小松研究室の

アクティビティ

明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科小松研究室・所属学生の研究成果一覧

研究室所属学生が行った学会発表の記録です(学生が筆頭著者のもののみ).主に,HAIシンポジウム,人工知能学会などで学会発表を行っています.

人間と人工物との関係に纏わる幅広いトピックが,研究テーマとして選択されています.

2023年度

川上春佳・小松孝徳・小林稔(2023).見た目を気に掛けることがその人の主観的な内面評価に与える影響電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーション基礎(HCS)研究会・ヴァーバル・ノンヴァーバル・コミュニケーション研究会(VNV)研究会 2023年8月研究会, HCS2023-55.

ある人と出会ったとき,その人の外見は印象形成において重要な役割を果たしている. 見た目は人間関係に大きな影響を与え,見た目に気をつかうことは対外的なものだけでなく内面的にも良い影響を与えると考えられる. 本研究では「人に会うことを想定した格好をする」という状態に着目し,そのような格好をしている場合とそうでない場合とでその人の主観的な内面評価にどのような変化があるのか比較実験した.その結果,そのような恰好をしている場合,そうでない場合と比較してネガティブな気分が緩和されることが明らかとなった.

2022年度

Lee, W., Komatsu, T., and Toriumi, F. (2022). Investigating Users’ Motives for Engaging in Flaming by Analyzing Despise Tweet, In Proceedings of the 7th International Workshop on Application of Big Data for Computational Social Science (ABCSS2022),  to appear 

The purpose of this study is to investigate the motives of SNS users to engage in flaming by analyzing collected tweets. We hypothesized  that SNS users make a downward comparison with flaming targets to show off their superiority, and we defined tweets that verbally despise a target as "despise tweets." We investigated the proportion of despise tweets in 10 flaming and 4 non-flaming cases. As a result, we found that the proportion increased in all flaming cases. The correlation coefficients between the number of tweets and the proportion were positive for all flaming cases, which strongly supported our hypothesis. The results also suggest that it is possible to classify the patterns of flaming by examining the time when the maximum value of the proportion of despise tweets is reached. Specifically, we found that the proportion reached its maximum value earlier than the peak number of tweets in one-sided flaming cases, while it reached its peak later in cases where both sides of a controversial issue were present. Thus, it is possible to visualize the structure and background of flaming by tracking the relationship between the number of despise tweets and the number of tweets over time.

横田圭輔・山中翔太・小松孝徳(2022).スマートフォンにおけるタブの構成要素がユーザに与える影響の調査,情報処理学会第200回ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究会, Vol.2022-HCI-200 No.36.

現在,スマートフォンは世の中に幅広く普及し,人々の生活の中に溶け込んでいる.しかし,スマートフォンの画面の小ささゆえに,ユーザの選択する対象が小さくなったり,タブ間の境界線の有無によって操作対象の範囲が曖昧になったりすることで,結果として操作ミスが起きてしまうと考えられる.そこで本研究では,ユーザの操作対象として「タブ」に着目し,タブの画面上の位置,配置,境界線の有無および大きさがユーザの操作に与える影響を調査した.

Sugita, R., Okajima, M., Komatsu, T., and Nakamura, S. (2022). Considering the Meanings and Effects of Frames without Onomatopoeias in Japanese Comics, In Proceedings of the 5th International Workshop on Comics Analysis, Processing and Understanding (MANPU2022), to appear 

Onomatopoeias - echoic, imitative, or mimetic words - are good for describing intuitive, sensitive, and ambiguous feelings that are difficult to ex-press literally. They are often used in Japanese comics as an effective means of expression. In this study, we hypothesize that there are expressive techniques in comics such as “purposely not using onomatopoeia” and discuss the meanings and effects of frames without onomatopoeias. As a result, we confirm that frames without onomatopoeias frequently appear in significant scenes even though onomatopoeias are generally highly expressive in comics.

2021年度

大島寛斗・小松孝徳・山田誠二(2022).スロバーの回転速度がユーザの待ち時間に与える影響の考察,『情報処理学会論文誌』,vol.63 (3), 917 - 926

年々コンピュータの処理速度が向上しているものの、ユーザはコンピュータの処理を待つという状況からは逃れられない。そこで、待ち状態にあるユーザの負担を軽減する様々な方法が提案されているが、本研究では短い周期のアニメーションが繰り返し提示される「スロバー」に着目し、その構成要素とユーザの主観的待ち時間との関係を分析することを目的とした。具体的には、スロバーの「回転速度」「大きさ」という二つの要因が、ユーザの待ち時間に与える影響について調査を行った。その結果、スロバーの提示時間が5秒の場合,回転速度が遅く、表示サイズが大きいと、その待ち時間が有意に短く感じられることが明らかとなったが、提示時間が長くなるにつれてその効果が薄れることが明らかとなった。

