いただいた感想
2022/04/18 EL SERIES Ⅱ
総じて、攻めている作品だと感じました。
前作は、たとえばその人の部屋に入ったときに感じられる空気感のような、手作りのぬくもりがあって、それも好ましかったけど、今作は一般に流通されている音楽商品と遜色のないほどクールな完成度。音はより彫琢され、重層的になり、深みを増している。
妖しく誘いかけるようなアートワークも魅惑的。
(どの曲もとても好きですが、とくに一推しで好きな曲には★をつけました)
EL-STIGMA
脳内でボスキャラとの戦闘が始まる。それも序盤ではなく、中盤以降の強敵。毒気のある妖艶な香りが漂っている。
EL-XVQ DTY
原始的なリズムと、玲瓏な音色。土着っぽさと都会的な洗練さが調和している。
EL-UTSAVAYA
前曲の骨太なリズム感を引き継ぎつつ、展開に緩急があり、祝祭的な恍惚感に誘われる。
EL-TREFN
宇宙空間にキラキラと敵機や弾の飛び交う、シューティングゲームをしているような陶酔感がある。★
EL-BHAVAGRA
クラブでかかっていたらきっと盛り上がる、踊れる曲。扇動的な音がかっこいい。★
EL-SEIRAZEIN
全体的にじらされているようで、中近東風の綺麗な旋律に解放される心地がする。★
EL-CHANT
コシが強くインパクトがある。
EL-INQUISITIO
夜景の煌めく夜の首都高を駆け抜けていくかのような疾走感。★
EL-INITIATION
たとえるなら週末の夜の都会、洒落たバーや居酒屋のある路地裏の大人っぽさと、表通りの混沌とした華やかさ。★
EL-ORDISHENT
狂躁的な音の合間に、ピアノの旋律が安らぎをあたえてくれる。
EL-SACRIFICE
美しく宗教的な雰囲気の好きな曲。★
EL-EQUATION
エッジの鋭さと、人の声にエフェクトをかけたかのような音が印象的。
EL-ITAK
初めは軽やかだけど、だんだんと沼にはまっていくかのよう。
このアルバムのダンサブルな前半から、ダークアンビエントな後半への転調にふさわしい。
EL-ZOHAR
荘厳な重厚感に、金属質な音色が美しい。
EL-A'ANO'NIN
神秘的かつ、迫ってくる力強さを感じる。
EL-DEEPER OTHER
荘厳な聖堂に、お香の煙が漂ってきそう。★
EL-THOTH
快い落ち着きのなかに混じる電子的なノイズが妙味。
尺八風の音には新境地を感じさせる。
2022/05/23 EL SERIES Ⅰ
沙一です。
以前に通話でお伝えした内容と重複するところもありますが、感想を文章化いたしました。
全体的に好きですが、とくに気に入っている曲には★をつけてあります。
EL-NEW WEEK
イントロの、天上の旋律のような、跳ねるピアノの音に心を掴まれた。まさしくこれから新しいことがはじまる、無垢な予感がある。
そこに、たとえるなら人間社会の煩わしさのような、歪み感のある旋律が絡む。
ドロドロと地に響くような低音も入り乱れる。
天と地と、それらの間の人の営みが和合するようで、新しい一週間も、自分のやるべきことをやっていこうという気になる。
遥かな青空の向こう、山間に谺して消えていくようなアウトロに、崇高さを覚えながら。★
EL-THELEMA
静謐さのある、洗練された音。前曲の流れを汲むような跳ねるピアノと、チェロ風の低い音も印象的。晴れ渡った青空の下、物憂げな濃い陰影が落ちているかのよう。★
EL-CHELESTA
酸味のある音と、どことなく剽軽さのある旋律を、打音が引き締めている。
EL-CAMPANELLA
タイトルから銀河鉄道の夜の登場人物を連想させられる。その作中にある、夜に光るりんどうの花を思わせるような、キラキラとした美しい音。
円の周りを歩き回るような、なにかそうした儀式をまねた子供の遊びを想像させられるリズム。★
EL-GOLDEN FISH
ビーム砲を連射するような、攻撃的で勢いがあり、それまでの空気感を転じる。
EL-XANADU
秘境の奥に眠る荘厳な神殿に迷い込んだかのよう。
EL-30 YEARS AGO
揺さぶられるような低音のリズムが主役のように感じる。
EL-IRATO
控えめだけど、ラテンっぽさのあるリズムを感じる。内面から体を突き動かされるよう。高揚感のある音もかっこいい。★
EL-PNEUMA
重低音に踊らされるよう。ここまでの三つの曲の流れには、本能に訴えかけるようなリズムを感じる。
EL-KRUSCHTYA
夜に暗い川の水を眺めているときのような、深く揺蕩うものを感じる。
EL-CONSTRUCT
刻まれていく時のなかで、論理を構築していくような感覚。それでいて優雅さも感じる。カフェでコーヒーを飲みながら考え事に耽っているみたいに。★
EL-FIXANTE
和太鼓の縁を打ち鳴らすような音が印象的で、お祭りらしい高揚感がある。★
EL-QALA
硬質で透明感のある洗練された音が旋回し、酩酊を誘う。
EL-MERZLOTA
浮遊感のある近未来都会風な音と、ダイナミックに暴れる重低音が魅力。★
EL-A SENCE OF DECAY
物質が腐敗していくときの音を大きくかつ早送りしたらこんな感じに聴こえるだろうかと思わせる。
EL-MEDIUM
神秘的で美しい音と、落ち着いた曲調に、癒される。★
EL-DESPRESSION
地の底から沸々と沸き上がってくるような力を感じる。
EL-EIDOS
エッジの効いた音と大胆なビート。荒削りなロックを感じる。
