10月~11月の予定をアップしました。10月の公開実力テストの予定をアップしました。
令和7年6月10日
最近は雨の日も多くなりそろそろ梅雨入りを思わせる天候となってきました。先日は中学校の郡総体がありましたが、雨の合間の晴天のもと開催できたので皆さん実力を存分に発揮できたことでしょう。県総体への進出を決めた人は大会までの残り一月半さらなる実力アップを目指して、そして四国大会や全中を目指して頑張りましょう。もちろん勉強も忘れないようにお願いします。
さて先月予告させていただいたように今回は英語の勉強法について書いてみようと思います。
かつては小学校の卒業式で中学生向けの英語の辞書をプレゼントしていただいたことを保護者の皆様は覚えておられるでしょうか。ですがここ最近は辞書をお渡しすることがほとんどなくなったようです。おそらく中学生の多くはその辞書を使うことなく過ごしていたからではないかと想像します。
では辞書無しで英語の勉強ができるのでしょうか。その答えは、一応できないこともないということになります。一応というのは中学校の教科書の内容のみを対象とした勉強でしたら可能だということです。というのも教科書には巻末に使用する単語の意味などを記載している簡易辞書的なページがあるからです。
実はこのページこそが英語の学習の障害となっていることに気が付かない人が多いようです。おそらく教科書を作成している出版社はこれが中学生の英語学習の手助けになると考えているのでしょう。そして文部科学省も同様に考えていると思われます。この親切心が仇となり辞書の使い方を知らない中学生がそのままの状態で高校生となり、それが英語力が伸びない原因であることに気が付かないまま四苦八苦しているうちに大学受験を迎え、思うような点数を得ることができずに涙をのむ結果となった人を数多く見てきました。
ここまでの内容でおわかりかと思いますが、英語学習の第一歩は『辞書を有効活用する』ことにあります。もちろん最初から有効に活用できる人はほぼいません。中学校での学習段階で辞書の使い方を学び、それを高校以降に繋げていくことが重要なのです。そういう視点で考えると、中学生が辞書を使う機会を奪っている教科書のあの『辞書的なページ』がいかに無駄であり、不要であり、有害であるかをおわかりいただけるかと思います。もし私が中学校の英語教師でしたら教科書を配布した段階でそのページを切断し捨てることを命じるでしょう。許されるなら配布前の段階で切断・廃棄してお渡ししたいですね。
更にいうと中学生向けとして販売されている辞書にも大いに問題があります。各単語の項の冒頭に大きな活字や色を用いて主要な意味を明記してありますので、その部分のみを見て辞書を閉じることを覚えてしまいます。各単語には複数の意味があることが多く、単純に代表的な意味のみを見てもあまり効果的ではありません。そして辞書にはその単語(特に動詞)の用法として例文が記載されていますが、それを見て単語の用法を理解することが重要です。
最近は電子辞書を使う生徒も増えてきました。従来からある紙の辞書と電子辞書、どちらを使うべきでしょうか。
この2つにはそれぞれ長所短所があり、一言でどちらがいいと断言することは難しいのですが、理想は『両方持ち』です。携行性に優れる電子辞書は学校などで用い、家での学習時には紙の辞書を用いることがベストです。なぜなら電子辞書には大きな欠点があるからです。それは『ひと目で得られる情報量が少ない』ことです。紙の辞書だと一つの単語について複数ページに渡って記載されているものも少なくはありません。それを電子辞書で見ようとするとどうなるでしょう。スクロールを繰り返し、最初に戻るには逆にスクロールするか再度同じ単語を引き直すかが必要となります。このような状態ではスクロールして詳細を確認することが億劫になります。
総括してみましょう。英語の学習はまず辞書の活用を学ぶことから始まります。そしてその有効な活用法を身につけることができなければ効果的な学習は不可能です。塾には辞書を備えてあり、自由に使っていいよと言ってあるのですがそれを使う人はとても少数です。まずは辞書を使うこと、そして持っていないならそれを手に入れることから始めてみましょう。
令和7年5月10日
町内各中学校の修学旅行も終了し、大型連休も終わりました。そして今月末には中学校の郡総体が開催されます。一年で最も過ごしやすいこの時期、部活動にもそして勉強にも適した時期だと言えます。頑張ってますか?
