「盛者必衰」だね。意味は、「勢い盛んな者も必ず衰える」だね。
『おくのほそ道』の「平泉」にも盛者必衰の考え方があるわけなんだね。
ちなみに、『平家物語』でも『おくのほそ道』でも、勢い盛んな者が衰退する様子を「夢のようである」と表現しているよ。面白いね。
この文章の中で芭蕉さんは「国破れて山河在り、城春にして草青みたり」って口ずさんでいるね。このフレーズは、杜甫の「春望」から来ているんでしたね。これは、なんとなく芭蕉さんが好きなフレーズを口ずさんだんじゃなくて、平泉と春望が似ていたからなんだ。
「春望」は中学国語で学習する内容だけど、どう? 覚えてる?
この動画(eboard『春望』杜甫 内容)を見て復習するといいよ!
三代の栄耀一睡のうちにして、 大門の跡は一里こなたにあり。秀衡が跡は田野になりて、金鶏山のみ形を残す。まづ高館にのぼれば、北上川南部より流るる大河なり。衣川は、和泉が城をめぐりて、高館の下にて大河に落ち入る。泰衡らが旧跡は、衣が関を隔てて南部口をさし固め、夷を防ぐと見えたり。さても、義臣すぐつてこの城にこもり、功名一時のくさむらとなる。 国破れて山河あり、城春にして草青みたり。と、笠うち敷きて、時の移るまで涙を落とし侍りぬ。
夏草や兵どもが夢の跡
卯の花に兼房見ゆる白毛かな 曾良
国破れて 山河在り
城春にして 草木深し
時に感じて 花にも涙を濺(そそ)ぎ
別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
峰火 三月に連なり
家書 萬金に抵(あた)る
白頭掻(か)いて 更に短かし
渾(す)べて簪(しん)に 勝(た)えざらんと欲す
山や川(河)について書かれていることや、戦いで大きな城(都)が壊れて、くさむらになっていることが似ていますね。要は、それぞれの場所の共通点をピックアップして、芭蕉さんが、わざと平泉を「春望」の景色と似せて書いているんだね。
また、どちらにも白髪の人が出てきますね。ここから、曽良の俳句が連想されてきたのかな。