入賞事業一覧
応募エントリーいただいた事業4件について厳正なる審査を行い、下記の通り入賞事業を選定しました。発表は「第2回とうほくSDGsアワード」表彰式当日に行われました。
優秀賞
国分東北株式会社(仙台市)及び三陸ラボラトリ株式会社(岩手県大船渡市)
規格外三陸ホヤの有効活用による
地域活性プロジェクト
2020年10月岩手県漁連からの切実な相談をもとに、破棄していた小さいホヤの商品化を計画。商品にしても売りにくいため『SDGsの理念によって⽣まれた商品』と謳う事により他との差別化を実現させた。障がい者アートで水産魚の課題解決に取り組んでいるへラルボニーの協力を頂いたデザインを産地シールとして使用し付加価値の実現した。水産業者、地域社会の事業継続、雇用確保を創出している。さらにこの事業を継続する中で漁港の方との会話の中から販売出来ない雑魚を生鮮魚介類のセットとして販売する「鮮魚BOX」を考えて新たに実現した。
審査員コメント:「私もツール・ド・東北の復興イベントなどでおいしい三陸のホヤをいつもいただいている。この事業では老舗企業である同社(国分東北)がホヤの廃棄問題を感度良く受け止め、かつ水福連携という新たな取り組みで、食品ロスの削減のみならず、アウトサイドインの発想により社会課題起点の新しい商品、サービスを生み出した。この先も事業をどんどん拡大し、全国、さらには海外へ広がって欲しい。今後もご活躍されることを願う」森摂(株式会社オルタナ代表取締役、SDGsとうほく顧問)
受賞者あいさつ:「ビジネスという形で発表させて頂いたが、この度皆様のお話を聞いて非常に参考になったし、何より続けることが大切だと実感した。我々も色々な形で貢献していきたい。」(国分東北様)、「ビジネスである以上、環境やSDGsに配慮しつつ利益にするというのは一番難しい課題。しかし共通の目的は『持続可能』という点である。今後もさらに持続可能な状態にしつつ利益を生み出せるようにできれば、自然とSDGsが社会に認知され当たり前になり、生活の軸になると思う。生活の中に溶け込ませるという課題にも次のステップとして取り組んでいきたいと思う。」(三陸ラボラトリ様)
奨励賞(応募順)
森永乳業株式会社福島工場(福島市)
工場及び従業員による包括的フードバンク支援事業
賞味期限間近の災害備蓄品や、従業員家庭における余剰品を定期的に(年2回)取り纏め、近隣のフードバンク二本松へ提供している。当初は災害備蓄品の提供のみであったが、災害備蓄品の在庫や賞味期限にも限りがあるため、災害備蓄品だけでは継続的な支援が難しい状況であった。しかし、フードバンク二本松との継続的な意見交換を行うことで、従業員家庭からの余剰品収集や食料品に加えて衣料品や雑貨等の提要必要性を実感することで、自発的な継続支援が実現できている。
審査員コメント:「NPOのフードバンクと対話を重ね、従業員と一体となった支援で素晴らしいと思った。企業単独での寄贈の取り組みはよく行われているが、そこから一歩進めて、従業員を巻き込んで継続的な支援を行ったり、協力会社へ活動を広げたりしている。従業員一人ひとりに対し、社会貢献する機会を提供している点や、社会課題に対する意識を呼び起こしている点で、この活動は大変価値があると思う。これからも長期的・包括的に支援されることを期待している。」高浦康有(東北大学大学院経済学研究科准教授、SDGsとうほく理事)
受賞者あいさつ:「皆様の素晴らしい発表をお聞きし、改めて当社の活動をもっとブラッシュアップできるのではないかと実感するとともに、また引き続き取り組みを進めていきたいという思いを新たにした。」
奨励賞(応募順)
株式会社仙台協立(仙台市)
世界一美しいごみ箱プロジェクト
