伝統建築を参照した新しい木質工法の開発
Life Cycle House
背景・目的
地域環境への影響が少なく、快適な建造環境の実現が求められている今日において、環境負荷が少なく再生可能な資源である木材は理想的な材料の一つである。しかし、日本の森林は収穫期を迎えている木材が豊富にあるにもかかわらず、自給率が30%程度(2024年時点では40%でした)と低い現状である。そうした背景の中、木材の特性を最大限に活かし、人にも自然にも最適な住宅を提案するするべく、金物や化石燃料由来の建材を極力使用せずに、組み立てや解体が簡易な構造を開発する。本研究は、開発された新たな構造システムの構造特性と環境に与える影響を明らかにすることを目的としている。
成果
本研究では、伝統的な木造形式である軸組工法とログ工法を組み合わせた加工システムの開発を行なった。構造的な要点となるログ材間のせん断抵抗の機構を検証するため、シアキーの違いによるせん断性能を接合部の要素試験により詳細に分析した。同時に、簡易な加工機で精度を担保する構法システムを前提に、耐力壁として機能する壁体のモデルを設計し、実大試験でその性能を確認した。これらの成果は、木造軸組耐力壁の壁倍率に関する国土交通大臣認定の取得につながった。加えて、材料製造段階のカーボンフットプリントについて他の一般的な工法と比較し、本構法の環境的なメリットについても定量的に示した。
修士論文
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 -LCAによる材料製造段階のマルチクライテリア評価-
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 -要素試験による嵌合接合部の比較検証-
学士論文
タイニーハウスの考察 -1990年以降の事例を対象として-
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 -積層材間のせん断面数が及ぼす構造性能への影響-
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 その4 -Jログ工法による建物の温熱性能の考察-
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 その3 -カーボンフットプリントの評価と比較-
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 その2 -嵌合接合によるマッシブホルツパネルと軸組で構成される耐力壁の面内せん断試験-
伝統建築を参照した新しい木質構法の開発 -木質接合具を用いたログ工法部材と軸組で構成される耐力壁のせん断性能試験-
査読論文
Takano A., Aiki M. . A Multi-Criteria Approach to Sustainable Building Material Selection: A Case Study in a Japanese Context . Sustainability17 (9) ( 4210 ) 2025年5月
Atsushi Takano, Masashi Aiki, Ryuto Yasunaga . Sustainable building material selection: A case study in a Japanese context . IOP Conf. Series: Earth and Environmental Science588 ( 022069 ) 1 - 4 2020年11月
・有限会社北園製材所,嵌合積層材と縦桟4本で構成した厚90×幅1790mm嵌合積層パネル/ビスSTS6.5・F135斜め留め/パネル−柱接合部@180mm、パネル−上下横架材接合部@350mm/真壁仕様/壁長1900mm/木造軸組耐力壁,(公財)日本住宅・木材技術センター,2021