野球小僧の

作り方

できること、やれることを

アップしていきます

世の中が騒々しく、誰もが我慢をしています。「野球小僧の作り方」、準備ができない状況ですが、アップできるものを順次出して行きます。

昔は野球小僧がいた?

とある練習試合での話。相手チームの監督さんとの話で、「昔は野球小僧がたくさんいた。自分たちで野球の練習をして、自分たちで上手くなった」。

ブルフォで実践していることが野球小僧を作るお手伝いになればと思い、子どもの運動についての知識、野球が上手くなるコツにつながるコラムを掲載していきます。

スポーツ小僧の作り方

よくスポーツが人生に例えられます。それに共感できることと、(バリバリのスポーツパーソンであれば)そうではないんだけど、と思うところが複雑に気持ちを揺れ動かします。

子どたちより少しだけスポーツの先輩として、スポーツをやらせてみたい家庭の気持ち、スポーツ指導の現場の思いを文章にしてみました。

不定期です、スミマセン・・・。

過去のコラムはページに折りたたんであります。右の矢印マークをクリックしてみてください。

#10 ”器用さ”を身に付けて、スポーツが上手くなる

 器用、と言えば「細かな作業を、上手にこなす」「体を上手に使って芸時や工作をうまくこなす」という意味合いがあります。スポーツでは、器用貧乏、なんて言葉もあり、何でも上手くこなすけれども一番にはなれない、とネガティブな捉え方をしたりもします。

さて今回は、その器用さの話。

器用さは、手先の器用と体の器用があります。日常生活の中では、手先の器用さはとても大事で、幼い子どもは箸の持ち方も注視されるほどです。また包丁を上手に使う料理や細かな針仕事をする裁縫はもとより、文字を上手に書くことにもつながります。一方の体の器用さは、イメージした動作を表現できる能力で、スポーツのパフォーマンスに直結する要因です。

この二つの器用さは、両者は関連しているように思います。おそらく、手先が器用な子どもは上手に歌ったり踊ったりするのが上手なのではないでしょうか。おそらく、器用さは表現のための想像力を養っているはずです。

運動選手であれば身につけるべき時期があるように思います。例えば自転車に乗ることを幼い時に身につければ、それは一生忘れることのない技術の固定化につながります。スポーツでも、テニスやバドミントンを小学校から中学校、あるいは高校にかけて一生懸命に打ち込めば、年を取ってもラケットを振ることが上手なはずです。

では、どうすれば器用さが身に付くのか。子どもが集まれば、おとなが何かを主導するのではなく、ほっておくことが重要に思います。すると子ども同士で遊びを考え、遊びを実践し、遊びを発展させます。もしかしたら、おとなのアドバイスが必要なこともあります。昔ながらの遊びを伝えることはとても良い助言になります。ベーゴマやメンコ遊びは、手先の器用さを養います。鬼ごっこにとどまらず、缶蹴りや泥棒と警察なんて遊びは、様々は状況を考えることで脳を刺激し、体の器用さの基礎を作っているように思うのです。

野球では、どうしたらいいでしょうか。まずオススメは年柄年中ボールを握っていることです。すると手先がボールのタッチを覚えてくれます。棒でもいいしバットでもいいし、何でもいいからスティック状のものを振り回すことも重要です。”ねじれ”を養うことは体の器用さに結びつくのです。そして、上手い選手の「ものまね」をすることです。同じ動作をイメージして表現できれば、そのパフォーマンスに近づけることができるのです。

書いてきたこと振り返ると、何でもやれ、と言っているように感じます。実はその通りで、何でもやればいいのです。とくに体の器用さは、イメージを上手に作ることで上達が見込めるのです。


#9 「験担ぎ」と「ルーティン」

 毎週のように試合がスケジューリングされると、試合で力をしっかりと出すことのできる選手と力を出し切れない選手が分かれてきます。力を出せる選手は「本番に強い」なんて言い方をします。では、どうすれば力を出せるようになるのか・・・。

 試合で活躍すると、それまでの行動を振り返り、「あの時○○を食べたら調子が出た」「○○をしたらゲームに勝てた」として、その○○という縁起を気にして同じような行動をすることを「験を担ぐ」(げんをかつぐ)と言います。もともとは、縁起を担ぐと言っていたそうですが、縁起を逆さに「ぎえん」と呼ぶようになり、それが「げん」になったとのこと。

 スポーツ選手に験を担ぐ選手は多く、松井秀喜選手は日本では開幕前日は鯛を食べていたそうです。メジャー時代は、アメリカで鯛を探すのが大変だったそうで、代わりにタイ料理を食して開幕に臨んだ話も知られています。

 験を担ぐことが習慣化されると、それは験担ぎとは言わなくなります。習慣化している行動や、何かの時に行う一連の動作、日課になっている行動をルーティン(ルーティンワーク)と言います。