さて今月は勉強法について触れたいともいます。
まずは数学から。塾生の皆さんにとっては耳にタコができるほど聞かされる話ですが、確認のために改めてお話しようと思います。
皆さん、そして保護者の方々は小学校・中学校・高校でテストの形式が変化していることを認識しているでしょうか?思い出していただきたいのですが、小学校では(単純な計算問題を除いて)答えを求めるための式を書く欄と答えを書く欄があったはずです。高校でも(共通テストのようなマークシート方式や小問集合問題は除いて)最終的な答えに至るまでの過程を記述するフリースペースのような解答欄になっています。答えにまで至らなくても途中まででも書いていればその分の部分点が与えられるという形式が主流です。
ところが中学校のテストはどうでしょうか?一部の証明問題を除いて最終的な答えのみを書けばよいという形式が主流です。そしてこの点が大問題となるのです。
ここで考えなければならないのは、数学とは何を学ぶ学問なのか?ということです。それは計算力を身につけることや公式を駆使して答えを導き出すものではないのです。明らかに違います。数学教育に関わる世の中のすべての人がそう答えるでしょう。では何を学ぶものなのでしょうか?それは『論理的な思考能力』を養うための学問なのです。だから高校数学では答えに至るまでの過程、そしてその過程を論理的に説明する能力に対して点数を与えるのです。
それでは中学校のテストでの大問題とは一体何なのでしょうか?それは中学校での3年間に最終的な答えのみを書けば良いという形式に慣れ、それが当たり前となってしまっていると、高校でも同じように答えてしまい、答案にならないのです。具体的に言うと、最後の答えのみを書いていると、それが合っていたとしても1点ももらえません。答案が式の羅列のみだとどうでしょうか?説明不足として大幅に減点されるか、意味不明・答案になってないとして採点対象にならない可能性もあります。
そういうことを考えると、数学についてはどのような勉強をするべきでしょうか?まず中学生は最低でも答えに至る途中経過をしっかりと書くことを重視すべきです。最後の答えさえあっていればいいという形式に慣れてしまわないことが重要です。高校生についてはとにかく答案で答えに至る過程を説明をすることです。それも「採点する人は数学の専門家なのだから少々説明不足でもわかってくれるだろう」という『甘え』を捨て去ることです。具体的には数学が苦手な人に説明するにはどう書けばわかってもらえるだろうか?と考えながら答案を書くことです。前にも触れましたが、この点については『受験の月』というサイトに出題者・採点者の立場で触れていますのでぜひ一読してください。
これらの点に気をつけて、ただ解けるだけではなく『点になる答案』を意識して勉強しましょう。長くなりましたので英語については次回触れたいと思います。
令和7年4月9日
桜の花も満開から散り始め、令和7年度の新学期を迎える時期となりました。毎年この時期に塾だよりで同じ話をするのですが、飽きもせず今年も話させていただこうと思います。
新学期が始まると大多数の児童生徒が心に決めることがあります。それは今年こそは計画的に勉強しようということです。もちろんそんな事を考えもしない人もいますが…とりあえずそういう人については触れずに話を進めます。その計画ですが、具体的な計画を立てていませんか?例えば『一日◯時間勉強しよう』とか『この参考書を〇〇までに終わらそう』等といったものです。そして『成績(順位)を〇〇まで上げよう』というような目標を立てていませんか。
さてここでお父様、お母様に質問です。そのような計画を立てた経験はありますか?そしてその計画(または目標)は実現できましたか?何も言わなくていいです、失礼ですがほぼ実現できていないのではと想像します。いや、もちろん私もほぼ実現不可能な計画・目標を立てていましたから。
ではなぜ実現できないのでしょうか?それは単純な話で最初から無理な目標を立てているからに過ぎません。理想や目標は高く掲げることに意味があるとも言えますが、立てたはいいけど実現できないことが続くと『ああ、自分には計画的に行動することなんか無理なんだ。そんな才能がないんだ…』と自分の能力を疑いかねません。
以下若干の自慢話が含まれますがご容赦ください。
中学ではあまり自宅で勉強することがない状態でしたが、要領よくこなすことでそれなりに自慢できる成績だった私は高校でもそのままで通用するとうぬぼれていました。当初はなんとかボロを出さずに済んだのですが、高2の時だったか、それまでの不勉強のつけが溜まって一気に成績が落ちることになりました。ガタ落ちなどというものではありません、校内順位が100位ほど下落したのです(当時の同級生は260人程度でした)。呑気な私も流石に焦ります。やらなきゃ、勉強しなきゃと気持ちばかりが焦り、計画を立てはするものの焦りから実現できない日々が続きました。