ケヤキ並木の定禅寺通(仙台市)のごみ拾いの中で見えてきたごみの集積所の課題から、 ごみ箱をごみを隠す場所としてではなく、 ごみや自然環境への前向きな関心のきっかけにする 「世界一美しいごみ箱プロジェクト」が生まれた。このプロジェクトでは、私たちがごみを捨てる場所のひとつであるごみ箱に着目し、就労移行支援を行うチャレンジドジャパンの利用者らの協力を得て美しくデザインすることによって、ごみにまつわる色々な事例に意識を向けてもらうようにしている。
審査員コメント:「世界一美しいゴミ箱という身近なところから変える着眼点が素晴らしいと思った。定禅寺通りのケヤキの根元のゴミ問題に対し自社ビルの空き地を活用しようという発想は、できそうでなかなかできないことだ。またクリエイティブな発想でゴミ箱をデザインした着眼点も素晴らしい。障害者アートの活用は多様性・多次元性という現代のニーズに合っている。ゴミ拾いは運気アップの象徴。ぜひともこのプロジェクトの輪を広げ、テーブルアートを町中に広め、定禅寺通りが音楽とアートの街になることを期待している。」髙橋好郎(JOMON株式会社代表取締役、SDGsとうほく理事)
受賞者あいさつ:「作っただけで終わらずこれから広げていきたいと思っていたので、こういうきっかけをいただき弾みがついたと思う。もっともっと仙台市全域に広げていけるように頑張っていきたい。」
審査員特別賞
コトマグ(仙台市)
「創造性の循環」を生み出すデジタル漫才紙芝居
就労継続支援B型事業所 manaby (仙台市、名取市)CREATORSの利用者の独創的なアイデアをデジタル紙芝居というコンテンツに集約させ、世の中の人たちに「笑い」をお届けする。 障がいのある人たちが考案した、昔話をアレンジした斬新な台本と挿絵がシーンごとに漫才風(ボケとツッコミ)に展開していくデジタル紙芝居を制作。各シーンは個性的な複数のパターンの場面がプログラミングでランダムに展開するように設計されており、1作品でおよそ数億通りのバージョンが楽しめる仕組みになっている。このコンテンツは作り手、読み手が一方通行になるのではなく、鑑賞者の方々にも紙芝居の台本のネタを募集し、それをもとにイラストを描くという「創造性の循環」プロジェクトである。
審査員コメント:「学校における新聞活用の取り組みを続けているが、子供へのインプットにおいてゲームで楽しむ方法が有効だと思っている。その点で同社の取り組みに相当可能性を感じている。誰一人取り残さないという目標実現のためには、常識を越える何かが必要であり、ワクワクドキドキをどうつくるのかが大事である。デジタル紙芝居により、子供の創造性はもちろんのこと、エンタメの力で伝えることの意義を伝え、大人の固定化された思考も柔軟にさせてくれることに期待している。笑ってSDGsを実践できる機会が多く作れたらと思う。」畠山茂陽(河北新報社営業局営業部部次長、SDGsとうほくアドバイザー)
受賞者あいさつ:「まだ開発段階であり、初めて関係者以外の方々に披露したが、色んな反応や発想を得ることができた。これを活かしわくわく楽しめるものをつくっていきたい」
審査総評
審査委員長コメント:「各受賞団体のプレゼンテーションを聞かせていただき、SDGsとうほくとしていろいろな可能性が東北にはあると思った。企業と市民、行政が一緒になって取り組んでいくことの意味があらためて理解でき、私もみなさんと何かできそうに思えた。持続可能、サステナブルという課題に対して具体的にどのようなアクションが起こせるのか、とかく実行できないと思いがちであるが、本日発表いただいた各社はいずれもその可能性に既に一歩踏み出していると思った。団体設立5年目を迎える当法人として去年、今年と受賞団体さんと新しいご縁がもてたことは意味があることかと思う。こうした場を東北のSDGsの活性化につなげられるよう、みなさんのご協力をいただきながら進んでいけたらと思う。」紅邑晶子(SDGsとうほく代表理事)
以上