研究者には、ずっと同じ分野で研究を続けている人や、いくつかの分野を渡り歩きながら研究を行っている人がいますが、私は後者のタイプです。バックグラウンドである理論物理学、データサイエンスを研究するきっかけとなった生命科学分野、企業と取り組む実社会のデータサイエンス、また、最近興味を持っている宇宙物理学分野など、結果的に様々な分野を経験することができました。
バックグラウンドは理論物理学分野です。自然界の最も基本的な物理法則を探求する素粒子論分野で、物質をどこまでも細かく見ていくと、究極的には(点ではなく)一次元のひも状の要素に還元されることを仮定した弦理論と呼ばれる理論の研究を行っていました。現在は、素粒子論の研究からは離れてしまっていますが、今でも、この分野に非常に興味を持っています。
また、最近ではデータサイエンスの応用先として、宇宙観測データに基づいて宇宙の歴史を理論的にひも解くことを目指す観測的宇宙論分野への参入も目指しています。
物理学分野でポスドク研究を行った後、生命科学分野に移りました。主に病原体から体を守る仕組みである免疫システムを研究対象とし、網羅的遺伝子発現データのような生物学分野のビッグデータを扱うバイオインフォマティクスや、数式を用いて生命現象の理解を目指す数理モデリング等を用いて研究を行っていました。また、ヒトの遺伝子データを集めている研究所において、ゲノムワイド関連解析と呼ばれる大規模なデータ解析にも携わりました。近年は深層学習を含む機械学習を用いた研究を進めてきました。
滋賀大学に移ってからは企業と連携し、データサイエンスを用いた実社会の問題解決にも取り組んでいます。