「また来年会えるよね?」
「高校三年の夏は二度と無いのと同じように、同じ夏休みちゃんは二度とこないんだよ。」
「えっ!そんな!まだ青春時代の夏休みを送りたいよ!彼女も出来てないのに!」
「たとえ同じ夏を繰り返したとしても、あなたに彼女なんて出来ないわ」
「なんでよ!夏休みちゃん!」
「それはね。」
「なに?早く教えて!」
「高身長でも、スポーツができるわけでも無いからよ。」
「顔も中の下って感じじゃ、彼女も出来ないわけね。」
「そ、そんな・・・」
「まぁ、そんなに彼女が欲しいなら・・・」
「なに?夏休みちゃん?」
「あ、あなたの・・・」
「もったいぶらないで早く言ってよ!」
「あ、あなたの彼女になってあげてもいいって言ってるのよ!」
「え、えー!?」
「・・・」
「やったー!」
「夏休みちゃんが彼女になってくれるなんて!」
「ふ、ふん」
「勘違いしないでよね!あなたのためじゃないんだから!」
「嬉しくて涙が出てきたよ」
「ん?!あれ!夏休みちゃん?!」
「なによ・・・ああ、時間のようね。」
気がつくと、夏休みちゃんの体が少しづつ消え始めていた。
「夏休みちゃん、どうしたの?!透明になってるよ?!」
「”夏休みが終わる”ってことよ。あんたどんだけ馬鹿なの」
「夏休みが終わる・・・?そんなぁ!まだ宿題も終わってないのに!」
「知らないわよ。宿題は少しづつやりなさいってママに言われてたでしょ?」
「でも、でもぉ・・・」
夏休みちゃんの下半身は、もう見えなくなっていた。
「夏休みちゃん、消えちゃうの?また来年あえるよね?」
「はぁ?また会いたいってわけ?夏休み中はボーッとして私に構わなかったくせに?」
「だって、夏休み中ってなにもするきが起きないんだもん!宿題もだけど、ゲームもする気がないんだよ!わかってよ!」
「はぁ・・・。そんなこと言っても、私にはどうすることも出来ないわよ。私は高校三年生の夏休みの擬人化した妖精なんだから。」
「高校3年生の夏休みの擬人化した妖精・・・?」
「そう。高校三年生の夏休みを擬人化した妖精。同じ夏は二度とやってこないって、散々学校の教師にも言われてきたでしょ?それは、私達、”夏休みの妖精”の寿命の話なの。」
「え、えーッ!!!」
「どう?驚いた?」
「そ、そりゃ驚くよ!同じ夏休みは二度と無いっていうのは、そういう意味なの?!」
「そうよ。学校の先生は夏休みの妖精から指示を受けて学校を運営しているんだから。」
「え?!学校って、夏休みの妖精の支配下にあったの?!」
「はぁ。なにも知らないわけね。あなたが暮らしている国、蛇パンは1800年頃から夏休みの妖精連合、通称”SFU(SummerFairyUnion)”の操り人形となっているのよ」
「スーッ」
夏休みちゃんの体が薄くなっていく。
「話が長くてよくわかんないよ!」
「そうよね。」
「ススーッ」
さらに夏休みちゃんの体が薄くなっていく。
「夏休みちゃん!消えないで!」
「そんな顔しないで。希望は残っているよ。どんなときにも・・・ね・・・」
「夏休みちゃーん!!!!!!!」
少年がそう叫んだ自室には、朝日が差し込んでいた。
少年はまだ、まだ宿題が終わっていない。
夜明けは誰のもとにも平等にやってくる。
そう。誰のもとにも。
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