60*60pxのアイコンを巡るお話

この記事は、定期ゲ・松 Advent Calendar 2020 の21日目の記事です。

1) 込み入ってない話 (ここだけ読めば解決すると思います)

自己紹介

遅刻ですね。はい。風邪ひいてました。

慣例のようですので自己紹介しますと、この記事を書いている時点はコギトと名乗っています。
定期ゲー界隈で絵を描いています。

イバラシティE,no44で、コミュニティ『アイコン120pxの会』の主催をさせていただいております。
アイコン60pxの会』ともどもお引き立てくださるようお願い申し上げます。

↑はイバラシティ内へのリンクになります。


詳細は後述します(別に読まなくて良い方)が、
私はコトシタ開始あたりから120pxアイコンについて興味を持ち、調べるようになりました。
その結果報告と周知のための活動の一環として『アイコン120pxの会』やこのたびのアドカレへの参加をしています。

専門的な知識があるわけではないので、どうにも細かいところがあやふやだったり、間違っている場合があると思います。訂正した方が良さそうな文面については @teiki_ergo_sum (2020/12/21現在)までDMを送るなどしていただけると助かります。

はじめに

2020年現在、定期ゲーという名前で呼ばれているブラウザゲームで主に使われているアイコンのサイズについて、ルールブックにはこう書かれています。

「60*60pxのものを登録してください」

しかし、現実にはそうでない大きさの画像を登録することもできますし、大部分のゲームではそれでも問題なく表示されています。

そして「アイコンが60pxじゃない」と眉を潜める人もいます。
これはとりもなおさず60px以外で登録している人が存在する。という証左でもあります。

そして現在登録者が多くなりつつあるのが120*120pxアイコンです。
なぜ、人はルールに書かれているのとは異なるサイズのアイコンを登録するのでしょうか。

60*60pxのアイコンを巡るお話

〜 120pxとレティーナディスプレイ 〜

この記事ではその辺の話をしようと思います。

結論:120pxアイコンがどうして使われているのか

この項目は、すでに60pxアイコンを使い慣れていて、現在の120pxアイコンが幅をきかせていることに疑問を持っている人のためのものです。
用語についてはこちらのサイトを参考にするのがわかりやすいと思います。


結論から申し上げますと、こんな状況にした犯人がいます。

レティーナディスプレイというやつです。

高画質を謳ったディスプレイですね。

レティーナディスプレイは高画素密度ディスプレイのうちapple社製品がそういう名前なだけなのですが、語感が好きなのでこの記事では高画素密度ディスプレイをレティーナって呼んでいます。後述する(読まなくて良い方にある)×2や×3の時に威力を発揮します。

これがどのようにして高品位な画質を得ているのか説明します。

元々1pxとは1ドット、ほら……赤、緑、青のLED三つセットで正方形のアレです。あれ一つのことでした。


しかし、レティーナディスプレイ
(ここでは×2レティーナとします)
は、このドットを4つ使って1pxを表現することにしたのです。

はい。

60pxといいながらドットが横に120個並んでるわけですね。

論理ピクセルが60の物理ピクセルが120。

これのでせいで、正直に60pxの画像を登録すると、実際に見たときには倍に拡大して表示されてしまうのです。嫌ですね〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!! 私としては非常に嫌です。

これを防ぐために60pxとルールブックに書いてあるにもかかわらず、レティーナ対応の120pxで登録する人が多いのです。

補遺

レティーナディスプレイは現在ほとんどのスマホに採用されています。
最近の機種は×2レティーナじゃなくて×3レティーナですね。

ここ数年はwindows機にも採用される事が多くなってきました。4Kモニタ!
来年あたりPCを新調しようか。という方はレティーナディスプレイなことが多いんじゃないかな。知らんけど。

概ね店頭では、よい画質であることがアピールされています。
スマホの場合、アピールもなく、当たり前の物として使われています。

定期ゲーライクなチャットサイト、Star Fragmentsの運営さんが2018年にtwitterで行われた調査によると、閲覧者の環境は下記のように分布しています。

  • PCのみ:22.3%

  • 基本的にPCで時々スマホやタブレット:61.4%

  • 基本的にスマホやタブレットで時々PC:13.6%

  • スマホやタブレットのみ:2.3%

また、Webサイトを作る会社などではレティーナ対応としての大きい画像が市民権を得つつあります。(『レティーナ対応』でぐぐると、2018〜2019あたりのこの辺の解説記事——例えばこういうの——がワサワサ出てきます。業界の方も苦慮なさっているのでしょう)

