このたび、第69回日本ブドウ球菌研究会(学術集会)を、2025年9月6日に東邦大学医療センター大森病院にて開催させていただく運びとなりました。開催にあたり、日本ブドウ球菌研究会の運営委員ならびに関係各位のご支援・ご協力に、心より御礼申し上げます。
私はこれまで医師として、ブドウ球菌を感染症の原因菌として研究してまいりましたが、基礎研究に携わる多くの先生方との交流を通じて、その驚くべき多様性と奥深さを実感するようになりました。感染症にとどまらず、アトピー性皮膚炎との関連、常在菌としての健康への影響、さらには動物や環境への高い適応能力など、ブドウ球菌はヒト・動物・環境をつなぐ“One Health”の視点から捉えるべき象徴的な微生物だと感じております。近年では、ブドウ球菌に関する研究が、創薬や診断技術、感染対策といった医療分野に加え、食品・プロバイオティクスを通じた健康分野や、スキンケア・化粧品などの美容領域にも広がりを見せています。産学連携による社会実装も進んでおり、ブドウ球菌研究は、未来の医療・健康・産業をつなぐ“架け橋”として、ますます重要な役割を果たしつつあります。
日本ブドウ球菌研究会は、Staphylococcus属(ブドウ球菌)に関する最先端の研究者が集う、長い歴史と実績を有する学術的な場です。今後は、単なる研究集会にとどまらず、Staphylococcus属に関する知見を集約・発信するプラットフォームとして、基礎研究から医療・環境・社会実装に至るまで、多様な分野を結ぶ“知の拠点”へと進化していくことが期待されます。研究者、医療従事者、企業、公的機関などが垣根を越えて協働できる場として、本研究会がさらに発展していくことを、心より願っております。
第69回を迎える本年は、「ブドウ球菌研究の最前線:最新知見が切り拓く医療の未来」をテーマに掲げ、東京医科大学の中村造先生をプログラム委員長にお迎えしました。今回は臨床的側面に焦点を当て、感染症診療のみならず、アトピー性皮膚炎との関連にも注目しながら、基礎から応用、研究から社会実装へとつながる議論を、多様な専門家の皆様とともに深めていければと考えております。
本会が、分野や立場を越えた連携のきっかけとなり、新たな知見と協働を生み出す場となることを、心より期待しております。
どうぞ最後までご参加いただき、活発なご議論を賜れますと幸いです。
第69回日本ブドウ球菌研究会
世話人:山口 哲央 (東邦大学医学部 微生物・感染症学講座)