 イチロー選手が毎朝カレーを食べているとか、バッターボックスには右足から入るなんて言うのはルーティンです。ラグビーの五郎丸選手の、フリーキック前の指を立てるポーズも、集中力を増すためのルーティンと言えます。浅田真央さんはスケート靴を履くのに左から足を入れ、リンクにも左足から入るとか・・・。

 野球で言えば、バッターボックスに入った時に、ホームベースの角と角をバットで確認してから構える選手がいます。これは外角と内角を確認する動作です。バットを肩に担いでから構える選手は、グリップの位置を高くするためのルーティンだと思います。ピッチャーだと、ピッチャーマウンドのプレートに手を合わせてから投球するのは、プレートに投げられることを感謝する行動でしょうし、マエケン体操は腕の動きを良くするためのルーティンです。

 では、スポーツ選手に験担ぎとルーティンとどちらが必要でしょうか? 選手が、「前日に○○を食べると調子がよくなる」と信じていれば、それはそれで効果があると思います。しかしそれ(験担ぎ)に頼りすぎることは、長い目でみるとマイナスにこそならなくても、プラスに効果が働き続けることはないように思うのです。

 験担ぎを一生懸命に探すより、パフォーマンスの向上や維持につながるルーティンを作った方が良いように考えます。

 ルーティンのメリットは、いくつもあります。

① 決まった行動をすることによる、努力の習慣化

② 一連の行動、仕草などによるリラックス効果

③ 集中力を高められる(=やる気スイッチのオン)

④ 決まった行動によって起こる、不調の好調化

試合前のルーティンとして、午前中の試合だと4〜5時間前に起床する選手が多いと思います。朝が早い試合では起床時にお風呂に入り体をより起こす、というのも良いと思います。練習では、バッティング練習の時には、打席に立つ前に必ず良いイメージで5スウィング素振りをする、とか・・・。

 験担ぎとルーティン。験担ぎも悪くありませんので、それはそれで。まずは練習でも試合でも、パフォーマンス向上につながるルーティンを作ってみるのが良いと思うのです。  


#7 スポーツができない時に考えること

駅伝選手が走れない時

そうとう昔の,駅伝の指導をしていた頃のはなし(笑)。

一日に20km以上走る長距離選手は,常に故障と背中合わせ。故障した選手は回復するのをただ待っているのではなく,走る代わりに「何をするか」が問われる。

その頃にどんな話をしていたのか,綴っていた「コーチノート」と記憶を紐解くと・・・。

走るためにトレーニングをして,走れなくなる。走れない時に,なぜ故障したのか「体を見つめる」,「トレーニングを見返す」,そして「生活を振り返る」。すると,必ずどこかに綻びが見つかるはず。

もう一つ。自分がなぜ走るのか「問い直す」。いやいや練習していなかったか,惰性で走っていなかったか,思い出してみる。このことこそが,走ることのできない状態を作った元かも知れない。

よく,「人の倍練習しろ」と言う。しかし,実際に人の2倍も練習できる選手はそういるわけではなく,せいぜいが2割増しがいいところ。

その2割。何をするかに知恵を絞ろう。

故障した時こそ,2割を考えるチャンス。

最初に「自分の弱点を見つける」。次に「弱点を補う方法を考える」。最後に「弱みを強みに変える行動をする」。

弱みを強みにする手段が見つかれば,それを今から,走ることができようになっても続けると,違った選手になっている。

小学生でも,けっこうやれる。自ら伸びる。だから, ほどほどにする

案外,小学生は大人かなと思う。話を丁寧に聞いてみると,考えていること思っていることをきちんと主張する。

だから信頼してあげると自分から行動を起こす。

野球ができない時だからこそ,野球ができるようになった時に,思い切りボールを投げて,バットを振って,走れる準備をしておきたい。簡単なことから,少しずつ,コツコツできることをやってみる。それも、ほどほどに。

自宅の空間でも,きっと面白い,グランドではできないトライがある。

#6 免疫力を高める

(3月27日)

再掲です!

