フィードバック制御の制御設計・調整の場面では技術者の経験や知識に依存した経験則的調整を行わなければならない状況が多々あります。この理由の一つに、制御則を決定するために制御対象のモデリングが十分に行えないような状況があるためです。そこで、モデリングを用いず、観測されたデータ(時系列信号)を用いて直接的に制御則を調整する「データ駆動制御」が制御器調整にかかる労働コスト削減に有効であると考えられ様々な研究が行われています。これまでの研究において閉ループ制御の調整に特化した新しいデータ駆動制御の「Virtual Internal Model Tuning (VIMT)」を提案し、その理論と応用に関する研究を行っています。
◆VIMTの関連論文抜粋
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近年、工場やインフラを狙ったサイバー攻撃が社会的な問題になっています。一昔前までは工場の機器類はネットワークとつながっておらず、サイバー攻撃とは無縁との認識がありましたが、工場やインフラのネットワーク化が進んだことにより、サイバー攻撃の対象として狙われるようになっています。そこで、データ駆動制御をはじめとする制御システムの設計・調整アルゴリズムがネットワーク化された社会でも安全・安心して使用できるようにセキュアなアルゴリズムについて研究しています。
Taichi Ikezaki, Osamu Kaneko, Kenji Sawada, and Junya Fujita, "Poisoning Attack on VIMT and Its Adverse Effect", Artificial Life and Robotics, 29, pp.168-176 (2024), https://doi.org/10.1007/s10015-023-00914-7