そしてある日、開き直って計画を立てることを止めたのです。そしてたった一つだけ自分に義務を課しました。それは『一日の勉強時間は決めない。毎日午後8時には勉強を始める。それは土日祝日でも同様だ』というものです。これは私にはとても効果的なものでした。なにせ毎日同じ時刻に始めるだけでいいのです。気分がスーッと楽になり実現可能なものとなりました。
一つ実現できると次の段階に進めます。次に考えたのは勉強の合間の気分転換に何をすべきか?ということでした。ベッドに横になることもやってみましたが、そのまま眠ってしまうことがあり失敗しました。当時好きだった推理小説を読むのは読み始めると止まらず時間を消費してダメでした。そして行き着いたのは『歯磨きをする』ことでした。飽きると歯磨き、眠くなると歯磨きとやっていると一晩に数回歯磨きをする日もありました。今も虫歯無し、入れ歯無しで生活できているのはそのおかげかも…いや、多分違いますね。
教科別の学習法についても触れておきたいのですが、今回はこの辺で次回以降といたします。
令和6年11月27日
今年も暖かい日が続くと感じていましたが、数日前から急に朝晩冷え込むようになり、やはり冬が近づいていることを実感するようになりました。これから冷え込む日が続くと思いますが中3生や高3生にとってはまさに受験シーズンです。体調管理に気をつけて万全の体調で悔いのないように入試に臨んでください。
11月は数多くの大学が推薦入試を実施しています。私の時代では考えられないことですが、最近では(特にM高校では)推薦入試がまるで受験本番のような様相を呈してきています。受験シーズンが早まり合否決定も早まって、新生活の準備を早く始められるなど他の一般受験生に比べてメリットが有りますね。他方、入学後の学校推薦型・総合型選抜での合格者の学力不足が問題になっているという現実もあります。確かに学力テストを経ずに入学できるのですから学力が伴わないのも頷けます。実際、うちの娘に聞いたところ推薦合格者の学力不足のため高校の内容からやり直す必要があるようです。多様な学生の確保という趣旨も解りますし、確実に学生を確保するための大学側の思惑も解りますが、大学は「学問の府」である以上学力を伴わない学生の入学については一考を要するのではないでしょうか。かつて「一芸入試」でけん玉日本一の学生や芸能界で活躍したアイドルを「国内大会での優勝者」として合格とし、「(通称)バーベキュー入試」で受験生参加のバーベキューにおいてリーダーシップを取ることができた学生を合格とするなど私にはとても大学入試のあるべき姿とは思えないのですが。また以前に前塾長が「学力テストのみでの合否判定だからこそ不合格者にも救いがある。あくまでも学力不足を指摘されただけだから。人間性を総合的に判断しての合否判定となると不合格者は受験生の中で人間的に劣ると判定されたわけだからここから立ち直るのは大変なことだ。」と言ったことがありますが、このことも頭の隅から離れません。就職予備校と化している現在の大学では学力以外の部分も必要なのでしょうが、そもそも資格取得系の大学が大学であるべき理由が理解できないのですけど。
さて、(個人的には)物議を醸している推薦入試ですが、入試制度として存在している以上その対策を考えなければなりません。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ですから。推薦入試における選抜制度の主流は面接やプレゼンテーションと小論文です。この対策は「新聞を読む」につきます。それもできるだけ長期間継続的に読むことです。推薦入試を受けることになってから読み始めるようでは遅すぎます。せめて高校入学時には新聞を読む習慣を身につけましょう。「新聞は苦手だからテレビでニュースを見ることで代用できないか」と思うかもしれませんが、それはあまりお勧めできません。情報量が極端に少ない上にキャスター等の個人的主張が強すぎ偏っています。新聞に対するテレビの優位性は速報性と動画による視覚効果くらいです。ネットニュースで十分では、と考えられるかもしれませんが、その場合は自分が興味のあるニュースのみを選択することが多く、多種多様な意見や情報を得ることには適していません。
今年もあと1ヶ月強、共通テストまでは2ヶ月弱。私も塾生の皆さんも緊張する時期ですが(先日胃薬を用意しました)、最後まで頑張りましょう。
令和6年7月10日
