学会誌・抄録集をアップロードしました
会長あいさつ
“The Origin”
それぞれの原点をみつめて
みなさん、はるばる会津によぐきらったなし、さすけねか?”
いよいよ寒くなってきた今日この頃、会津では白いものが舞い始める季節がやってきました。
節目ともいうべき第20 回日本病院前救急診療医学会を主催することができ、その重責を果たせているのか、背筋が寒くなる思いもありますが、小所帯ゆえ様々な不手際のほどは、どうかご容赦ください。
学会を開催するにあたり、アクセスのよい郡山での開催も頭をよぎりました。皆様にもそのほうが好都合だったかもしれません。ただ、この交通の便の悪い、自然の厳しい地域だからこそ、日本で初めてドクターカーがうまれ、根付いたということ。どこに住んでいても生命は、等しく大事であること、そのために病院前救急診療が必要であること。実感していただきたくて、会津に足をはこんでいただくこととしました。 本会では、メインシンポジウム “オリジン ドクターカーの始め方”で各演者の原点を見つめる講演を聞きながら、皆様それぞれの原点に思いを馳せていただければと思っています。
また”ドクターカーの家計簿”では、避けては通れないお金の話、ドクターカーの有効性とコストを考えて、かけがえのない医療資源を持続可能にする方策を探っていただきたいと考えています。
ほかにも、グラウンドナースや病院前救命士のあり方や活躍の場、病院前蘇生のStay & Play vs Scoop& run のPros Cons といった、いままさに重要性が認識されている話題に関しての熱い議論が楽しみです。
教育講演も4 つ、高名な先生方にご協力いただき、病院前救急診療に欠かせない領域に関して、基本的な事項の確認復習に加え、ドクターカーの新境地を展開していただけることが楽しみです。
共催事業として、前日12/12 には、ドクターカー講習会、医療安全対策講習会
学会終了直後の12/13-14 にかけては、全国の強豪チームを集めたメディカルラリーを開催し腕を競っていただく予定です。
マスコットキャラ“ Q べえ”のモデルとなった赤べこは、会津地方に古来から伝わる神の使いの牛 ( ベコ)です。体にある黒い斑点は、牛痘を表し、かつて死病と恐れられた天然痘からの守神として、身を挺して生命を救ってきたと証といわれます。もうひとつの名物である起き上がり小法師は、転んでも必ず立ち上がる 東北人の粘り強さを表しています。
我々も、起き上がり小法師のように転んでも、心折れることなく何度でも立ち上がる。赤べこのようにゆっくりでも弛まず進んで、生命を救いつづけるために力を尽くす。
こうして病院前救急診療を広め、深めていく。
そういう議論ができる学会を開催できれば、これに勝る幸せはありません。
2025年11月吉日
第20回日本病院前救急診療医学会総会・学術集会
会長 小林 辰輔