展覧会テキスト
A Wind #2
風が肌に触れる瞬間、とても大きなものに触れていることを想像する。それは地球上を取り巻く大気の流れであり、そしてその極々一部分が私の肌の表面に触れているという想像である。
風は目に見えない。見えるのは風が揺らしたものであり、聴こえるのは風が揺らすものがたてる音である。唯一確かなこととしてわかるのは、私の肌に触れる風の感覚であるが、それも瞬時に流れ去ってゆくのであり、私はどうも風について正確に想像することができない。それは流れる時間の中で、今現在にしかいることができないことにも似ているような気がする。
本展覧会「A Wind#2」では、「A Wind」(2017.10.31-11.5「KUNST ARZT」)で行った展示と同様に、山の稜線1kmnほどにわたって18箇所で録音した風のノイズを18チャンネルのスピーカーで再生し、同時にその音の波形の映像も展示する。また、知覚としては目に見えない風をどのように認識しているのかを探るため、私の頭の中にある風をモチーフにしたドローイングも併せて展示することにした。本展を通じて、知覚の外と中にある風について考えるきっかけとなれば幸いである。
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