研究テーマ
開港場の感染症の歴史
学位論文のテーマとして以来、長らく取り組んでいるものです。主に明治期の横浜・長崎・神戸など外国人居留地を含む開港場の感染症対策について研究をしています。日本の外務省記録、イギリス外務省文書(FO)、ドイツのBundesarchivおよびPAAAの対日外交文書などを用いたマルチアーカイヴァイルな歴史研究を心掛けています。現在は一書にまとめる作業をしております。
市川智生「明治期日本の海港検疫をめぐる政治外交」『年報政治学』」2022(II)、pp.98-pp.121、2022年
市川智生「開港場横浜における感染症の歴史:1877年のアジア・コレラ流行の事例から」『郷土神奈川』59、pp.2-pp.19、2021年
市川智生「開港場・居留地制度と感染症:近代日本の防疫と対外関係」『ハンドブック日本経済史』pp.56-pp.59、2021年
永島剛・市川智生・飯島渉編『衛生と近代:ペスト流行にみる東アジアの統治・医療・社会』(法政大学出版局、2017年)※市川智生「神戸 1899年:開港場の防疫と外国人社会」
東アジアにおける「健康観」の比較史
総合地球環境学研究所のプロジェクト「アジアにおける健康と環境」(2013-2021)の歴史グループのメンバーによる共同研究です。科研費「近現代東アジアにおける「健康観」形成の比較史」(基盤研究B、2020-2023)、によるプロジェクトとして再出発し、市川は戦後の沖縄フィールドにこのテーマに取り組んでいます。2022年に論文集を刊行しました。
福士由紀・市川智生・アレクサンダー R ベイ・金穎穂編 『暮らしのなかの健康と疾病: 東アジア医療社会史』 東京大学出版会、2022年
市川智生「戦後沖縄の乳幼児の健康:「赤ちゃんコンクール」の目指したもの」(『琉球沖縄歴史』(4) pp.122~pp.123、2022年)
近代日本における結核の医療社会史
開港場の感染症の歴史の次のテーマとして始めたものです。戦前日本の陸軍将兵の結核問題、畜牛結核の歴史などに着目しています。
市川智生「ヒトの健康とウシの健康:畜牛結核対策の歴史」(『暮らしのなかの健康と疾病: 東アジア医療社会史』 東京大学出版会、2022年)
市川智生「軍隊胸膜炎問題にみる戦前日本の成人男性の結核罹患」(第76回日本公衆衛生学会、2017年)※ポスター発表
COVID-19による集団変容と歴史的継承の比較研究
学術変革 B「感染症の人間学:COVID-19が照らし出す人間と世界の過去・現在・未来」(代表:浜田明範)(2023-2025)に4つある計画研究のひとつとして、2023年にスタートしました。文化人類学(医療人類学)、歴史学、寄生虫学などの先生方と共同研究を進めています。