1学期の期末考査も終わり、夏休みまで残りわずかとなりました。小学生にとっては待ちに待った夏休み、中学生(1,2年生)にとっては部活動三昧の夏休み、中学3年生には受験に向けての総復習の夏休み、高校生(1,2年生)にとっては課外・補習で潰れる夏休み、高校3年生には…今後の人生を左右する夏休みといったところでしょうか。
『受験生』という言葉があります。世間一般では中学3年生や高校3年生を指す言葉ですが、本当にそうでしょうか?これをそのまま捉えると『受験勉強は3年生になってから始めるもの』となりますが、もちろん、当然、当たり前にそれでは遅すぎます。
私が入試に挑んだ数十年前は中高一貫校は県内に愛光くらいだったのですが、今では済美平成、新田青雲などが開校しております。これらの学校では高2までに高校履修内容を終わらせ、高3の1年を受験の準備に当てることができます(宇和島南などの県立中高一貫校ではそのようなシステムは取りづらいようですね、公立校の限界でしょう…)。当塾の塾生の多くが通う南宇和や宇和島東では高3になってもまだ通常の授業をやることになりますから、受験勉強と言われるものを並行して行うことは非常に困難です、というより無理と言わざるを得ません(このあたりの時代の変化に気づいていない保護者世代が多いように思います。その世代の宇和島東・南宇和は今と違ってそれなりの進学実績を残していましたから)。
それではどうやって受験に臨めばいいのでしょうか?答えはただ一つ、『日々の学習をそのまま受験に直結させる』しかありません。あとになって見返す、やり直す時間的余裕がないならば、その日そのときに学習内容を定着させるしかありません。
ここからは数学に限定しての話になります。
数学において高校生が最も苦労することは(ほとんどの高校生がその事に気がついていないのですが)『答案を作る』ことができないことです。ただの数式の羅列、ひどい場合はメモのようなもののみを残し最終的な答えのみを記述して終わらせる…。数学の解答欄は計算用紙ではないことを知らないのでしょうか。答案の重要性に気がついていないから、私が課す宿題の訂正も答案の書き方へのチェックが全くできていない状況です。
『受験の月(https://examist.jp/)』というサイトに『大学入試数学の採点基準(https://examist.jp/mathematics/general/scoring-system/)』というコーナーがあります。ここには大学入試の採点について大学の担当者による注意点が挙げられています。以下、主なものを抜き出してみます。
・最終的な答えとは関係のない部分での計算ミスなども含めて、答案に書いてあるものはすべて目を通し、間違いがあれば減点する。
・字が薄かったり小さい答案は、細心の注意を払って採点しても見落とす可能性がある。読めないものは、書いてないものと判断する。
・論理を重視し、時間をかけて厳密に採点する。紙に書いてあるものだけで判断する。
・最後の答えがあっているだけで完答できたと考えている受験生が多いが、たいてい満点ではない。
・予備校の模試の採点は、本番に比べると極めていい加減である。実際は、論理力・表現力を重視して採点しているので、単純にここまでで何点というものではない。
・易しい問題では論理の不備や説明不足があると0点になる。
・説明や途中計算が不足している解答は答えが合っていても減点する。
・問題にはなるべく図を入れず、受験生が問題から読み取り表現する能力を試したい。
・総合型選抜や学校推薦型選抜で合格した受験生は基礎学力が低く入学後苦労する。理系なら数Ⅲくらいは理解しておくこと。
・入試は大学での学習に十分な力があるかを判定する場であるから、答案が指導要綱に適合しているかはどうでもよい。
・もう一度大学に入り直す人もいるのだから数学的に正しいならば高校範囲外の知識を用いてもよい。実際には答案の流れを見て判断する。とにかく、内容が読み手に伝わり、使い方が正しいことが大切である。
・採点者は数学のプロなのでごまかしてもすぐにバレる。
・採点者は「何とか点をあげよう」という優しい人達である。しかし、それができる答案が・・・
・答案は丁寧に書いて欲しい。6とbや9とqが区別できないのは困るし、本人も間違えている。
他にも受験に際して有益な事項を掲載してありますので、是非目を通してほしいと思います。個人的には推薦入試について触れている部分について完全同意いたしますね。推薦入試なんてなくなればいいのに…。
さて皆さん、夏休みをどのように過ごしますか?お手伝いできることがあればできる範囲で協力しますので遠慮なくお申し出ください。
令和6年5月12日
GW(ゴールデンウイーク、大型連休)も終わりましたが、皆さん楽しく充実した休日を過ごされましたか?私は『寝正月』ならぬ『寝GW』で終わりました。本当はこんなことではいけないのですが、やはり人間の本性は『怠け者』なのだと言い訳がましいことを考えております。