そういうわけで世間的な潮流として、レティーナ対応の大きい画像は認知され、受け入れられつつあります。という話でした。

2) 詳説(読まなくていい話)

遥かな楽土 麗しき 標準化の世界

振り返れぬ過去に 手を振り言留め

伝承の歌を さぁ歌いましょう

はい。

ここからはグダグダ喋ります。
用語についてはこちらのサイトを参考にお願いします。

歴史の話

まず、歴史の話をしましょう。
定期更新型ゲームと画像情報工学の歴史です。いや、難しい話はしないから。
ただし、ゲームの正確な歴史の話は詳しい人に聞いてください。
概ねわたしの記憶、実感と画像情報の話に焦点を絞ります。
あと、定期ゲーいいつつりすげにしか言及してなくない?(七海除く)みたいなところあります。


伝承によれば、その昔(2000年台前半)定期ゲーのアイコンサイズはまちまちでした。
ゲームごとに40〜80pxでまちまちで、時には一桁のところまで指定される時もありました。

画像を用意できる人は大変少なく、パソコンで画像を適切なサイズに切り出したり、画像URLを取得するといった、今では絵を描かない人でも当たり前にできることが一苦労だった時代です。
ちなみにプロフィール画像の横幅は200pxが多数派でした。

pngによる背景透過もまだ一部のブラウザがサポートしておらず、見ることができないためインターネット上では使われていませんでした。docomoのガラケーが最後まで抵抗したっぽいですね。少なくとも2014年の記述でpngの表示に対応してないと書かれています。


時代が変わったのが2005年ごろ。
りすげで言うと偽島の頃ですね。
(ちなみに初代iPhoneがアメリカで発売されたのが2007、堕島あたりです。)
この頃、プロフィール画像が横幅250pxになります。大変大きな改革でした。
その影響でその前からの続投キャラのプロフィール画像の横にオビがついていたり、引き延ばされていたり……まぁいろいろ……
必殺技画像(600px*600px)など、イラストの登録できる箇所が増えたりもしました。

気がつくと定期ゲ界隈のアイコンサイズは60pxに落ち着いていました。
ゲームごとにサイズを変えなくてよくなったのを覚えています。

余談になりますが、この60pxと言うサイズは大変よくできています。
この下の50pxといったら、切った後の加工にすこぶる時間がかかるものでしたから。

pixivの方から企画もの経由で人の流入が起きたという噂を聞いています。
私はそのあたりの人の流れには疎いのでよくわかりませんが、絵を描く人はとても増えました。


時は流れ、透過画像は一般的になり……Winユーザーが96ppiの自分のモニタを72ppiだと誤認したままでも問題のない穏やかな時間が流れていました。

【注釈】
ppiというのがモニタ用の単位なのですが、絵描きの方は一般的にdpiと呼びます。
なぜならお絵かきアプリの設定欄の単位がdpiだから……

【用語:dpi】
ディーピーアイ。dot % inch。
1インチ(25.4mm)の幅に幾つのドットが並んでいるか、という密度の単位。
印刷のための単位であるが、慣習的にモニタでも使われている。
主なdpi感は以下の通り。

  • 72dpi=web用(あるいはMacが採用したモニタ用)

  • 96dpi=大体の人にとっての謎の標準値。Windowsが採用していたモニタ用が実はこれ。しかしweb標準が上記の72dpiのため存在を無視されがち。実際無視しても問題ない。Macに比べるとWinで見るほうが少しキュッとしまって見える。と言うくらいの違いしかない。

  • 300、350、360dpi=印刷用カラーイラスト用

  • 600dpi=ガビガビの白黒2階調、つまり白黒漫画原稿を滑らかに印刷する用

  • 1200dpi〜=性能の良いスキャナだと設定できる。昔の写真フィルムをデジタルデータにするときに使うのがこの辺り。

具体例で言うと72dpiで保存した60pxアイコンが2センチちょっとの正方形サイズで印刷される。


WindowsXPとhtml4で数えれば10年の長きに渡る太平の世。
それはこれまで分断されていたOSごとの世界を超える、クロスプラットフォームが称揚された時代でもあります。
その時代より前は、WinとMacで行き来するのも一苦労。完全に別世界。みたいなところだったらしいのですが、それではユーザーが不便だというので、プラットフォーム(OS)が異なっても同じように扱えるようにしようね。みたいな流れがあったらしいです。


