ペロフスカイト型酸化物は化学式ABO3であらわされ、図1のような構造をしています。この酸化物は、強誘電性、強磁性、電気伝導性、イオン伝導性など多彩な物性を示し、A、Bイオンの組み合わせを変化させることでこのような物性をコントロールできることから様々な分野で応用されています。しかし、A、Bイオンの組み合わせには限界があり、すでに多くの研究がなされいるこれら化合物群の中から新しい化合物を探索、合成することは容易ではありません。そこで私たちの研究グループでは、陰イオンに異なるイオン種を導入した複合陰イオンペロフスカイト型化合物に着目しました。これら化合物ではA、Bイオンの組み合わせに、さらに陰イオンの組み合わせが加わることから、可能である化合物の範囲が大きく広がります。 ペロフスカイト型酸フッ化物はこのような複合陰イオンペロフスカイト型化合物の1つです。これまでの研究では、その合成が報告されているものの、結晶構造や物性について詳しく調べられていない化合物がほとんどでした。私たちのグループではこのような化合物についてその結晶構造、物性を調べることで、これら化合物の機能性材料としての可能性について検討し、また新しいペロフスカイト型酸フッ化物の合成にも取り組んでいます。これまでに、PbFeO2F(正方晶)、PbScO2F、BaInO2F、SrMnO2Fなどの新規化合物の合成に成功しており(図2)[1,2]、また(1-x)BaTiO3-KTiO2F固溶体を合成し、x=0.15で緩和型強誘電体となることを明らかにしています(図3)[3]
[1] Crystal and magnetic structures of high pressure perovskite-type oxyfluorides, PbFeO2F and 0.5PbFeO2F-0.5PbTiO3 [Pb(Fe0.5Ti0.5)O2.5F0.5], Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 988E, 0988-QQ06-03 (2007).
[2] Synthesis of novel perovskite-type oxyfluoride, PbScO2F, under high pressure and high temperature, J. Solid State Chem., 181, 2737-2740 (2008).
[3] Structure and dielectric properties of high-pressure perovskite-type oxyfluorides, xKTiO2F-(1-x)BaTiO3, J. Appl. Phys, 104, 044101-1 - 044101-8 (2008).