EL-REFLENCE
コシの強いビートに、軽妙洒脱な音。無骨な剥き出しの大地にちらほら可憐な花が咲いているよう。
EL-MIRROR
神秘的な古代遺跡のBGMに似合いそう。★
EL-PENUR
短めながら破天荒さを感じて、曲と曲の合間のアクセントとして機能しているよう。
EL-MONOSYSTEM
目の覚めるようなカンカンカンと打ち鳴らされる音がかっこいい。
EL-WWW
疾走感のある都会的な雰囲気が、前曲からの流れと好相性。
EL-HENNAYATSU
ユニークなタイトル。変な奴ほど、愉快な友人になれそうな気がしますね、私は。そんな風変わりな愉快さが表れているよう。
EL-JACK
終盤で力を出し切るように畳みかけてきて、かっこいい。
EL-ANTARCTIC
お祭りの後に消え残った燐光のような、あるいは暗い夜に煌めく遠くの街の灯りのような、そこはかとなく寂しげな玲瓏さがある。本作の締めにふさわしい。★
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総評として、曲ごとに緩急がありバラエティ豊か、短めの曲も流れとして聴くとはまっていて、全体として綿密に構成されたアルバムだと感じました。
ときにパーカッションに依らずに、旋律によってビートを刻むような作風も独創的。
音数は少なくても、それが大胆さを感じさせ、商業路線の音楽ではあまり聴かないような雰囲気のメロディやリズムなど、優れて個性的なセンスを感じます。
2022/10/12 EL SERIES Ⅲ
沙一です。
本作を一通り聴いてから、私が初めに感受したのは「迷宮」のイメージでした。音の錯綜する暗がりを、玲瓏な旋律に導かれながら、探索していくような聴き心地。
迷路が侵入者を迷わせるものであるなら、迷宮は道を辿り還ってくるものであり、精神的なイニシエーションの側面もある。ホロスコープで黄道十二宮が牡羊座から始まり、様々な星座を経て、魚座に達したあと、牡羊座に還ってくるように。
──多彩な音の迷宮を廻り、夜明けまえの空にも似た淡い光を第六チャクラに観じる。
以下は曲ごとの印象や感想。前作に引き続いて完成度が高く、アルバムの構成に統一感もあるため、全体的に気に入っていますが、とくに惹かれる曲には★を付してあります。
今回も素晴らしい作品をありがとうございます。
EL-APRIORI
ガラス細工を思わせる繊細な旋律、反復する不穏な音色、重低音が励起し、アルバムの展開への期待が高まる。
崇厳なラストダンジョンに足を踏み入れたかのよう。
EL-PASSIVE
軽妙なリフレインに、ミドルなダンスビートが加わり一挙に盛り上がる。★
EL-VERBAL
四つ打ちを土台に、幽玄な音色が漂い、朝靄に微睡む古刹のよう。そこへ朝日の射すように覚醒を促す音が立ち上がってくる。★
EL-LINGUISTICS
神聖なほどの朝靄がだんだん晴れてきて、寺院の壮麗な建築や装飾が明瞭になり、活気も湧いてくるよう。★
EL-COGNATE
高原の朝のように美しく爽やかな空気や広がりを感じる。
EL-LUCA
アイソレーションタンク内に浮かんでいるような、恍惚とした忘我の境地。
この曲からしばらく、自然な没入感のある曲が続いていて、とくに意識していないと、聴いていることさえ忘れてしまいそうなほど。★
EL-DISCORD
区画整理された先進的なオフィス街のよう。
EL-ACCENTS
浮遊感のある音色と、小気味よく刻まれるパーカッションが耳に心地よい。
EL-DICTIONARY
古来から眠っていた記憶が、現代に媒体を得て顕れたような。
たとえば本を読む人が主体なのではなくて、人に読まれる本が主体であるような。
EL-CONLANG
脳内の土着民が焚き火を囲んで踊りだす。
EL-COUNSELING
清潔で静かな病院の待合室で、診察室に呼ばれることを延々と待っているときのよう。★
EL-SCRIPT
ミニマルな旋律と、重低音のビートに、ダイナミックなコントラストがある。
EL-ROOTS
夢の中で宙を自在に飛んでいくような、幻想的な高揚感。
EL-SAMPA
扇動的な音が突然途切れて、ハッと覚醒させられる。
この曲までの流れに没入感があり、聴覚は夢うつつを揺蕩う。
EL-TOKEN
電灯のまばらな、ひっそりと寝静まった深夜の街を歩いているよう。★
EL-X SENTENCE
アッパーな曲調と歪んだ音から、THE PRODIGYの音楽性を彷彿とさせるが、奥ゆかしい美も湛えている。
EL-METAPHOR
中近東の歴史ある都市、たとえばエルサレムの夜のような雰囲気。★
EL-DECIPHER
秋の涼しい風に金木犀の香りがまじっているみたいに、ほのかなあたたかみのある音色も聴こえて、旅のはてに故郷に近くなってきたときのような安心感と、懐かしいせつなさを覚える。★
EL-BABEL
目眩するほど高くそびえる古代の塔、その螺旋階段を昇っていくような神秘的な旋律。しかし、天から懲罰が下りたかのように、後半では調和が乱れ、混迷していく。
EL-APOSTERIORI
水晶で出来た大伽藍に、燭台の灯りが煌めいているよう。
2022/11/1 EL SERIES Ⅲ
きょこち❤久遠恭子です。
壮大な世界観でコンセプト・アルバムとして聴き応えがありました。エキゾチックな雰囲気は以前からありましたが、更に音に厚みが増して飽きさせない展開でした。色んなシュチュエーションに合う素敵なCD音源だと思いました!!