この平和な標準化の世界は2010、あるいは2012年(前者はレティーナディスプレイが初めてiPhoneに使われた年で、後者はノートPCであるMacBookに使われた年です)に破られます。

その間日本でのiPhone人口は増えたとはいえ、定期ゲームはまだまだWindows機での閲覧を念頭に置いていたと思います。実際、セレコ(2013〜2016)のプレイ中、かなり初期段階でスマホを所持していたものの、閲覧にスマホを使ったのは2015年以降じゃないかな……という記憶があります。


そして2015年、Windows10が発売されました。
OS側の設定として高精細なレティーナディスプレイに対応することが出来るようになりました。
(もちろんapple社製品ではないのでレティーナという名前はついていないのですが)

七海(2016〜2018くらい?)開始時点で、既に何かがおかしいことに気づいていた人もいたようです。Win10+レティーナな組み合わせを買った人たちですね。

もっといえばMacユーザーはもっと早く気づいていたのかもしれません。

それで、2018年頃からどうもWeb業界の方でも、これは大変だ。レティーナに対応しないと。みたいな流れが起きたようです。起きたんじゃないかな。多分……そのあたりのWeb業界向けっぽい解説記事の日付と、コトシタが始まった当初、つまり2017年中盤時点ではレティーナ非対応の企業広告も散見されたので、おそらくそのあたりで何かの変化が起きたんだと思っています。


で、そのコトシタで大事件が起きたのですよ。
これは当社比での大事件です。
どこかの誰かが、アイコンサイズ60pxで登録してくださいね。と書いてある実質無制限のアイコン欄に、クソデカ画像をぶち込んだのです。宇宙的スケールのアイコン。

そして2019年、騒乱イバラシティ。
アイコンは60pxで登録してくださいね、と言いつつ全然120pxは通るな。と思って普通に120pxアイコンを入れていたら、どうも120pxまでしか通らないという話だったわけです。


それで話がレティーナ対応に戻ってくるわけですね。

レティーナ対応が世間の潮流、ということで120はお咎めなし! となったわけです。
他の定期ゲー、定期ゲー派生チャットサイトでもこの雰囲気は続きそうです。


というのが2020年現在の話です。

個人的には120pxまで許されている背景には、レティーナ対応以外の理由もあると思っています。

それは61px*58pxみたいな……
がんばったのはすごい伝わってくるんだけど……惜しい! みたいなアイコンの存在です。
この世に60pxアイコンの作り方の指南書があるわけでなし。
指南のページがあったからといって全員が見るわけでなし。
なのでそういったアイコンが出てくるのは仕方のないことです。

そのため、登録上限を60pxからある程度の遊びを持たせておくことは定期ゲの性質上あってしかるべき仕様で、そのための遊びの上限を120に設定したんじゃないかな。とぼんやり思っています。

いやだって。
60pxを登録しろっていわれて素直にがんばって従ったけどイマイチ大きさが合ってないのはなんかもう、しょうがないじゃないですか。
そこのところ、調べて120にしてる人はそういった人たちより画像の加工に対してそれなりに練度が高いと見積もって良いと判断していいんじゃないかな。

そういう人はきちっと120で切ると信頼されてるんじゃないかな。
(或いははじかれたら自分の非に気づいて直せるという信頼かもしれない)

私の話

あまり前後に関係はないのですが、自分の話をします。
この項目は折りたたむことが出来、読まなくても問題ありません。


120pxアイコン。
私がこの問題に興味を持ったのは、コトシタ一期が始まってすぐのことです。
当座のアイコンの用意を整えて、さて遊ぼう、と言う段になった時です。
PCが壊れました。

win8.1.1、まだ苦楽を共にしたとは言い難い若いノートPCでした。
……ジュースを飲ませてしまいましてね。

私が殺しました。


はい。

翌週には私の前に新しいPCが鎮座していました。
憧れのMacです。おっきいモニタです。
慣れない手つきで各種の段取りを行ない、さて一息ついたところで落ち着いてコトシタを開きました。


そこには、信じられない光景が広がっていました。
文字と経線(おそらくcssで構成された物)以外のすべての画像がぼやけていたのです。

レティーナディスプレイ搭載!