澤佳達・小松孝徳(2022).優しい嘘をつくロボットを人はどう認識するのか,HAIシンポジウム2022,G-12,https://hai-conference.net/symp2022/proceedings/html/paper/paper-G-12.html  (Student Encouragement Award学⽣奨励賞受賞

本研究では相手のことを思った悪意のない優しい嘘をロボットがついたときのユーザのロボットに対する印象を調査した.具体的には,ある行為の主体者が,相手に言いにくいことを伝えるような状況を再現したシナリオを設定し,行為主体が「人間」と「ロボット」,伝達内容が「本当」と「嘘の」を組み合わせた4パターンにおいて,行為主体がどのように評価されるのかを把握する実験を行った.その結果,行為主体に依らず,嘘をつくよりも正直に情報を伝達する方が好ましいという結果を得た.

須田翔悟・神保一馬・小松孝徳・山田誠二(2022).テキスト対話エージェントからの返信間隔の違いはユーザの印象評価に影響を与えるのか,HAIシンポジウム2022,https://hai-conference.net/symp2022/proceedings/html/paper/paper-G-3.html  (Impressive Long-paper Award:優秀論文賞(ロングペーパー)受賞) 

昨今の急速なAI技術の発展により,ユーザとチャットを行うテキスト対話エージェントが普及しつつある.その一例であるチャットボットは,ユーザの入力に対して即時的な返信を行っているが,人間同士がチャットなどで雑談をする際には必ずしも即時的な返信を行っているわけではない.そこで本研究では,ユーザと雑談を行う目的のテキスト対話エージェントは即時的な返信よりも間隔を開けた返信の方がユーザに好印象を与えると考え,それを検証するための実験を行った.

廣田魁豊・小松孝徳(2022).SNS上における「信頼する情報」と「拡散したくなる情報」との関係についての考察,情報処理学会第197回ヒューマン・コンピュータインタラクション研究会https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=217434&item_no=1&page_id=13&block_id=8 

SNSにおける「リツイート」や「いいね!」といったエンゲージメント機能は,即時的かつ大規模な情報拡散を可能にする一方,エンゲージメント数の表示が誤情報の拡散を助長してしまうリスクがある.そこで本研究では,SNS上における誤情報を判定するクイズ形式の実験によって,ユーザがSNS上のどのような情報を信頼し,どのような情報を拡散しようと思っていたのか,その関係についての調査及び考察を行った. 

杉田莉子・小松孝徳・中村聡史(2022).コミックにおけるオノマトペの効果的な「不」使用方法についての考察,第7回コミック工学研究会https://drive.google.com/file/d/1PCK8xnd0oPZSXnh-8KriT96Kelpvkr6P/view

臨場感にあふれ繊細な表現を可能とするオノマトペは,コミック作品においても効果的な表現の一技法として積極的に使用されており,その効果について多くの考察がなされている.本稿ではそのようなオノマトペがあえて使用されていない箇所に着目し,その不使用方法がもたらす意味および効果について考察した.その結果,オノマトペを使用しないことによって,使用されている箇所との差異を強調することとなり,むしろ物語における重要な箇所にてオノマトペが使用されていないケースの方が多いことが明らかとなった.

2020年度

高橋舞羽・小松孝徳(2021).ロボットへの認識における「外見」の影響をテセウスの船パラドクスから考察する,HAIシンポジウム2021,G-5 https://hai-conference.net/symp2021/proceedings/html/paper/paper-G-5.html

著者らはテセウスの船パラドクスを用いてロボットへの認識を把握する先行研究を実施したが,その際,実験参加者に対して特定のロボットの画像は提示しなかった.そこで本研究では,5種類のロボット,スマートフォン,パソコン,人間の画像を提示したうえで先行研究を追試し,「ロボットは人間でもモノでもない存在として認識されている」という先行研究で得られた知見を,ロボットの外見という観点から再考することにした.

柴田夏蓮・小松孝徳(2021).ロボットへの本音を把握するための板挟み型日常的モラルジレンマ課題の提案,HAIシンポジウム2021,G-7 https://hai-conference.net/symp2021/proceedings/html/paper/paper-G-7.html 

トロッコ問題のようなモラルジレンマ課題にロボットを登場させることで,そのロボットに対する人間の本音を明らかにする試みが注目されている.しかしながら,モラルジレンマ課題は,非日常的な状況においての道徳的判断を求めるものであるため,近年は日常生活空間に起こりうる状況を想定したモラルジレンマ課題が提案されるようになった.そこで本研究では,「上司からの命令」と「顧客からの要求」との間で主人公が板挟みになるという「板挟み型日常的モラルジレンマ課題」を提案し,そのような状況に置かれたロボットがユーザからのように認識をされていたのかを把握するために,クラウドソーシングによるアンケート調査を行った.その結果,従来のモラルジレンマ課題で見られたような,行動をしないロボットに対して有意に非難度が高いという傾向は観察されず,行動をしたロボットおよび人間の方が有意に非難度が高いという結果が観察された. 

