この度、鳥取県臨床細胞学会会長を拝命いたしました佐藤慎也と申します。会員の皆様にご挨拶申し上げます。私は1997年に鳥取大学医学部産婦人科に入局、紀川純三先生のご指導のもと婦人科細胞診を学んでまいりました。2008年に細胞診専門医を 取得し、現在は婦人科腫瘍科科長として婦人科診療に携っております。このような重責を仰せつかり、身の引き締まる思いです。本学会ならびに鳥取県の細胞診の向上に尽力する所存です。諸先輩方の築いてこられた伝統を守りながら、時代の変化に柔軟に対応したいと考えております。
日本臨床細胞学会のミッションは3つ掲げられています。1つ目は「細胞診で医療現場を支える」ことです。細胞診は病理組織診断と共に日常診療のなかで極めて重要な役割を果たしています。これらの業務は、細胞検査士、臨床検査技師、病理診断医や臨床医のチームワークで成り立っています。近年の遺伝子検査、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬の導入により、細胞診の役割は変化しています。未来の細胞診に向けての期待はさらに高まると考えられます。2つ目は「積極的な研究活動の支援を行う」ことです。細胞診断学は単なる形態学と1対1対応の診断ではないのが奥深く魅力的なところです。細胞診断学は、生化学、生理学、解剖学、血液学、免疫学、病理学など多様な分野の基礎になりうる、古くて新しい学問と言えます。客観的なゲノム情報の導入により、主観的な要素を含む細胞診はさらに理解が深まると思います。学会活動などを通じて、新たな視点での研究を支援していきます。3つ目は「細胞診に関する情報を発信する」になります。鳥取県臨床細胞学会は、鳥取県支部会として地域での活動をおこなうと共に、地方と中央を繋げる役割を担っています。子宮頸部細胞診に関しては、いよいよHPVプライマリー検診(HPV単独検診)が導入されます。学会や医療従事者だけでなく、自治体を含めたすべてのステークホルダーが医療DX化を理解し進めていくことが求められます。また、次代を担う若手の育成や細胞診関連の資格を取得・維持して、細胞診の診断精度を向上させることも学会の使命と考えております。これらの活動を着実に進めていく所存です。
最後に、鳥取県臨床細胞学会の更なる発展のため、会員の皆様のご支援、ご指導を何卒よろしくお願い申し上げます。
鳥取県臨床細胞学会 会長 佐藤 慎也