これが当時の動転しきった私のツイートです。
マジで吐きそうになりながら事情を説明する画像を作りました。
と言うかツイートしたあと寝込みました。


あの、たまにいるじゃないですか。人間を高次の存在にすることを掲げる、シナリオ上倒される役。
アレです。
アレで勝手に高次の存在にされた一般モブの気分。

誰もそんなこと頼んでない。
目に見える世界のすべてが『汚い』んだ!!!!

自作のイラスト、コトシタのUI画像、ランダムに表示される企業広告に至るまで、見るも無惨な姿になっていました。


しかし、その企業広告を見て、わたしはあることに気がつきました。
綺麗な(原寸で表示されているように見える)広告と、汚い(拡大されて表示されているように見える)広告があったのです。
そして、当時の知り合いにアイコンが綺麗なまま表示されている人もいたのです。
(前項の2017年当時がターニングポイントだろうと推測した理由。に気づいた時点です)

調べてわかったことですが、それら綺麗な広告や綺麗なままの知り合いのアイコンはすべてレティーナ対応、つまり倍サイズで作られていたのです。
新しいPCを使うためにいろいろなサイトを回っていたのですが、コトシタを見て初めて気づいたのです。
準備に必要な大手のサイトは、とっくにレティーナ対応を終えていたのでしょう。


いちぴくせるが、いちどっととのたいおうを、うしなった。


それを呑み込むまで少しの時間が必要でした。
そして、飲み込んだところで見える物は変わりませんでした。


私はアイコンを60pxで作るのをやめました。
原寸教やめました。と棄教の言葉をコトシタの自分のページのどこかに書いたのを覚えています。


ここまで読んだ方の中には、私の反応は大袈裟すぎると思われる方もいるかもしれません。
しかし、元々個人向けイラスト作成の規約に、私は毎回書いていました。

!禁止事項、もとのサイズから拡大しての利用

一目見ればわかります。
書いた本人なのですから。

後述しますが、素晴らしい拡大アルゴリズムがあったとしても、自分の作った物というのは本当に細部まで覚えているものです。

他人に禁止するほど嫌なことを自分でする気にはなれませんでした。


ちなみに現在の定期ゲーム向けアイコンの作成受付ですが、お渡しの際60pxか120pxかを先にお聞きすることで対応しております。
ご用命の際にはそのあたりお気をつけください。
フタハナの一部ページでは60pxでつくらないと表示に不具合が生じるという報告をいただいております。

原寸教とその教理の根拠について

原寸教というのは一体誰が言い出したのか。
いつの間にか知っていたのでその所以を私は知りません。

ご存じない方のために説明しますと、原寸教というのは60pxで登録してくださいって書いてあるところには60pxの画像を登録しよう。というのを旨とする……思想を共有する? かんじの……別に団体じゃない……だからこれから私がする説明も、もしかしたら人によったら全然的外れかもしれない。

同じ言葉を喋っているからといって同じ意味を指しているとは限らない。

いやまぁ、その話は長くなるので置いておいて、原寸教というのはそういう、どう考えても正しい! って感じの教えとそれを奉じる人々の原寸教徒からなります。


元原寸教徒のである私には信じがたいことですがこの教えに異を唱える人たちがいました。
今もいます。例えば今の私。
いやまぁ、この話も横に置いておきましょう。


はい、で、宗教団体あるあるなんですが、教理の矛盾を指摘されたときにはこう答える。みたいなマニュアルがあるわけですね。口伝みたいなもの。或いは噂話みたいなもの。
そういう物があるのでご紹介していこうと思います。


しかしその前にですね、まずは原寸教に異を唱える。つまり原寸ではないサイズを登録する人たちの言い分を知らねばなりません。レティーナ対応については上の方で述べたとおりですが、原寸教の起こりは古く、レティーナディスプレイの登場以前からその存在はありました。
と言うことは、推測するに反原寸教の方の言い分としてはこれが適切であろうと思われます。


「大きいサイズの画像を登録しても、ちゃんといい感じのサイズに合わせて表示されるよ?」


だから何がいけないの。というわけです。
そういう想定で行きます。
そういう想定で宗教的反論が構築されていたと考えるのが、最も妥当性が高いと判断しました。
(つまり、実際にそういうことをしていた人たちが何を思っていたのかは知らないのです)


さて、これももちろん、もっともな話です。
120pxのアイコンを登録してレティーナディスプレイでは60pxに見える。
逆に60pxのアイコンが拡大したように見える。