リウォンソク・小松孝徳・鳥海不二夫(2021).コロナ禍におけるデマの認知がTwitterに及ぼす影響の調査,第5回計算社会科学ワークショップ,https://css-japan.com/2021/01/05/cssj2021/ 

新型コロナウイルスが世界中に蔓延する中,日本では2月下旬にトイレットペーパーに関するデマ情報がSNS上で大きく拡散された.これにより多くの人がデマの存在を認知し,全国各地でトイレットペーパーの品薄状態が相次いだ.そこで本稿ではトイレットペーパーに関するデマが認知される過程を把握し,デマの認知がTwitterに及ぼした影響について調査を行った.

Oshima, H., Komatsu, T., and Yamada, S. (2020). How Throbber Components Affect Users’ Perception of Waiting Time, In Extended Abstract of the 22nd International Conference on Human-Computer Interaction with Mobile Devices and Services (MobileHCI2020) (in late-breaking-results session), https://dl.acm.org/doi/10.1145/3406324.3410708.

Although the processing speed of computers is fast enough, users still have to wait for computers to complete tasks or respond. To cope with this, several types of visual information have been proposed as methods of presenting the current processing conditions of a computer to users when they are waiting. In this study, we focused on a throbber as an example of such visual information. A throbber is an animated graphical control element used to show that a computer program is performing an action in the background. We investigated how the components of throbbers (e.g., presented durations, rotational velocities, and size) affected users’ perception of waiting time. As a result, we observed that the participants felt that throbbers with a slower rotational velocity had a shorter duration regardless of size when the presented duration was rather short, like 5 seconds.

大島寛斗・小松孝徳・山田誠二(2020).ユーザの待ち時間に影響を及ぼすスロバーの構成要素の探究 ,2020年度人工知能学会全国大会,3J5OS9b02 .https://ci.nii.ac.jp/naid/130007857187/

年々コンピュータの処理速度が向上しているものの、ユーザはコンピュータの処理を待つという状況からは逃れられない。そこで、待ち状態にあるユーザの負担を軽減する様々な方法が提案されているが、本研究では短い周期のアニメーションが繰り返し提示される「スロバー」に着目し、その構成要素とユーザの主観的待ち時間との関係を分析することを目的とした。具体的には、スロバーの「回転速度」「大きさ」という二つの要因が、ユーザの待ち時間に与える影響について調査を行った。その結果、スロバーの提示時間が5秒の場合,回転速度が遅く、表示サイズが大きいと、その待ち時間が有意に短く感じられることが明らかとなったが、提示時間が長くなるにつれてその効果が薄れることが明らかとなった。この結果より、スロバーの構成要素を微調整することで、ユーザの主観的待ち時間を暗黙的に操作できる可能性が示されたといえよう。 

2019年度

清田葉・小松孝徳(2020).スマートスピーカからの提案がユーザの親近感を向上させる ,HAIシンポジウム2020,p-49. http://hai-conference.net/symp2020/proceedings/html/paper/paper-P-49.html

スマートスピーカが世の中に普及しつつあるが、未だに多くの人の生活には根付いていないのが現状である.そこで本研究では、スマートスピーカに対して親近感を抱かせるにはどうすればよいのかという問題に注目し,スピーカからユーザに対して「提案」がなされた時の印象を実験的に調査した.その結果,スピーカ側からユーザに「あなたがやっているタスクのお助けをできます」と提案することで、ユーザのスピーカへの親近感が上昇することが明らかとなった. 

金丸玲央・小松孝徳(2020).テセウスの船パラドクスにみられる同一性問題とロボットの関係 ,HAIシンポジウム2020,G-17http://hai-conference.net/symp2020/proceedings/html/paper/paper-G-17.htmlStudent Encouragement Award学⽣奨励賞受賞

近年,家庭にロボットを導入しようという機運が高まってきているものの,スマートフォンやスマートスピーカーなどの高性能端末に比べてその普及は進んでいない.著者らは,人間が抱く「ロボットへの認識」が普及の妨げになっていると考えている.そこで本研究では,「ロボットとは何者なのか」という未だ回答の明示されていないこの問題について,テセウスの船パラドクスを基に,同一性の観点から考察する. 

