学校教育法は,日本における学校制度に関する法律です.幼稚園から大学(大学院)までの学校教育制度に関するさまざまなことが定められています.例えば,学校の設置者を国(国立大学法人、国立高専機構を含む),地方公共団体(公立大学法人を含む),学校法人に限定する(第二条)などが定められています.
大学に関して言えば,その目的(第八十三条),修業年限(第八十七条),入学できる者の条件(第九十条)などの他,大学におかなければならない教員・職員の職種とそれぞれが従事すべき事柄(第九十二条)や大学には教授会をおかなければならないこと(第九十三条)など大学の基本的な体制の枠組みが定められています.
大学の自治とは,大学が、外部からの干渉を受けずに研究・教育にかかわる自律的な権限をもつことを言います.憲法第二十三条に規定されている学問の自由を実現するための要素の一つと考えられています.
この「大学の自治」という言葉には,「機関の自治」という意味と「大学の構成員による自治」という二つの意味があり,本来は両方を含んだものであると私たちは解釈していますが,最近の政府の解釈は「大学の自治」=「機関の自治」となっているように見えます.
「機関の自治」とは,大学が,一つの組織として,外部からの干渉をうけないことを言います.つまり,大学が主体的に意思決定をしていれば,たとえ大学の中では学長や理事長が独断で全てを決めていたとしても「機関の自治」は守られていると言えます.
一方「大学の構成員による自治」は,大学として決定する事柄が,大学の構成員の民主的な手続きで決められていることを言います.「大学の構成員による自治」が守られていれば,「機関の自治」も守られます.わたしたちが目指しているのは,「大学の構成員による自治」を確立した上での「大学の自治」ひいては「学問の自由」です.
教授会とは,学校教育法第九十三条に定められているもので,大学に置くことになっているものです.「教授」会とは言いますが,教授以外の教員や,職員を加えることもできます.助教以上の教員が教授会の構成員であるところも少なくありません.
教授会は学部単位で置かれていることが多いです.2014年以前は,この教授会は審議機関として,さまざまなことが議論されていましたが,2014年の学校教育法改正で「学長が(略)決定を行うに当たり意見を述べるもの」とされました.また教授会で取り扱うものは,学生の入学・卒業・学位の授与とされ,それ以外の事項は学長が必要と認める事項のみ学長に意見を述べることになっており、くわえて、学長・学部長がつかさどる教育研究に関して、求められれば意見を述べることとなっています.
大学において,実際の教育研究,あるいはさまざまな改革を担うのは,多くの場合教員です.教授会はその教員が議論のできる場,いわば現場の声を拾い上げることのできる場です.2014年の学校教育法の改正以来,教授会が形骸化し,教員同士で議論をする場が減り,現場の声が大学全体に届かないという事態になっていると,わたしたちは考えています.