本講座は,国立高専機構による令和4年度~令和6年度にかけて実施された高専生向けのSTEAM教育の開発事業(※)により制作され,全国の高専生が防災や事前復興をSTEAMの観点から学習することができるようになっています.STEAMとは,科学(Science),技術(Technology),工学(Engineering),芸術・リベラルアーツ(Arts),数学(Mathematics)を組み合わせた分野横断的な学びであり,防災を理数系の学問の視点からだけでなく人文系の学問の視点も踏まえた総合知を得ることで,地域の課題を解決できる人材を育成したいと考えています.
なお,本教材は,「タテ×ヨコ」をテーマに,全国の高専生に対して防災や事前復興に関する新しい空間デザインの提案を求めたデザインコンペティション2024空間デザイン部門でも活用をされました.
※:令和4~5年度理工系人材の早期発掘とダイバーシティ型STEAM教育強化(高専STEAM強化)事業,令和6年度小中高専連携による個別最適なダイバーシティ型STEAM教育
B.災害のメカニズムや被害と対策に関する講義
B-1
地震による家屋被害の特徴
講師:中川貴文先生(京都大学生存圏研究所 准教授)
学習内容:木造家屋等において地震に耐えるために設置される「耐力壁」について知るとともに,建築基準法において定められた耐力壁の量がどのように変わってきたのかを理解する.
録画:2023年度
B-2
地震による人的被害の特徴
講師:西村明儒 先生(徳島大学大学院医歯薬学研究部法医学分野教授・環境防災研究センター災害医療部門長)
学習内容:兵庫県南部地震の死因から災害の全体像と原因とを解明し,その対策を検討する方法について理解する。
録画:2023年度
B-3
津波のメカニズムと被害
講師:鈴木進吾 先生(防災科学技術研究所 社会防災研究領域災害過程研究部門 主任研究員)
学習内容:地震による津波の発生原因とメカニズムを理解するとともに,被害を低減するために多重防御の考え方を理解する。
録画:2023年度
B-4
洪水被害の特徴と対策
講師:野本 粋浩 先生(香川大学危機管理先端教育研究センター 副センター長 特命教授)
学習内容:河川洪水への対策の歴史的な経緯と堤防やダムによる治水について理解するとともに,近年の激甚化する豪雨への対策として堤防やダムによる治水を超えた流域知識の考え方を理解する。
録画:2023年度
B-5
災害リスクとコミュニケーション
講師:野本 粋浩 先生(香川大学危機管理先端教育研究センター 副センター長 特命教授)
学習内容:那賀川流域の洪水と堤防整備の歴史から、住民と行政との間で災害へのリスクをどのようにとらえ、コミュニケーションをとってきたのかを理解する。
録画:2023年度
B-6
事後復興からの教訓~陸前高田を例に~
講師:永山 悟(陸前高田ほんまる株式会社・東京大学学術専門職員・元陸前高田市都市計画課)
学習内容:東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市の災害後の復興の過程(多重防御等)を学ぶとともに,事前復興を行っていくために何が大切かを考える。
録画:2023年度
参考資料として,阿南高専生が陸前高田市を視察し,復興について考えた過程をまとめた冊子『今こそ、事前復興を~阿南高専生と企業による陸前高田市視察記録~』へのリンクを示します。
B-7
災害からくらしを再建する~事前復興と災害ケースマネジメント~
講師:堀井 秀知(日弁連災害復興支援委員長・徳島弁護士会・弁護士・防災士)
学習内容:復興にあたっては,被災地全体の復興と被災者一人ひとりの生活再建の両方を実現していく必要があり,平時から災害後までの切れ目のない被災者支援の在り方について理解する。
録画:2023年度
B-8
復興まちづくりイメージトレーニング
講師:塩崎 由人(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)
学習内容:復興事前準備の一つである復興イメトレについてその概念や手法を学ぶとともに,生活再建と市街地復興とをバランスよく検討していくことの大切さを学ぶ。
録画:2023年度
B-9
復興の未来
講師:羽藤 英二(東京大学大学院工学系研究科 教授)
学習内容:東日本大震災や能登半島地震からの復興での課題を理解するとともに,今後,「復興」はどのように位置づけられ,どのように変化をしていくのかを考える。
録画:2023年度
※この動画は2024年3月6日に開催された「阿南市 事前復興 シンポジウム」での羽藤先生のご講演の一部を本講義用に編集をしたものです.全編を閲覧したい方は,専用ページにアクセスをしてください.
C-1
地理院地図による防災地理情報の活用
講師:宮本 歩(国土地理院)
学習内容:ウェブGISの一つである地理院地図の使用方法を理解するとともに,地図の重ね合わせを通じて地形と防災情報とを把握する力を身に着ける。
録画:2023年度
【課題作成用の参考資料】
C-2
GISによるハザードマップのつくり方(1)~(4)
講師:鈴木進吾 先生(防災科学技術研究所 社会防災研究領域災害過程研究部門 主任研究員)
学習内容:デスクトップGISの一つであるQGISを用いてハザードマップの作製するための基礎的な操作方法を取得するとともに、ハザードの表示方法に関する基本的な概念を説明できるようになる。
録画:2023年度
C-3
耐震シミュレーションソフト
wallstatの紹介
講師:中川貴文先生(京都大学生存圏研究所 准教授
学習内容:木造建物の耐震性能を視覚的に確認できるシミュレーションソフトを用いて、地震による木造建物の倒壊のしくみや耐震設計の基礎を視覚的に学ぼう。
録画:2023年度
youtubeのwallstat channel にアクセスし、wallstatの使い方【初級編】をすべて閲覧しよう。