2018年度

山田雅博 ・小松孝徳・山田誠二(2019).シンプルなモノラル音によるユーザの左右情報認知の実験的考察 ,HAIシンポジウム2018,G-20.http://hai-conference.net/proceedings/HAI2018/html/paper/paper-G-20.html

私たちの身の回りでは,左右の方向情報を伝えるために音声が用いられている.しかし,音声が用いられる場合,ユーザが言語を理解している必要がある.そこで著者らは,音自体の性質によって左右の方向情報を伝えることができるのではないかと考えた.本研究では,シンプルなモノラル音の長さの違いで,左右の方向情報を伝えることが可能かどうか及び,どのような音情報を使用すべきかを考察する実験を行った.本実験の結果,モノラル音の長さの違いが伝わった際に左右の方向情報を伝えられることが明らかになった.

上出真裕 ・小松孝徳(2019).ロボットが従事するタスクに適したロボットの顔デザインの検討 ,HAIシンポジウム2018,P-23.http://hai-conference.net/proceedings/HAI2018/html/paper/paper-P-23.html 

ロボットのアピアランス(外見)はユーザとのインタラクションに及ぼす影響が大きいため、この二者間に円滑なインタラクションを構築するには、ロボットの持つ機能に適したアピアランスをロボットに実装することが重要となる。筆者らは先行研究にて、ロボットの目、耳、口というロボットの顔のパーツと、ロボットが従事するタスクとの関係を調査した。本研究では先行研究で提案された顔パーツと従事タスクとの組み合わせを、実験参加者にロボットの顔を直接デザインしてもらう二つの実験を通して考察した。 

黒川恵輔小松孝徳鹿喰善明 (2018).一般ランナー支援のためのマーカレスフォーム映像分析 ,映像情報メディア学会年次大会 2018,14E-2(学生優秀発表賞受賞)

一般ランナーが容易に自分のフォームの分析を行い改善に役立てるシステムを開発している。ランナーにマーカーを装着することなくスマートフォンで撮影したランニング映像から深層学習により関節位置を特定し、その変動を解析することにより様々なフォーム分析項目の導出を行った。 

2017年度

市川瑶子・小松孝徳(2017).ピアノレッスンにおける相互適応プロセス:指導者―生徒間のコミュニケーションにおける「ことば」の使用変遷 ,HAIシンポジウム2017,P-3http://hai-conference.net/proceedings/HAI2017/html/paper/paper-P-3.html

一般的なピアノレッスンでは,生徒の演奏に対して指導者が乾燥を述べたり改善点を指示したりし,生徒が再度演奏する,ということの繰り返しで進行する.その際,指導者は生徒の習熟度合に応じて,指導の方法を変化させるという,相互適応プロセスが存在していると考えられる.そこでピアノの発表会を控えた生徒と指導者のレッスンを観察し,特に指導者がどのようなことばを用いて生徒に指導を行い,またその使用方法がどのように変遷するのかを相互適応という観点から詳細に観察した. 

上出真裕・小松孝徳(2017).ロボットが従事するタスクに適したロボットの顔のデザインの検討:コンジョイント分析の結果を精査する,HAIシンポジウム2017,P-25.http://hai-conference.net/proceedings/HAI2017/html/paper/paper-P-25.html

ロボットのアピアランス(外見)はユーザとのインタラクションに及ぼす影響が大きいため、この二者間に円滑なインタラクションを構築するには、ロボットの持つ機能に適したアピアランスをロボットに実装することが重要となる。著者らはこれまで、ロボットの目、耳、口というロボットの顔に関するアピアランス要素の「大きさ」「位置」と、ロボットの従事する五種類のタスクとの関係を精査するコンジョイント分析を行い、それぞれのタスクを得意とするロボットの顔アピアランス要素の組み合わせを明らかにした。本研究では、先行研究で得られたロボットの顔アピアランス要素の組み合わせた顔画像を提示されたユーザが、そのロボットからどのようなタスクが得意と判断するかを調査した。 

田畑緩乃・小松孝徳(2017).ロボットとは何者なのかを考えるための日常的モラルジレンマ課題の提案 ,HAIシンポジウム2017,D-1.http://hai-conference.net/proceedings/HAI2017/html/paper/paper-D-1.html (Most Outstanding Research Award最優秀論文賞受賞)

私たち人間がロボットをどのような存在として認識しているかを把握するために,トロッコ問題のようなモラルジレンマ課題にロボットを登場させるという課題が提案されている.しかしながら,一般的なモラルジレンマ課題は,「四人を助けるために一人を犠牲にするべきか」「家族を助けるために強盗をするべきか」といった現実的にはあまり起こらないような状況での道徳的判断を求めるものである.そこで本研究では,我々の生活で日常的に起こりうるような状況を想定した日常的モラルジレンマ課題を提案し,この状況下でのロボットに対するユーザの道徳的判断を把握する調査を行った.