さて、今回は新高校1年生向けに大学入試の制度・システムについて触れたいと思います。
大学入試の制度は大きく分類して「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」の三つがあります。
「一般選抜」はその名の通り従来からある学力試験による選抜方法で、大学入試といえばこれだというくらい最も馴染み深いものです。
「学校推薦型選抜」は高校長が在学中の成績をもとに推薦することにより受験でき、文部科学省の方針によりある程度の学力試験を課すことが多く、国公立大学では大学入学共通テストを受験しその成績を求められる場合もあります。
最も分かりにくいのが「総合型選抜」で、大学で学ぶ意欲が重視され、各大学のアドミッションポリシーに合致した受験生が面接やプレゼンテーションでの自己アピールによって合否が決定します。
ただ、私立大学では学校推薦型選抜は「指定校推薦(高校で推薦されればほぼ100%合格が決まる)」と「公募推薦(在学中の成績などの基準を満たせば誰でも受験可能)」の2つに分かれ、学生の確保が困難な学校ほど指定校推薦を多く取り入れている傾向にあります(基本的に国公立大学に指定校推薦の制度はないと考えてください)。それ以外の特殊な例として「スポーツ推薦」的な制度を持つ私立大学もあります。
ではその対策はどうすればいいのでしょうか。
一言で言えば「学校推薦型選抜」対策は校内の定期テストで高得点を上げることであり、「一般選抜」対策は日々の不断の努力を積み重ねることです。
定期テストは試験範囲も狭く、私が最も忌み嫌う(ここはかなり強調しておきたい!)「一夜漬け」や「一週間漬け」の勉強でもそれなりに点数を取ることができます。80点程度取れば基本的に評定5をもらうことができるので睡眠不足と戦いながら勉強する価値はあるでしょう。それに対して「一般選抜」は高3までの学習内容が試験範囲となるのですから、「一週間漬け」どころか「一か月漬け」や「二か月漬け」、いや「半年漬け」でも対策は難しいでしょう。ましてや私立中高一貫校で6年かけてじっくり受験対策をするという世の中の流れから取り残された田舎の高校生は高校入学時から目標を持って継続した学習が必要とされます。
ここまでの話だと、「一般選抜は対策が難しそうだから学校推薦型選抜を狙って大学進学したほうがいいのではないかな…」と考える人が多いのではないかと思いますが、本当にそれでいいのでしょうか?
最近は一般選抜以外の入試制度の合格定員も増加傾向にありますが、まだまだ少数派といえます。もし学校推薦型選抜で不合格になった場合、一般選抜での合格を目指すことになるのですが、ほとんどの受験生は学力不足により失敗することが多いです。なぜでしょうか?それは一般選抜に向けた対策を全く取っていないからです。日々継続した学習をせず、定期テストのときだけ徹夜してその場しのぎの学習をする…そんな方法で学力がつくと考えている方がいるとしたらその頭の中を覗いてみたいものです。
ですから学校推薦型選抜による合格を目指すのは、極端に言えば購入した宝くじが当たることを期待して家を買う契約をするようなものだと言えます。目指すは一般選抜での合格であり、学校推薦型選抜は利用できるならラッキー、合格すればもっとラッキーという考え方で対策を進めるべきです。
では具体的にはどのような対策をとるべきか、となりますが、これには皆さんが受けている模擬試験を活かす事が重要です。それも試験前に過去問で対策を立てるのはあまり意味がなく、試験後に見つかった自分の弱点を補強していくことが重要です。入試で求められるのは(特に国公立大学では)総合的な学力であり、得意分野・教科での成績ではないのですから。まあ、過去問による事前の対策も合格判定を上げて自信を得るという点においてのみは意味があるかもしれませんが…。
そう考えていけば、志望大学合格を目指すのであれば短い高校生活において何に重点を置いて過ごすべきかが見えてくると思います。時間は限られているのですからあれもこれもやりたいことをすべて、というのは無理ですよ。
令和6年3月12日
この原稿を書いている時点で県立高校の入試が終わり、大学入試も国公立大学2次試験前期の合格発表の時期であり、残すは2次試験後期のみとなりました。大半の受験生は一息ついていることでしょう。まあこの地域の高校入試は受験できれば合格する、『高校全入』状態ですから何も心配していないことと思います。私も全く心配しておりません。
さて、意味ありげなタイトルで始まった今月の塾だよりですが、これが何を意味しているかおわかりの方はいらっしゃいますか。もしかしたら高校在学中の生徒だと「ああもしかして…」と気づくかもしれません。