今年のお正月の頃は、こんなにザワついた春になるとは思ってもみませんでした。

こういった時だからこそ、穏やかにいることが大事だと思うのです。

さて、そのお正月。冬休みを前に、「ふゆ休み 体を作る 練習日誌」を選手の皆さんにつけてもらいました。

その日誌の冒頭で、「冬休みの体調管理」と題した2ページを挟み込みました。今の時勢にもつながる内容だったなと思い、再掲しようと思います。内容は「風邪を引かない工夫」と「睡眠を大事にする必要性」です。簡単なコラムですので、ご一読のほど。

(内容は、少しばかりの変更をいたしました)


・風邪を引かない工夫

免疫力(めんえきりょく)(病気にならない力)が低下すると、風邪を引きやすくなります。免疫を低下させないようにするには、コツがあります。

まずは体を冷やさないこと。運動中は、免疫が高まるのですが、運動終了直後から免疫力は低下します。そのため運動して汗をかいたら、体を冷やさないために素早く着替えることが重要です。

これは、運動に限ったことではありません。寒さを感じるようなら、厚着をしたり、部屋を暖かくしたりする工夫が必要です。


生活の中で風邪を防ぐコツは、うがいと手洗いをしっかりすること。いろいろなところを触る手には様々な細菌が着いている可能性があります。そのため手を洗うことはとくに重要で、小まめに手を洗う習慣が風邪を引きにくくさせます。

人が多く集まる場所に行くときや、電車などで移動をしなければならない場合は、マスクをすることも効果的な予防法です。マスクは、顔の大きさに合ったものを選ぶようにしましょう。


・睡眠を大事にする必要性

休みが長くなると、どうしても生活パターンが乱れがちになります。とくに、早寝早起きをしていた習慣が夜更かしをするようになり、起床も遅くなりがちです。そこで、最初に睡眠の話。

これまでは、寝てから始めの4時間の深い睡眠が大事だと言われてきました。その理由は、成長ホルモンという物質が体に出てきて、体を作る、体を回復させるという仕事をしてくれるからです。最近では、そのあとの4時間くらいの睡眠で、技能の定着が体に起こることが分かりはじめてきました。

野球が上手くなりたいのであれば、最初の4時間は体作り、次の4時間で技術を覚える、この睡眠パターンを確立し、ある程度の睡眠時間を確保するようにしましょう。


#5 「何とかなる」で何とかなるのか?

今夏の東京オリンピック。競歩50kmの代表に内定している鈴木雄介選手は、研究室の後輩にあたる。恩師の退職パーティーで彼が話したのは次のような内容。


「大学の推薦入試の面接が恩師の○○先生だった。そこで訊かれたのは、競歩の遠征が忙しいと思うけど、勉強の方は大丈夫? という問い。それには、何とかなると思います、と答えた。すると○○先生は、その考えで本当に何とかなるのか? と再び問われた。当時の自分は、何とかなるだろうというノープランな考えだった。本当に何とかするためにどうすればよいのか、そこから考えるようになった」


多くの誰もが「何とかなる」と、様々な場面で考える。何とかなる、という形の無いフワっとしたイメージを漠然と持ってしまう。

それで何とかなってしまうのは、棚からぼた餅なのかも知れない。

大きな事案では、そんなラッキーはまず無い。


何とかするために、どうすればよいのか。何を考えるのか。

言われないと出来ないのはダメだ。言われたことしか出来ないのもダメだ。

考えよう、脳細胞をすべて使うんだ。想像しよう、そして自らやってやろう。

大事なことは、失敗を恐れずに行動することなのだ!


#4 「整える」力

先日の話。東京オリンピックを狙っている陸上競技の女子選手が、監督とともに測定にやってきた。トレッドミル(ベルトコンベア)を走って有酸素能力の善し悪しを測る。

その測定後の話。測定結果を説明しながら、次のような話を。


よく強みを活かそう、とか、弱点を補おうなんて話をよくします。けれど、これまで相当なトレーニングをしてきた選手は、すでにストロングポイントを伸ばし、ウィークポイントを何とかしようとしてきたはず。であれば、大事な試合が迫っていてこれからすべきことは、今の力を整えてあげること。


整える、とはどういうことか。

技術の偏りを整える。

体力のバランスを整える。

コンディションの好不調を整える

心の状態を安定させる・・・

アンバランスになっているところが、様々要素であるのではないだろうか。


すぐにできることは、調子を整えてあげること。

まずは睡眠時間をしっかり確保する。スタンフォード大の男子バスケットボール選手を対象にした実験では、睡眠を平均でおよそ110分延長するとフリースローの成功率などの技術やバスケコート1周ダッシュのタイムが改善したのだという(Mahら、2011)。

食事をしっかり摂ることも重要。カロリーを同じにして、カロリーメイト、洋風朝食、塩むすびのそれぞれを朝食にすると、お昼まで体温や集中力が持続したのはカロリーメイトや洋風朝食だったそう(樋口ら、2007)。大事なのはカロリーではなく、様々な栄養素を摂ることなのである。


トップアスリートでなくても、少しの整えがパフォーマンスをアップさせる。

大事なところは、できるところから行動を起こすことである。


#3 野村監督の思考力(2020.2.12)

2月11日、陽が頂点に達する前に一報が世間を駆けた。「野村監督が亡くなった」。

氏の著書はかなり読んだ。その思考に、参ったと感じることが多かった。野球に対する姿勢を問うた、人生訓のような表現に、多くの人が魅了されたと思う。その一人である自分がここにいる。

