〇 地方独立行政法人とは
地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)に基づき、地方公共団体が直接実施する必要はないものの、民間に委ねると適切に実施されないおそれがある事業(公営企業で行われている事業など)を効率的・効果的に行ってもらうために地方公共団体が設立する法人です。
地方独立行政法人(以下「法人」という。)には、独立採算制が強く求められており、 地方公共団体の枠組みからはずれ事業の責任も法人自身に委ねられます。このことから独自の意思決定と柔軟な経営が可能になり、予算についても単年度主義が緩和され、予算執行における機動性、弾力性が増します。また、法人の職員は公務員ではないので、地方自治法や地方公務員法での制限はおよばず、職員数や給与についても法人の意思で自由に決めることができますが、独立採算制が求められていますので、利用者の負担増とならない範囲で運営を行わなければなりません。
法人は、単に自由度が増すばかりではありません。法律上、地方公共団体の立てた「目標」に対し、法人には「計画(Plan)」⇒「実行(Do)」⇒「実績評価(Check)」⇒「改善(Action)」という〝PDCA″が義務付けられています。
法人は、「計画(Plan)」を策定し、「実行(Do)」に移します。地方公共団体は、事前の関与や統制を極力排し、事後に法人の「実績評価(Check)」を行い、目標を達成していない点について、法人へ改善を図るよう指示・勧告を行います。
法人は、この指示を受けた場合、業務の「改善(Action)」を図らなければなりません。
この「実績評価(Check)」については、経営状況ばかりではなく、利用者に提供するサービスの向上に対しても、法人による業務の「改善(Action)」が図られない場合、地方公共団体は、運営費負担金などの投入や法人の組織の在り方、廃止、民営化など業務の見直しを検討し、必要な措置を講じなければならなりません。
具体的には、以下のような仕組みで「地方独立行政法人 くまもと県北病院」は、公営企業型の地方独立行政法人として、皆様によりよい医療の提供を行うことになります。
① 法人の設立団体である玉名市と玉東町で設置した一部事務組合(特別地方公共団体)である「玉名市玉東町病院設立組合」の管理者(玉名市長)が、副管理者(玉東町長)と協議を行い病院運営の責任者である「理事長」と、法人の監査役としての「監事」を任命します。
② 地方独立行政法人法に「法人の事業の経費は、原則として当該公営企業型地方独立行政法人の事業の経営に伴う収入をもって充てなければならない」とあります。一方で「採算の取れない事業について、法人が利用者に料金を負担させて採算を維持することが適当でない経費(「住民サービスの向上」 にかかわる経費)」については、組合が法人の業務運営費の一部を負担することになっています。(本組合においては、病院事業に係る国からの交付税の範囲内としています。)この運営費の負担については、「住民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに留意し、適切かつ効率的に使用するよう努めなければならない」ことが同じ法律に定められています。このように運営費負担金は、法人が利用者のサービスの向上のためか否か慎重に熟慮して使用しなければならないお金になります。
③ 組合は、法人に対し「くまもと県北病院」の整備などに必要な資金の貸付を行っています。法人は、組合に対し貸付金と利子の返済義務を負っています。
④ 組合の管理者は、3年~5年の期間を定め、法人に達成すべき業務運営の効率化、提供するサービスの質の向上、財務内容の改善やその他業務運営に関する目標として「中期目標」を課します。
⑤ 法人は、「中期目標」を達成するための「中期計画(Plan)」を策定します。
⑥ 法人は「中期計画」に基づき各年度の「年度計画(Plan)」を策定し「病院運営(Do)」を行います。
⑦ 組合の管理者は、「計画」の成果を確認するため「実績評価(Check)」を行い、法人に対し目標に達成していない点を改善するように指示などを行います。
⑧ 法人は、組合の管理者の指示などを受け「業務改善(Action)」を行いながら、皆様によりよい医療を提供していくようになります。