少子高齢化が問題となって久しいのですが、田舎では全国平均よりはるかに速いスピードで少子化が進んでいます。もちろん当地も例外ではありません。小中学校の統廃合、高校の定員減少、それを超える志願者・入学者の減少…。
その影響を受けているものの一つに部活動があります。部活動の数も減少していますし、各部の部員数も以前より少数です。運動部だと試合に必要な人数は決まってますから、その人数確保に躍起になります。
そうなると必然的に部活動を辞める、あるいは転部することが困難になります。あの手この手で引き止めにかかります。当然といえば当然ですよね。
部活動の問題については以前からここで触れてきましたが、旧態依然の軍隊的指導が残っている部があったり、それが当たり前と思っている人が指導者であったりなどがありますが、私の立場で言うなら中でも問題になるのは、勉強に必要な時間と体力を奪っていることだと思っています。この点については何度も詳しく触れてきましたので今回は省略しますが、タイトルに話を戻すと、部活動は辞めにくいものだと理解してほしいのです。安易な気持ちで部活動を選んで後に後悔する人をこの目で数多く見てきました。辞めたいと顧問に告げると酷いことを言われた例もありました。「あいつは人としてだめだ、人間じゃない」とまで言った教師もいました。体力的にきつい、勉強時間を確保したいと言っただけなのに…。
「今その辛さから逃げてどうする、これに耐えて人は成長するんだ」
定番の引き止め文句の一つです。でも、上記の場合は逃げているのではなく時間・体力の制約のもとで選択をしただけの話です。
「〇〇君は部活動も勉強も頑張ったぞ。君にだってできる」
お願いですからそれができなかった人の割合を教えてください。〇〇君の人一倍の努力を誰にでもできるというのは〇〇君に対してとても失礼な話だと理解できないのでしょうか。人並み外れた努力と才能による大谷翔平くんの二刀流を誰にでもできるとそう簡単に言えないでしょう。
まとめるとしましょう。当地の中学では部活動の選択肢はそう多くはないので仕方ない面がありますが、高校ではそれより多くの選択肢があります。高校で何をしたいのか、卒業後に何をするのか、そのために今しなければいけないことは何なのかを慎重に考えてください。
参考までに学習指導要領(解説)の一節を引用します。
『特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については…』
これが何を意味するのかお考えください。
令和6年2月13日
『受験生』という言葉を聞いて皆さんはどの学年が思い浮かぶでしょうか?一般的には高校受験の場合は中学3年生、大学受験の場合は高校3年生を指す言葉と思う方がほとんどでしょう。実際「あ~、私も4月からは受験生か…」と言うのをよく聞きますし、メディアなどでもそのような表現を見る機会が多いです。
でも本当にそうなのでしょうか。
大学受験について考えてみましょう。前回の塾だよりでも触れたように、大学入試には『総合型選抜』『学校推薦型選抜』『一般選抜』の3種類があります。簡単にこの違いについて触れると、総合型選抜は受験生がやる気・意欲を自己アピールし大学側が入学の可否を判断するもの、学校推薦型選抜は高校での成績を元に学校長の推薦を得て面接や小論文、少数教科のテストを受けて判断の材料とするもの、一般選抜は国公立ではほぼ全教科、私立では1~3教科のテストが判断材料となるものです。
どのような準備が必要になるのか、一つずつ考えてみましょう。
総合型選抜ではまず初めに大学学部が求める学生像(アドミッション・ポリシー)を理解することから始まります。これが自分の特性と合致していないと合格は難しくなります。さらに最近は高校での成績(評定平均あるいは平均評定と呼ばれるもの)に基準(下限)を定める大学も増えています。そのため、定期考査での成績を上げなければならず、『平均』という言葉が含まれているように高1からの平均となりますから、高2あるいは高3で頑張っても高1での失敗をカバーするには限界があります。また、英検などの資格が出願基準となっている場合も多く、資格取得等に時間を割くことになります。自己アピールの準備にも相当の時間が必要ですし、アピールできる自分を作り上げていかなければなりません。
学校推薦型選抜も同様で、出願に必要な評定平均に基準がある以上、その基準を満たすだけの成績が必要となり、上記と同様平均ですから高1時点での成績も重要なものとなります。
一般選抜では上記の2つほどは評定平均は重視されません。出願に評定平均の基準はありませんし学校の成績より入試の点数による評価です。時折「入試の出題範囲に高1の学習内容は含まれますか?」というピントの外れた質問を受けることがありますが、当たり前のことですが小学校から学習してきたすべてが出題範囲です。