旧来のディスプレイで見た場合はどうでしょう。
120pxのアイコンは縮小されて、60pxのアイコンと同じサイズで並んでいます。


これはhtmlというWebページを記述するプログラミング言語があるのですが、それに秘密があります。

<IMG SRC="画像URL" WIDTH="60" HEIGHT="60">

アイコンのところはこういう内訳になっています。

<IMG> ——————— というのが画像を表示するよ!って意味です。
SRC="画像URL" —— アイコンURLです。これで置き場までとりに行ってここに置きます。
WIDTH="60" ——— で、実際に表示するときには何が何でも横幅は60ね。と釘を刺しています。
HEIGHT="60" ——— 縦も60ね。よろしく。

そういうかんじの命令文なわけですね

察しの良い方はもうお気づきかと思いますが、イバラシティのあれだ!
絵日記の絵の入れ方!

この内容を入力してくれ。という書式です。

騒乱イバラシティ、ルールブックより

話を戻すと、表示をいい感じにする為の仕組みがあるんですね。


では、なぜ原寸教の人は大きいサイズのアイコンを嫌うのか。そこの理由を行きます。

0)ルールブックに60pxで登録してねって書いてあるのに。

うーん。正しい!
次!

1)汚い

ブラウザによって縮小されたアイコンは汚い。
身も蓋もないんですが、最初はこれだったんじゃないかと思います。
というのも、ブラウザの使っている縮小アルゴリズムは画像加工ソフトの物に比べて軽い……代わりに見た目が汚くなる物を採用しています。

このため、アイコンは書いた人が責任をもって原寸で切って、そして一番良い状態で表示する。
という文化があったわけですね。

加工禁止の背景にもこれがあります。
お絵かきソフトの使っている縮小アルゴリズムもソフトによって違ったりします。
フリーソフトの、とりあえず切って縮小だけ! みたいなソフトにももちろん縮小アルゴリズムは入っていますが、それがイラストをいい感じにしてくれるかどうかの保証がないわけです。

絵書きの方からしたら、そんなの責任取って切りますよって言いますよー!


また、絵を描く人にもよりますが、アイコンは元の大きい絵を切って終わり、ではなく、原寸に切ったのちに加工を加える人もいます。
この場合の加工というのは、機械的に縮小したために細部が潰れてしまったのを書き起こしたり、逆に変にはみ出るのを直したり、原寸サイズで見たときに最も良くなるようにしていきます。
時にはぷちぷちとドット絵をかく感じで1pxづつ直していく事もあります。

こういった作業で美しさを追求することを前提とするならば、原寸で表示することに意味や価値があるのだというのが伝わるかと思います。


しかし、ブラウザの縮小アルゴリズムが汚い件なのですが……ぶっちゃけ過去の物になりました。
なぜならブラウザもバージョンアップするから。それに伴って縮小アルゴリズムも善いものを積むようになっています。
具体的にはまず、下記のページの6. FAQのQ2を参照してください。

画像の縮小

>※Edge/IE/Chrome/FireFoxでは「最速低品質」のニアレストネイバー法(Nearest Neighbor/最短距離法/最近傍補間/最近隣補間)を使用しているようです。(2016年4月時点)

これ↑が2016年4月の記事です。
で、これ↓が2016年8月の記事。

IEの画像縮小がきれいに表示されない理由

>各ブラウザの画像補完について

>IE11:バイリニア
>Edge:バイリニア
>Chrome:バイキュービック
>Firefox:バイリニア

軽さ的に言うと
軽い(汚い) —————————————— 重い(きれい)
ニアストネイバー << バイリニア << バイキュービック
です。
(ドット絵はニアストネイバーじゃないと逆に汚くなるのを付記しておきます。また、後者の記事でバイキュービックを採用しているchromeでみた写真がぼけているのは、バイキュービックは全体を滑らかにする関係上ぼけやすいからです。このため、絵描きの手元でお絵かきソフトで縮小している時にもバイキュービックでの縮小の後修正を必要としていたわけです。この話は続きがあります)

この二つの記事が両方ともその日付時点で正しいならば、どうも2016年にこの縮小されたときに汚い現象は解決されたと思われます。

そして、OSが重たくなったように、ブラウザが重たい処理をしても大丈夫なようにPCが頑張れるように性能がよくなりました。

以前は縮小表示されたアイコンはすぐ怪しむことができましたが、最近ではほとんど気づきません。
不思議なサイズのアイコンを検出するのは縮小による目に見える変化よりも、なんかおかしい気配を察知する方が多いです。

