セミ幼虫の生態と機能

セミ幼虫が樹木に与える影響や他の土壌動物との相互作用に興味があります。セミ幼虫は長寿命なので様々な齢構造の個体が同じ時間・空間で生息します。形態も齢によって大きく違います(下写真)。こうした特徴は他の昆虫にはみられないので、セミを使って地下部の植物-植食者相互作用を 研究することで新しい発見があるかもしれません。2021年度時点では、カラマツ実生を植えたプラケージでのアブラゼミ飼育システムの確立に成功しています。

関連論文

 Tomita & Makoto (2021) Development of experimental mesocosms for cicada nymphs Graptopsaltria nigrofuscata: methodology and research recommendations. SOIL ORGANISMS 93 (3): 207-212.  (open access)

左がコエゾゼミの終齢幼虫、右がコエゾゼミの若齢幼虫

カラマツ苗で生育されたアブラゼミ幼虫

アブラゼミの巣穴の様子

土壌動物の河川流入

陸域から河川への資源流入は河川生態系にとって重要です。偶然札幌の小さい河川にキタヤスデがたくさん落ちていることを見つけました。また、これらの死体がカワニナに喰われている様子も観察できました。土壌動物は陸域食物網では腐食連鎖に含まれるため、葉を食べる鱗翅目幼虫など生食連鎖とは分けて考える必要があるのかもしれません。また、ワラジムシやヤスデは外骨格が炭酸カルシウムであるため元素レベルで見ても陸生昆虫とは異なる機能を持つ可能性があります。

関連論文

 Tomita (2022). Millipedes diving into a small tributary. Frontiers in Ecology and the Environment 20(4): 239-239

小河川に落ちているキタヤスデ

ヤスデを食べているカワニナ