さて、これらの評価基準から見て、高3の1年間の準備で合格が可能でしょうか。
総合型選抜・学校推薦型選抜は長期的な準備が必要なのは自明の理であり、一般選抜では出題範囲が広いことにより1年間という短い準備期間では対応できにくいのです。
タイトルの『受験生とは…』に戻りますが、大学(あるいは高校)への進学を希望した時点でその生徒は受験生なのです。その時点で受験勉強を始めるという意味ではなく、早期に情報収集し、今何をするべきか、何が必要なのか、今の自分に何が足りていないのかを整理・分析し、準備をする必要があります。入試までの残された期間に何ができるのか、時間は足りるのか、このままの状態で時間が足りないとなるとどこで時間を作るのか、何を削るのかを冷静に判断しなければなりません。
おそらく当塾の塾生の皆さんは大学進学希望だと思います。そう、あなたたちは皆、学年に関係なく『受験生』なのです。私は小学生や中学生にも大学入試の話をすることがありますが、それはあなたたち受験生に早めに実情を知ってもらい考えてほしいからです。
あなたは今何をするべきだと思いますか。真剣に考えてください。
令和6年1月5日
皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
さて、挨拶もそこそこにして、本題に入りたいと思います。今年、そして今後高校受験を控えている生徒および保護者の方にとっては、今回の内容は非常に重要なものとなっております。
以前と比べて大学の合格者選抜方法は多種多様なものとなっており、その中でも一般に『推薦入試』といわれる『総合型選抜・学校推薦型選抜』の割合が増加傾向にあります(といっても、国立大学の場合はほぼ現状維持の微々増程度ですが)。実際にどの程度の割合になっているかというと、2024年度入試(現高校3年生)では国立大学の定員の20%、公立大学では31.5%となっています。一方私立大学では、こちらは2022年度入試のデータですが、60%弱となっています。国公立大学と比較すると、私立大学の割合が高いことが分かると思いますが、ではなぜ国立よりも公立、公立よりも私立の割合が高いのでしょうか?
おそらく皆さんお分かりかと思いますが、その理由は『国(文部科学省)の無策で増加した大学入学定員』と『少子化』です。さらに学費の安い国公立大学に進学を希望する学生や親が多く、これらの事情により入学定員の確保が難しくなった私立大学の多くができるだけ早期に学生数を確保するために『年内入試』とも呼ばれる推薦入試にウエートを置くようになりました。そうしなければ入学者数を確保することが困難になっているからです。最近新設された多くの公立大学も知名度・人気では国立大学には敵いませんから同じような状況といえます。ちなみに私立大学の50%以上は定員割れの状態となってますから、学校の経営を考えるとこうするしかない状況なのです。
また、学生の側からしても、早期に入学が確定する年内入試は魅力的なものとも言えます。進学先の決定が早ければ早いほど、春からの新生活の準備に時間をかけることができるからです。まあ、受験生の立場から早めに脱却することができ、嫌な勉強をしなくて良くなるという面のほうが強いかとも思いますが。
ここで何点か、多くの皆さんの誤解を解かないといけません。そのうちの一つは『推薦入試のほうが一般入試より合格しやすい』というものです。上記のように推薦入試の割合が高くなり、受験生側もその制度での合格を望んでいるとどうなるでしょうか。当然推薦入試の受験者が増えて高倍率となります。そして不幸にして合格を得られない人が増えてきます。常識的に考えてみましょう。倍率・競争率が2倍でも合格者は2人に1人です。これが3倍、4倍…となるとどうでしょうか。合格者のほうが少なく、不合格が『当たり前』となります。実際倍率が2倍以下に収まる推薦入試は少数で、低くとも3倍程度にはなると思ってください(参考までに昨年の愛媛大学の一般入試の倍率は全学部の平均で1.9倍です)。
