9:40 - 10:15
ステップ・テスト - 歩行の敏捷性と機能的な可動性の臨床テスト
ジョン・ブリンクス准教授
VIA大学保健福祉技術研究センター(リハビリテーション・プログラム部門)
要旨 :
私たちの研究グループでは、臨床的バランス・テストであるシックス・スポット・ステップ・テストの妥当性について研究を行っています。バランス制御と転倒は、感覚、運動、認知機能の相互作用から生じます。これらすべての機能の影響は、高齢者や神経疾患のある人々に共通して見られます。臨床診療ガイドラインでは、このようなバランス制御障害及び転倒のリスクを抑制するために神経疾患患者や高齢者に対し、一人一人にあった介入を行うことを推奨しています。そのためにもバランスを測定する手段が必要であり、臨床的にも正確で信頼できる測定を行うことは、適切な治療と効果のモニターのために欠かせません。
多くのバランス測定法が存在しますが、最近、歩行中の安定性がどうかにも細かくみていきながら機能的な稼働性を測定するシックス・スポット・ステップ・テストが開発されました。 私たちの研究グループでは、シックス・スポット・ステップ・テストの検証を行うなかでシックス・スポット・ステップ・テスト認知を神経疾患患者と高齢者に行いました。シックス・スポット・ステップ・テストのなかでは、動作戦略の調整が常に求められていました。そしてそれ自体、日常生活活動のなかで見られる動作戦略に酷似していました。更にシックス・スポット・ステップ・テストは、5分以内で実施でき、場所も設備もほとんど必要としないため、臨床の現場で実施が可能であると考えられました。
10:15 - 10:50
遠藤慎也助教
東海大学健康学部健康マネジメント学科
要旨 :
私の発表では、超高齢社会を生きる日本において健康寿命を縮める一つの原因である“ロコモ(運動器症候群)“に着目する。
日本では、簡易的な3つのテストでロコモの度合いを判定する方法が考案されている。中でも、2ステップテストは最大の2歩幅を調べることで、下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価するテストである。高齢期においても歩行能力を維持することが、フレイルやサルコペニアの予防、QOL向上にも繋がることから、非常に重要な指標といえる。
近年では、高齢者に限らず若年者のロコモに関する報告や、認知機能・転倒リスク・栄養とロコモ度テストとの関連についても報告されている。本発表では、簡易的な測定の重要性や今後の可能性について考える機会にしたい。
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