2024年10月1日に東工大幾何セミナーの名称を東京科学大学幾何セミナーに変更しました.ちなみに英語名称は Science Tokyo Geometry Seminar としました.
金曜日16:30〜18:00の日程で東京科学大学(旧東京工業大学)大岡山キャンパス本館H352室にて行います【セミナー室への地図はこちら】.Zoomを用いたハイブリッド形式セミナーです.
世話人:中村 聡
自薦他薦を問わず講演者は随時募集しております.中村(s.nakamura (AT) math.titech.ac.jp)までご連絡をお願い致します.
1泊分の旅費の援助が可能ですので,お気軽にお問い合わせください.
ミーティングIDとパスコードは毎回共通です
Zoomリンク:https://zoom.us/j/94044965751?pwd=CwUkPwIL79bqYquUCqLkoAHCjMNUog.1
ミーティング ID:940 4496 5751
パスコード:FdM2n8
本学のネットワーク不具合によりご迷惑をお掛けする可能性があることを予めご了承ください.
2026年2月6日(金)16:30--18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
髙橋慶多 氏(東京科学大学)「ローレンツ幾何における完備性について」
概要:Chruściel–Grantによる研究を端緒として,計量の正則性が低いローレンツ多様体の幾何学が活発に研究されている.さらに一般化された枠組みとして,Kunzinger–Sämannにより,距離空間論の枠組みをローレンツ幾何へ導入したローレンツ長さ空間(Lorentzian length spaces)が定義された.現在,これらの空間に関する研究は進展しており,特異点定理や分裂定理といった古典的なローレンツ幾何における結果の拡張がなされている.これらの空間を扱う上での本質的な困難の一つとして,測地線の分岐が生じうることや,causal bubble と呼ばれる病的な集合が出現することなどが挙げられる.本講演では,Beemによるローレンツ版Hopf-Rinow型定理に着目し,そのローレンツ長さ空間への拡張について述べる.また,その証明の過程で得られる,$C^1$級計量をもつローレンツ多様体における測地線の振る舞いについても紹介する.本講演は arXiv:2511.07867に基づく.
2026年2月6日(金)16:30--18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
髙橋慶多 氏(東京科学大学)「ローレンツ幾何における完備性について」
概要:Chruściel–Grantによる研究を端緒として,計量の正則性が低いローレンツ多様体の幾何学が活発に研究されている.さらに一般化された枠組みとして,Kunzinger–Sämannにより,距離空間論の枠組みをローレンツ幾何へ導入したローレンツ長さ空間(Lorentzian length spaces)が定義された.現在,これらの空間に関する研究は進展しており,特異点定理や分裂定理といった古典的なローレンツ幾何における結果の拡張がなされている.これらの空間を扱う上での本質的な困難の一つとして,測地線の分岐が生じうることや,causal bubble と呼ばれる病的な集合が出現することなどが挙げられる.本講演では,Beemによるローレンツ版Hopf-Rinow型定理に着目し,そのローレンツ長さ空間への拡張について述べる.また,その証明の過程で得られる,$C^1$級計量をもつローレンツ多様体における測地線の振る舞いについても紹介する.本講演は arXiv:2511.07867に基づく.
2026年1月22日(木)・23日(金)@大岡山キャンパス本館H201セミナー室
大阪公立大学と共同で「IST-OMU 1-day meeting on complex geometry」を開催致します.
講演予定者
Takahiro Aoi (National Institute of Technology, Wakayama College)
Kiyoon Eum (Korea Advanced Institute of Science and Technology)
Satoshi Jinnouchi (Osaka University)
Natsuo Miyatake (Tohoku University)
12月19日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
田副一樹 氏(京都大学)「非崩壊偏極付きK3曲面のバブルについて」
概要:ケーラー多様体の極限に対して、計量を拡大しながら極限を取り直すことで得られる空間をバブルと呼び、与えられた収束列に対してそのバブルを理解することは興味深い問題である。特に、偏極付き多様体の平坦族のような代数幾何的な設定で与えられた収束列に対して、バブルを代数幾何的に記述することはケーラー多様体の退化を理解するうえで極めて重要な問題である。本講演では偏極付きK3曲面の非崩壊極限に対して、そのバブルを具体的に記述する方法を紹介する。
11月14日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
宮武夏雄 氏(東北大学)「完備調和計量と複素解析・ポテンシャル論」
概要:pdf
10月24日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
斎藤俊輔 氏(大阪公立大学)「Quantized barycenters and F-stability on toric log Fano pairs」
概要:F安定性は講演者が高橋良輔氏(東北大学)とともに導入したFano多様体の安定性である.
これはDonaldsonがKähler-Einstein計量の量子化として導入した反標準balanced計量の存在を特徴づけることを意図したものであり, 実際にその存在とF安定性は同値であることが知られている. また, この事実は(Fanoとは限らない)偏極多様体においてbalanced計量の存在がChow安定性で特徴づけられることの類似である. 本講演ではトーリック対数的Fano対のF安定性が「運動量多面体の量子化重心が原点と一致する」という条件と同値であることを紹介する. 応用としてChow不安定だがF安定な特異Fano多様体の例を紹介する. 別の帰結として「反標準balanced計量の存在は運動量多面体の量子化重心が原点と一致することと同値である」が得られるが, これはWang-Zhuの有名な結果「トーリックFano多様体においてKähler-Einstein計量の存在と運動量多面体の重心が原点であることは同値である」の量子化版である.
F安定性を経由せずにこれを直接証明することも可能なので時間があれば説明したい.
