研究
研究内容
本研究室では逆問題および電気化学シミュレーションを中心に様々な工学的問題に対する研究をおこなっています.
キーワード
逆解析 最適化 計算力学 レーザ解析 腐食解析 電気化学解析 数値シミュレーション データ同化
医療における逆問題
逆問題の成功例としてよく取り上げられるのがX線CTの技術です。体の外部で観測できる情報から体の断層像を逆解析により再構成する方法は医療現場で日常的に使われています。我々の研究室ではJOINT-ESTIMATION MAP法という手法で臓器ごとの先験情報を有効に活用した断層像の高精度再構成手法を開発しました。
(共同研究機関:ジョンズ・ホプキンス大学/Johns Hopkins University. )
https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1118/1.4927261
光学機器における逆問題
我々の身の回りには光学機器により支えられている技術がたくさんあります。スマートフォンカメラ、DVD、自動運転用レーザライダー、半導体製造装置、内視鏡など、例を挙げるのにいとまがありません。
光学機器は一般に高い精度が求められます。高い精度を保つための検査に逆問題を応用する研究を進めています。研究成果は様々な形で社会実装されています。
DVDヘッドの検査装置
レーザライダーの検査装置
スマートフォンカメラの検査装置(関係企業 カツラオプトシステムズ)
youtu.be/Mg1x_K85jsc 開発した全視野収差測定器の動画
海洋インフラ構造物の防食メンテナンスにおける逆問題
海洋プラント、港湾施設、各種化学プラントは腐食を防ぎながら長い年月にわたり維持管理することが重要です。維持管理には腐食のモニタリング技術が重要です。従来はダイバーなどによる目視検査が主な検査方法でしたが、新しいアプローチとして電場計測による腐食状態のモニタリング技術として提案し、数値シミュレーションと融合させた技術を開発しています。(関係企業 日本防蝕工業)
自動車製造における電着塗装シミュレーション
自動車製造ラインで重要な役割を担う電着塗装プロセスの予測のための数値シミュレーション技術を開発しています。電着塗装溶液から電気化学反応により塗膜が車体表面で析出する反応は複雑です。数値シミュレーションを実現するためのモデリングがこの研究の中核です。また大規模な非線形電場解析を精度よく効率的に行うためのシミュレーション技術の開発も欠かせません。(関係企業 国内複数の自動車会社)
構造物のき裂診断
各種構造物に発生するき裂を検査する手法は安全上重要な技術です。これまでに逆問題としてき裂診断をとらえ計算力学と融合させた手法を開発してきました。(関係企業 三菱電機)
・化学工業日報(21/1/22) 「三菱電機 AIで金属亀裂検査」
・日経産業新聞(21/1/27) 「三菱電機、AI、金属表面の変形から内部損傷推定」
・電波新聞(21/2/1) 「三菱電機 AIが内部損傷を推定 少ない学習データで高精度」
https://dempa-digital.com/article/160903 (会員限定記事)
・日経産業新聞(21/3/25) 「金属検査、表面撮影で内部推定、三菱電、AI使い発電機保守に」
・電気新聞(21/4/26) 「金属の内部亀裂を推定 三菱電機がAI開発 学習データ絞り込みに成功」
・日刊工業新聞「ニュースイッチ」(21/1/22) 「検査時間6分の1に!三菱電機が金属の内部損傷を推定するAI開発」 https://newswitch.jp/p/25616
・ITmedia MONOist(21/2/10) 「金属表面の微小変形から内部の亀裂を10%以内の誤差で推定するAIを開発」 https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2102/10/news025.html