あと、お絵かきソフトの方もなんか良くなっています。
縮小した後修正が必要だというケースは非常に少なくなっていると感じています。
(さっきの続きなのですが、単純なバイキュービック法ではなくバイキュービック法、かつ輪郭をくっきりさせるなどの処理が施された処理を選択出来るようになっていたりします。)

参考:CLIP STUDIO PAINTツール設定ガイド
Adobe Photoshop マニュアル

私の場合ワンセット作って、縮小後に印象が変わって直すのは1パーツか2パーツくらい?

以前は全てのアイコンに対して行わなければならなかった作業がほとんどなくなりました。

もちろんこれは人によると思うのですが、それくらいお絵かきソフトやブラウザを作っている人、それを動かしている個々人の端末、それにそれを作っている人ががんばっているのです。


2)重い


はい、大きいアイコンは重い。それによって表示速度が遅くなる。
最近は携帯端末のギガの話もあります。

どれくらい重さが違うのか比べてみましょう。

  • 60pxアイコンはJPGでもpngでも5kb程度です。以降全てpngです。

  • 120pxアイコンは30kb程度。

  • なんかしらんけどちょいちょい登録していた人の居た300pxアイコンが150kb程度。

  • もう少し大きくて500pxアイコンで300kb程度。(ちなみにyoutubeのアイコンの推奨サイズがこないだ500pxでした)

  • 4桁1000pxで400kb(これは拡大画像なので、きちんと1000px用に書き込まれた画像ならもっと大きいと思います)

  • 記憶にある限りまともにアイコンとして運用されていた最大級である3000pxアイコンで900kb(これも拡大画像なので同上)

これを元に以下の数字を求めていきます。

  • 1画面に12個表示させた場合、
    60pxなら60kb程度
    120pxなら360kb程度
    300pxなら1,800kb……1.8mb程度
    500pxなら3,600kb……3.6mb程度
    1,000pxなら4,800kb……4.8mb程度
    3,000pxなら10,800kb……10.8mb程度


  • 1画面に12個表示させたものを10ページ見て回る場合(アイコン120個表示)、
    60pxなら600kb程度
    120pxなら3,600kb……3.6mb程度
    300pxなら18,000kb……18mb程度
    500pxなら36,000kb……36mb程度
    1,000pxなら48,000kb……48mb程度
    3,000pxなら108,000kb……108mb程度


  • 戦闘時、30T、4人PTで連続行動なし。1Tに一人あたり4回アイコンが表示されたと仮定して(T開始時、自分行動時、回避時、被回復時くらいを想定)アイコンは480回表示。実際は回避しまくったり多段回復だったりでもっと多いと思います。

    60pxなら2,400kb……2.4mb程度
    120pxなら14,400kb……14.4mb程度
    300pxなら7,2000kb……72mb程度
    500pxなら144,000kb……144mb程度
    1,000pxなら192,000kb……192mb程度
    3,000pxなら432,000kb……432mb程度


実際にはキャッシュを使って同じデータを表示していたりしますが、概算としてこんなところかな。
4:4のpvpならこの倍を想定する感じになるかと思います。

なかなか大きな数字になってきました。

比較として動画ファイル、大きい画像のサイズを調べてみます。
動画サイズはダウンロードするのが面倒なのでこちらの表を参照しました。

1本の動画の長さ(分数)と容量(MB)の目安と計算方法

twitterに添付出来る動画のサイズの上限が2020年11月末の時点で
・最大512mb
・長さは2分20秒(140秒)以内
となっていて、おそらくこの辺を雑に投稿して雑に見ることが出来る動画のデータのサイズと考えて良さそうです。
しかし、Twitterは動画をメインに据えたSNSではありません。

現実的には動画に注目を集めることは難しく、インスタグラムやtiktokは60秒を投稿の一つの上限としており、更にいうと視聴される動画であるために推奨されているサイズは15秒程度です。なのでこの辺が「機械だけではなく見る人間の性能込みで、気軽にたくさん見られる動画」と考えてもいいと思います。

