)
一:「ぐおおっ……」
畢:「手応えがない!シオンちゃん!!」
シオン:「姉弟子から北東方向に30メートルだ!高速で移動した!!」
畢:「了解──ッ!!」(一瞬で一との距離を詰める。)
一:「私の幻影が消える間も無く本体の私の下に“縮地(しゅくち)”で迫るか!
しかし私とてそれくらいは読めているッ!
『絶技・“紅紫乱星(こうしらんしょう)”』!!」
畢:「ッ!!『絶技・“紅紫乱星(こうしらんしょう)”』!!」
一:「無数の連撃を同じ絶技で打ち消すとは!なんという力技!
だがそれが出来てしまうその技術!その“目”!師匠としては実に嬉しい!!」
(一、一瞬テンポをズラし──)
一:「しかし!!──」
畢:「ッ!!」
シオン:「だからこそ変則的な攻撃には弱い、だろ!」
(シオン、一の攻撃を防ぐ。)
一:「くっ!オワリくんが届かぬ所をハシタくんがカバーする……!素晴らしい!!
それらも読んでしまっている自分が歯痒い……ッ!!」
畢:「ッ!!」
シオン:「ッ!!」
(畢とシオン、つい目を開けてしまう。)
一:「目を開けたな?私の次の手を予測する為に。情報を取り入れようとする為に。
私の目を見たな!」
シオン:「しまった!ハッタリ、か!」
一:「今この瞬間ハッタリではなくなった!!
さあどう脱出する!!」
シオン:「ぐ……!何も、見えない……!!何も感じない……!だが、それでも……!
っ!この感じ……感じないんじゃ、ない……全てが曖昧なのか……!」
(一の声が響く。)
一:『その通りだとも、ハシタくん。君は今、世界との境界線が曖昧になり始めている。
早く脱出しなければ元には戻れなくなってしまうぞ?』
シオン:「脱出って、一体どうすれ、ば!
師匠ならこの幻術からの抜け出し方を事前に教えろ!!」
一:『ハハハ!ハシタくんには結局何も教えられていなかったな!
いやはやすまない!』
シオン:「く……!確か、姉弟子が言うには、幻術といえど、ハジメのは次第に現実になってしまうのだった、な……!
だとしてもどうすれ、ば!!」
畢:「大丈夫だよ、シオンちゃん。」
(畢、シオンの手を掴む。)
シオン:「っ!姉弟子……!」
畢:「シオンちゃんは“居る”よ。オワリが認識している。」
シオン:「──っ。姉弟子……アタシもオワリを認識している……!」
(シオンの世界が元に戻る。)
シオン:「戻った……!」
一:「完全に看破されてしまったか。
まあ、オワリくんは私の術の全てを熟知しているが故、当然といえば当然か。」
畢:「…………。」
一:「私のとっておきを看破されてしまった以上、もはや私に勝ち目は無いな。」
シオン:「ハジメ……」
一:「だが、私の負け目も無い。」
シオン:「ハジメ?」
一:「幸いにも私が君たちを殺すことは無くなったという事だ。
不幸中の幸いでしか無いがね。」
畢:「……。」
一:「私は君たちを倒せやしない。そして君たちも私を倒すことは不可能だ。
故に、世界の反転は止まらない。
否。それは大火(たいが)くん達の頑張り次第か。
だが、天狗・赤星(てんぐ・あかほし)の分身体である私が居る以上、
“厭離穢土欣求浄土(おんりえど・ごんぐじょうど)”は消えない。
世界を蝕み続ける。」
シオン:「なに……!」
一:「さあ、どうする?」
畢:「閑話休題。」
一:「!」
畢:「それはさておき。」
シオン:「オワリ……?」
畢:「ともかく、だ。」
(畢、目つきが変わり、一の様な口調になる。)
畢:「“虚聞飛鳥馬華蔵閣 一(きょぶんあすまけぞうかく はじめ)”が、そこまで断定するだなんて、
いやはや、明日は槍でも降りそうだな。」
一:「…………オワリくん。今更私の真似などしても──」
畢:「何を言う。私も、君も。虚聞飛鳥馬華蔵 一(きょぶんあすまけぞうかく はじめ)だよ。
事実、その過去がある。」
シオン:「オワリの雰囲気が、完全にハジメと同一になってい、る……?」
一:「…………。」
畢:「そうだろ?私?」
一:「……そうだな、私。
で、何を考えている。今更何をする。」
畢:「決まっている。」
間。
畢:「そして。」
間。
畢:「“私の目を見たな。”」
一:「ッ!!!」
シオン:「ッ!!!!!!!!!!!!」
一:私の“とっておき”を使われた。
幻術により、対象者の認知を曖昧にし、次第に無に還す術。
この術への対処法は知っている。何故なら、術者本人だから。
故に、オワリくんの目論見は──
間。
一:「──なんだ……?」
一:──違う。
私の術じゃない。
これは──
畢:「そう、私が“慈苑戸 畢(じえんど おわり)に求めた物”。
延いては、“なりたかった自分自身”。」
一:「……世界を“おわり”に導く者……。」
畢:「そう。それを、今から──」
畢:「ししょーを助ける為だけに使います。」(元の畢の口調で微笑む。)
一:「────。」
畢:「……。」(目つきがまた変わる。)
シオン:これは、彼女が、慈苑戸 畢(じえんど おわり)のみが認知した世界の出来事。
その時間は一瞬。否、須臾(しゅゆ)。否、涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)。
否、そも時間の経過等と言う事象さえも起こっていない。
畢:「ッ!!!!!!!!!!!!」
(畢、目を見開く。)
畢:「ほう。私自身、初めて使うが、これほどまでか。
世界を騙しきる為の壁とは、げに険しい。」
一:仮に尊海 牢乎(とうとうみ ろうこ)や天犬 大火(あまいぬ たいが)が扱う“概念改竄”の力を、“世界を納得させる力”をプラスと考えるのなら、
私の扱う、私の目指した“世界を騙しきる力”はマイナスであろう。
世界を納得させ、その通りに世界を組み替える力に対して、
“元々そうだった”と世界を騙し、“あった物”を“無かった物”に認識させる。
畢:「思いの外、長旅になりそうだ。
だが、そんなに悠長に事を構えるわけにも行かないのでね……!!」
(畢、駆け出す。)
畢:「──くっ!距離がどんどん遠く……!」
シオン:“宇宙の始まりと終わり”の距離。物理的な距離では無い。認知の距離である。
世界が認知を、因果・事実を破壊する事を察知したのだ。
畢:「もっと!もっともっと早くッ!!