いくつもの名言の一つに、次のような内容があった(正確ではないけれど・・・)。組織についての話だったと思う。

「一番下はお金を残すこと、次にダメなのが仕事を残すこと、一番良いのが人を残すこと」。

スポーツの世界観からすれば、勝負するのは選手であり、作戦はその手段に過ぎない。勝つためには指導者(を含めたスタッフ)にしろ選手にしろ、大事にすべきは人を作ることである。野村監督はチームを成熟させることについて、その真理を言っていたのかも知れない。

言葉では簡単だけれど、「人作り」とは何か。

誰かの期待や理想を押しつけて、その通りにさせることではない。周りは、本人が明確に望む事の指南役である。本人も何を発信し、そして表現するのか、その考えが求められる。決して甘くはなく、だから悩むのである。成長するとは、そういうことだ。

もう一度、人作りとは何か。

それは、人を「自立をさせる」ことにつきる。

野村監督は、野球を通して人の成り立ちを考えていた、希有なリーダーだったように思う。

さてさて、ブルフォの子どもたち。

自立の道標(みちしるべ)となるヒントは得ているだろうか。

ヒントは、そこら中に散らばっている。ヒントと感じ、チャンスに活かすも自分次第。

自立の一歩は、目の前にあるのだ。


#2 アソビの重要性。行動なくして成功ならず。(2020.2.10)

著書「白鳳のメンタルトレーニング」がある内藤先生とこんなやりとりをしました。

「先日の○○大会で、強いとチームとそうでないチームの違いは何なのか」。

意見を求められ、こんな回答を私から。

「監督、コーチの余裕度が違っているように思う。勝ったチームの監督にはアソビがあって、敗れた監督はそれがなかった」。

それを聞いた内藤先生は

「車の運転をするのに、ハンドルにアソビがあるから真っ直ぐに走る。F1のように速く走る車ほど、そのアソビが大きい」。

一流選手になるほどトレーニングは高度になり、それ故に満足がいく時もあればダメだったトレーニングもあります。レベルが高くなるほど、その振れ幅が大きくなるのは想像でに難くありません。仮にトレーニングがイメージ通りに出来なくて、その度に落ち込んでいたら、掲げていた目標からドンドン遠ざかってしまうのが競技スポーツです。それだけに「今日の練習がうまくいかなくても、次がある」くらいの大きな気持ちでなければ、計画を先に進めないことができないわけです。その大きな気持ち、それこそがアソビだと思うのです。

私の経験から、アソビがある選手、指導者ほど考え方がポジティブでプラス思考のようです。この前向きな考えこそが、ハンドルのアソビに通じるのです。

先人からの教えは

「失敗は成功の元」、「七転び八起き」、「トライ(トライアル)・アンド・エラー」。

失敗に恐れる事なかれ。やらずして何も起こることはないのです。


#1 ビヨンドと厚底シューズに思うこと。(2020.1.27)

オリンピック直前になると、新技術を開発した企業から用具や器具と言ったマテリアルが創出されることがある。記憶に新しいのは、SPEED社の「レーザーレーサー」だ。レーザーレーサーは、浮力が助力となり、それまで選手がこらえてきた力を推進力に使うことでパフォーマンスが向上する。人間が培ってきた運動技術をマテリアルが変えようとしたのである。

厚底シューズは、起業の英知とアスリートの努力の結晶という見方がある。その通りである。それは、「より速く」を求める双方の努力の証(あかし)である。

この証左はすなわち、メーカーも選手も努力した先にある、未踏の世界を渇望したものではないだろうか。現在の報道では、すでにあるシューズはOKで、発表されていないシューズはNGになりそうである。

イノベーション(技術革新)は、常に起こっている。それを否定するつもりもないし、すれば愚考である。

以前のオリンピック憲章は「理想的なスポーツと言うのは道具に頼らない」としている。本来、スポーツは裸一貫が条件で勝負するのである。

スポーツにおいて大事なことは、選手は道具を使いこなすべきで、道具に振り回されてはならないことである。

さて、少年野球の世界でも、よくボールの飛ぶバットがバットがバッティングを席巻している。フィールドとする厚木では、その類いのバットが禁止になりそうである。

大事なことは、バットが選手のバッティングを決めるのではないということだ。

「このバットなら、誰でもホームラン」はあり得ないのである。

選手が自分の体力にあった道具を選び、周りを魅了するパフォーマンスを演じる。

スポーツの面白さとは、これに尽きる。道具に左右されず、道具を操るべかれ。

最後に。

ブルフォの選手、力をつけよ!

上手くなりたいと思う気持ちを常に持て!

良いプレーをするのは道具ではなく、自分自身である。