これは上のサイトの表にはありませんので、実際に手元のスマホで15秒の動画を撮影してみました。
データサイズは15mb程度となりました。

画像サイズも調べていきましょう。
pixivの総合デイリーランキング(2020/12/30……この記事は12/21アドカレのものです。はい。)から、トップ10枚の画像の表示画像、元画像の大きさをそれぞれ比較していきます。
(サムネイル画像も比較したかったのですが、保存が出来ないので断念しました)
(マンガ、複数枚詰め合わせは表紙の一枚をピックアップしました)

  1. 表示サイズ:2.7mb 原寸:2.7mb

  2. 表示サイズ:946kb 原寸:7mb

  3. 表示サイズ: 438kb 原寸:438kb

  4. 表示サイズ:481kb 原寸:405kb (なんで……?)

  5. 表示サイズ: 1.6mb 原寸:5.7mb

  6. 表示サイズ:1.1mb 原寸:1.4mb

  7. 表示サイズ: 482kb 原寸:482kb

  8. 表示サイズ:607kb 原寸:948kb

  9. 表示サイズ:783kb 原寸:1.9mb

  10. 表示サイズ: 584kb 原寸:960kb


……pixivデイリーランキング……絵……めっちゃうまいな……

……


はい。

気を取り直してデータの方ですが

pixivの方にも原寸表示のために投稿ファイルを表示サイズにしっかり合わせて投稿する人が居るのでその辺アレなんですが、概ねデカいということが伝わるでしょうか。気にしてる人は気にしてるし、気にしてない人は気にしてない。という感じですね。

定期ゲームの主要なコンテンツは画像ファイルではないと言ったらそうなんですが、2020年現在のデバイスと回線からみて60pxより大きいアイコンサイズも許容出来るのではないかという感触です。

2010年代でもガラケー端末に向けてのサイト作成では60アイコン二個分くらいのロゴ画像で30kb程度を上限とする(推奨は10kb)jpgないしgif画像が推奨されていますが(ドコモの携帯がpngに対応していないため)この辺どうなるんでしょうね。

ええと、つまり、私の結論としては、アイコンが重いというのは2020年現在、あまり気にしなくてもいいんじゃないかなというところです。

最後に

後半、グダグダと何を話したのか。という話をします。

歴史の話をしました。
それはとどのつまり、昔と今は違うという話です。

ここは2020年なのですが、定期ゲの中身は15とか20年前と変わっていないところがあって、それに纏わる倫理もそれに即しているところがあります。原寸教の話にかこつけて色々話したのはその辺です。

そしてアイコンのサイズについての倫理感は根拠の多くを技術的理由に据えていましたが、そもそもの技術が変わっているのだから、既に根拠にすることが出来ない点が多くあるのです。


さて、話を変えます。
私事で恐縮ですが、先日携帯を新しくしました。

購入したのはiPhoneSE(2)です。
解像度は1,334*750px、326ppi
×2レティーナです。

上の方に注釈として掲載しましたが300〜360dpiが印刷画質です。
750pxというとイマドキプロフ絵横に二枚分弱というところですがこれはcssピクセル。つまりhtmlなどで指定したときにこのサイズになる。という話であって、実際には少し話が違うんじゃないかなと思います。

恐る恐る、今スクショを取ってCLIP STUDIO PAINTで開いてみたのですが、横750の144dpiでした。

??

???

空が明るいのもあって頭が回らないな。

人間の視認限界が300〜400ppiであり、これ以上の拡充はおそらく技術的に可能であってもしない可能性が高いため×5レティーナとか言う心配はしなくてもいいんじゃないかな。と言うあたりの話につなげてかっこよく終わりたかったのですが、うまく繋がらなさそうです。報告は以上です。筆を置きます。おやすみなさい。



そう、ちなみにiphoneのどっかから先が×3レティーナです。
たいへんですね。

私を60pxでアイコンを作る世界にかえしてください。

おねがいします。

おまけ。Androidについて

はい。

私はiPhoneユーザーで、Androidには触れたことがないんですが、調べる過程でAndroidについて面白い知見があったので紹介します。

論理ピクセル? @2x? dip? イマドキの複数画面対応を全部説明してみるよ

>デバイス非依存ピクセル(密度非依存ピクセル)

>Androidの世界では160dpiを基準としていて、160dpiの画面での1pxを1dipと定義します。


……

…………

………………

「ネットは広大だわ」

今知ったばかりなので、語る事は控えます。

新概念を突っ込むのはやめろ!!!!!