さらに一点、『推薦で合格する人は成績がいい』という誤解があります。これはある意味正解なのですが、ここでは『成績』と『学力』は『似て非なるもの』だということを理解する必要があります。ここでいう成績とは『学校の成績表』に現れる成績です(推薦入試ではこれが低いと受験すらできない場合が多いので重要になります)。では学力とは何かというと、簡単に言うと模擬試験での偏差値がこれに該当するかと思います。もちろん学力が高いと成績も高くなるのですが、成績が高くとも学力が高いとは言い切れない現状があります。これは不思議に思う人が多いかもしれませんが、成績の元になるのは基本的には学校の定期テストの点数です。ご存知のように定期テストの範囲は狭く、テスト前の短い期間での対策でそれなりの成果を出すことが可能です(個人的には私はそれを『一夜漬け』ならぬ『一週間漬け』と呼んでいます)。対して学力を上げるためには、例えば模試や一般入試などはこれまでに学んだことすべてが試験範囲となるため一週間やそこらの対策ではかなり困難です、というより不可能と言えるでしょう。長期に渡る日々の継続した学習が必要なのです。受験産業に携わる人の中にも『一般入試は短期集中型の人に向いていて、推薦入試は日々継続した学習をする人に向いている』という誤った認識を持つ人がいますが、試験範囲が狭く一週間漬けによる点数アップが見込めるものと、これまでの人生で学んだ全てが試験範囲となるもののどちらが短期集中型の人に向いているのか、自明の理といえましょう。
「それだと短期集中で対応できる推薦入試のほうが楽に進学できるのではないか?」と考えるかもしれません。そう、これはある意味真実を示している言葉です。それは『推薦で合格した人にとってはそう言えるが、推薦で不合格となった人には一層の困難が待っている』からです。先程も申し上げましたが、推薦入試で必要な成績と一般入試で必要な学力は似て非なるものだからです。成績と学力、上げるためにより一層の努力・時間を必要とするのはどちらでしょうか。当たり前に学力です。推薦入試で不合格となった人には学力アップのための時間は残されていません。推薦入試の倍率が2倍を超えることが当たり前となった今、そこに集中して進めることは非常に危険を伴うのです。
「推薦さえされればほぼ合格が確約されている指定校推薦制度があるじゃないか」という声もあるでしょう。それについても触れておかないと不公平になりますね。指定校推薦というのは大学側が高校を指名して『そちらの高校から○名合格させますので校内で推薦してください』というもので、これは私立大学にのみ存在している制度です。国公立大学にはありません。さらに言えば、この対象大学は年々変化します。例えば地元の高校にはかつて早稲田や青山学院、芝浦工業大学などの指定校推薦がありましたが今は消え去っております。どこでもいい、大学でありさえすれば…というのなら構いませんが、自分が希望する大学・学部が指定校となっているかは運頼みなのです。
私立大学には『内部進学・内部推薦』という制度もあります。系列校や付属校から進学する制度ですがこれも上記の推薦入試に含まれていますから、この人数を差し引くと一般の推薦入試での合格者の割合は下がってきます。今年は有名な子役だった方が数名この制度で某有名大学に進学したので注目を浴びています。悲しいかな、ここ愛媛ではこの制度が利用できるのは〇〇高校の数名のみです。
上記の内容についてご存じの方も多いかとは思いますが、あえて触れてみました。それは『人は真実を伝えるが、多くの場合真実の中の自分に都合の良いもののみを伝える』ものだからです。具体的な例を上げてみましょう。『〇〇君は部活と勉強を両立して希望大学に合格したよ』という言葉を運動部の顧問などからよく聞きます。これは真実なのでしょう。この〇〇君はとても立派だと思います。ですが、両立できなかった人の話や、両立できなかった人がどの程度の割合でいるのかを語ることはありません。顧問にとっては不都合な真実だからです。
『勉強するにも体力が必要だから運動部で体力をつけよう』という言葉もあります。勉強するのだって体力が必要なのは真実です。では、体力が必要な勉強をしていればその体力は身につくということを語る人はいません。また、勉強するのに必要な体力を部活が奪っていることについても触れられることはありません。
『部活で体力をつけていればその体力で最後の追い込みができ、追いつくことができる』とも聞きます。追いつくかどうかまでは疑問ですが、追い込みで学力がアップすることは真実です。これは体力のあるなしには関係ありません。勉強するのですから当たり前です。ですが『うさぎとかめ』のお話のように先行者がサボってくれるのを期待するのでしょうか。先行者が同じ努力を続けた場合も後続は追いつけるのでしょうか。
このようなことが中学校での進路指導でも行われることがあります。A高校のメリットとB高校のデメリットを挙げてA高校を勧める…これは生徒にとって不幸と言わざるを得ません。両高校のメリット・デメリットをともに挙げて比較検討の材料とすることが必要です。最終決定権は生徒自身およびその保護者にあるのですから、その判断材料を客観的に与えなければなりません。人は自分に都合のいい真実のみを伝える、嘘は言わないが都合の悪いものは隠す傾向にあるということを忘れてはなりません。
最後になりましたが、今年も一年よろしくお願いします。