杖道(じょうどう)は、古武術の一つである神道夢想流杖術に起源をもつ武道で、丸木の棒と刀(木刀)を持って行う武道です。杖(じょう)を持つ者が、刀(木刀)を持つ者の攻撃を千変万化の技法により変化し制圧するのが、最大の特徴であり、その精神は古歌に次のように記されています。
傷つけず 人をこらして戒しむる
教えは杖の外にやはある
杖道は定められた一連の動作である形(かた)を稽古する、いわゆる「形武道」に分類されます。一通りの動作で構成される形を、杖と木刀を持つ者の2名で行います。
杖道は、杖の理法の修練による人間形成の道であり、その目的は精神の修養と身体の鍛錬にあります。
杖道を修行することの効果は、身体面においては、身体を強健にし、姿勢態度が良くなると言われており、精神面においては、礼儀、信義、誠実、忍耐などの精神が養われることで、社会生活に必要な協調性が養われると言われています。
老若男女を問わず、生涯にわたって続けることのできる武道であり、年齢や体力に応じて無理なく稽古を重ねることができる点も特長の一つです。
杖道の形は、全日本剣道連盟により制定された全日本剣道連盟杖道(全剣連杖道)と、各道場で古くから受け継がれた古流とに大別されます。
垂水睦会では、全剣連杖道と古流として「神道夢想流杖術」の稽古を行っています。
全日本剣道連盟杖道(全剣連杖道)は神道夢想流杖術を元に普及形として、昭和43年に制定されました。
1名で行う基本打(単独動作)と、杖・太刀の2人1組で行う基本打(相対動作)及び杖道形があり、基本打12本、杖道形12本があります。
神道夢想流杖術は全剣連杖道の元となった古流武術で、夢想権之助勝吉により今より約400年前に創始されたと言われています。史記によると夢想権之助は初め天真正伝香取神道流を学び免許を受けた後、鹿島神流を学び、「一の太刀」の極意を授かりました。数多くの剣客と仕合をし、一度も敗れたことはありませんでしたが、慶長の頃、宮本武蔵と仕合をし、二天一流の極意十字留にかかり、押すことも引くこともできず敗れてしまいました。以来、武者修行の為に諸国を遍歴し、十字留打破に専念しました。数年後、筑前の国(福岡県筑紫郡)に至り、霊峰宝満山にのぼり宝満宮竈門神社に祈願参籠すること三十七日、満月の夜、夢の中に童子が現れ、「丸木を以って水月を知れ」とのご神託を授かった。夢想権之助は、丸い木と水月のご神託を体し、種々創意工夫し、槍・薙刀・太刀の三つの武術を総合した杖術を編み出し、ついに武蔵の十字留を破ったと伝えられています。