早く、疾く、速く、はやく!!!!!」
一:破壊しようとする因果。それは、私が天狗の分身体になった因果・事実。
本来であれば、私に埋められた天狗の核を破壊すれば、私諸共消滅する。
が、それらの因果を乖離させ、天狗の核のみを“元々無かった”と世界を騙すつもりなのだ。
畢:「…………駆け出してからどれほど経った……?
何年経った……?何十年経った……?何億、何兆年経った……?
どれくらい──」
(畢、更に駆ける。)
畢:「ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シオン:後ろを振り向けば、因果に、全てに追いつかれる。
故に、走る。奔る。趨る。
畢:「────捉えたッ!!」
一:到達する。破壊すべき因果へ。
畢:「──届く!私の刃が──」
間。
畢:「──が……」
シオン:限界を迎えた。
畢:「………………な、なん……」
一:何故。理由は単純明快。
畢:「オワリが……ッ、失敗作だから……ッ」(素に戻ってしまう。)
シオン:“救世主”にも、虚聞飛鳥馬華蔵閣 一(きょぶんあすまけぞうかく はじめ)にも、世界を“おわり”に導く者にも、届かない。
畢:「とどか……ない……」
間。
畢:「『絶技』。」
間。
畢:「『畢、畢畢(ことごとく、すべてをおわらせる)』。」
一:失敗作である彼女は、誰かに成るのでは無く、
“慈苑戸 畢(じえんど おわり)”として、高みへと至った。
シオン:ハジメの内的宇宙に、天狗の核に、一線が通る。
だが、まだ世界はその事象を認知していない。
一:だが、これで終わりでは無い。
むしろここからが──
畢:「──ッ!!」(振り向く。)
シオン:置き去りにしてきた、宇宙の始まりから終わりの距離が、
何億何兆年分の積み重ねが、熱量が、全てが向かってくる。
畢:「ッ!!!」(駆け出す。)
一:因果が、事実が、事象の全てが彼女を、否。虚聞飛鳥馬華蔵閣 一(きょぶんあすまけぞうかく はじめ)を斬らんが為に駆けてくる。
これを断ち切らねば、全て無意味。
畢:「はぁああああああああああああああああああッ!!!!」
間。
畢:「…………。」
シオン:因果は断ち切られた。
畢:「……。」
シオン:置き去りにしてきた、宇宙の始まりから終わりの距離が、
何億何兆年分の積み重ねが、熱量が、全てが、無かった事になる。
一:「……。」
シオン:……彼女が“騙したかった事実”と共に。
一:「……あっぱれだ。オワリくん。」
畢:「……ありがとうございます。」
一:「いやはや、私が死んだ事実さえ、斬るとは。恐れ入った。」
畢:「…………えへへ……」
(畢、膝を着く。)
シオン:「オワリ!」
(シオン、畢の下へ駆ける。)
一:「君は、君のまま。素晴らしく成長した。
私は、とても嬉しいよ。」
シオン:「大丈夫、か……オワリ……!」
畢:「…………うん。」
シオン:「鼻血出てる、ぞ!」
一:「…………では、私たちの役目は終えたし、皆より先んじて此処を後にしよう。」
シオン:「そう、だな。
……オワリ、肩を貸す。」
(畢、担がれる。)
畢:「……ししょー……」
一:「ん?どうしたんだね、オワリくん。」
畢:「ししょーは……他の人たちを、助けてあげてください……。」
一:「……。」
畢:「タイガくんたちの……助けに……今の、オワリじゃ……出来ないから……」
シオン:「オワリ……」
畢:「お願い……します……。」
一:「……仕方が無い。可愛い可愛い我が弟子のお願いだ。」
畢:「えへへ……ありがとう……ございます……」
一:「……。」
シオン:「安心し、ろ。オワリは必ず守る。」
一:「ああ、頼んだよ。
ハシタくんも気をつけて。」
畢:「あ……待って……」
一:「ん?」
畢:「おかえりなさい……ししょー……」
シオン:「おかおか、ハジメ。」
一:「────。
ああ。ただいま。オワリくん、ハシタくん。」
間。
一:「本当に、素晴らしい弟子たちだ。」
間。
一:「とりあえず、こちらももう。」
間。
一:これにて終幕。
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