7月11日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
村山庄太郎 氏(東京理科大学)「許容線織多様体上の満渕ソリトンの存在問題」
概要:満渕ソリトンとは満渕氏が導入したFano多様体上の標準K\"{a}hler計量であり,K\"{a}hler-Einstein計量の一般化として知られるものである.K\"{a}hler-Einstein計量におけるYau-Tian-Donaldson予想の類似として,Fano多様体における満渕ソリトンの存在は一様相対Ding安定性と同値であることが知られている.
本講演の目的は,具体的に与えられたFano多様体に対する満渕ソリトンの存在問題として,複素射影空間上の許容線織多様体で満渕ソリトンを許容するものを決定することである.証明の鍵となるのは満渕定数と呼ばれるFano多様体の正則不変量で,満渕ソリトンを許容するFano多様体の満渕定数は1未満であることが知られている.講演では,Fano許容線織多様体における満渕定数の明示公式を紹介した上で主定理を証明する.
本講演の内容は新田泰文氏との共同研究に基づく.
6月27日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
陣内智史 氏(大阪大学)「巨大類における小林・ヒッチン対応」
概要:小林・ヒッチン対応とは、複素多様体上の連接層のslope安定性とエルミート・アインシュタイン計量の存在の等価性のことである。これは複素多様体に(1,1) コホモロジー類を与えるごとに定式化され、特にコホモロジー類がケーラー類の場合にはよく知られている。ケーラー類の双有理幾何的な拡張として巨大類と呼ばれるコホモロジー類がある。本講演ではまず巨大類における連接層のslope安定性の定義について説明し、ある種の双有理不変性をもつことを紹介する。そして巨大類がケーラーモデル (極小モデル理論における豊富モデル) を持つ場合に、巨大類に関するslope安定性がケーラーモデル上でのエルミート・アインシュタイン計量の存在と等価であることを紹介する。
6月6日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
日下部佑太 氏(九州大学)「Gromov楕円的多様体の擬凸性について」
概要:複素多様体がGromov楕円的であるとは、各点に正則に依存する複素Euclid空間からの支配的な正則写像の族が存在することを意味し、これは小林双曲的多様体とは正反対の性質である。Gromov楕円的多様体の代表的な例は複素Lie群であり、またGromov楕円的多様体は、Stein多様体からの写像に関して岡の原理を満たす岡多様体になることが知られている。本講演では、Adachi-Suzuki-Yoshida (1973)による複素Lie群に対するHartogs型拡張定理を、一般のGromov楕円的多様体へと拡張する結果を紹介する。さらに、証明の手法を応用することで、「任意の岡多様体がGromov楕円的か」というGromovの問題に対して、初めてのコンパクトな反例を与える。
5月23日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
青井顕宏 氏(和歌山工業高等専門学校)「Microscopic stability thresholds and constant scalar curvature Kähler metrics」
Kähler多様体が曲率に関して特別な条件を満たすKähler計量をいつ許容するか?という問題は複素幾何における中心的な問題として認識され, 多くの数学者によって研究されてきた. 特にFano多様体上では, Kähler-Einstein計量の存在が, 一様K安 定性と呼ばれる代数幾何学的安定性と同値であることが知られている. 一方 Berman氏によって, 統計力学的視点に基づくKähler-Einstein計量への新しいアプロー チが開拓され, 一様Gibbs安定性が導入された. これに対して, 藤田氏と尾高氏はFano多様体が一様Gibbs安定であれば一様K安定であることを示し, 特にKähler-Einstein計量を持つことを2018年に証明 した. さらに2024年にBerman氏によって一様K安定性を経由しない, 直接的かつ解析的な 証明が与えられた. 本講演では一般の偏極多様体に対してBerman氏が示した上記結果の一般化を目指し, Berman氏に よって導入された不変量が適切な意味で十分大きければ, スカラー曲率が定数関数となるKähler計量が 存在することを述べ, これがKewei Zhang氏によるDelta不変量に対する結果の類似となっ ていることを説明する.
4月25日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
神田秀峰 氏(東京大学)「LCK幾何学におけるOeljeklaus-Toma多様体の特徴づけ」
Oeljeklaus–Toma(OT)多様体はKähler計量を持たない複素多様体の例として知られ, 井上曲面の高次元への一般化とみなされている. OT多様体は数論的データを用いて構成される可解多様体であり, いくつかのOT多様体は局所共形Kähler(LCK)計量を持つ. これによりLCK計量を持つ可解多様体が大量に構成されたことになり, OT多様体はLCK幾何における重要な例として盛んに研究されてきた. その構成は技巧的に見えるが, LCK計量をもつ可解多様体はこれまでOT多様体を除いて簡単なものしか知られていない.
本講演では, ある種の可解多様体がLCK計量を持つならば, それは本質的にOT多様体と一致することを示す. 幾何学的な制約から数論が現れることから, 本結果はある種の可解多様体の構成において, 数論的議論を用いることの必然性を示唆していると言える.
本講演はプレプリントarXiv:2502.12500の内容に基づく.
4月18日(金)16:30-18:00@大岡山キャンパス本館H352セミナー室&Zoom
服部広大 氏(慶應大学)「K3曲面の崩壊に付随する写像のエネルギーについて」
本講演では、3次元軌道体に崩壊するK3曲面上の超ケーラー計量の族に付随する写像のエネルギーについて説明する。リーマン多様体が、より次元の低い距離空間に崩壊するとき、微分幾何学的に美しい構造をもつ写像が近似写像として現れる例が多い。このような現象をFoscoloによって構成された超ケーラー計量の族に対して考察する。