狩山 俊悟 (倉敷市立自然史博物館友の会)
1 岡山県の植物相
『岡山県野生生物目録2019』にはシダ植物247種、種子植物2,589種(いずれも亜種、変種を含む)が記録されている。これらの中から岡山県にゆかりのある植物をいくつか紹介する。また、倉敷市立自然史博物館に収蔵されている標本をもとに、岡山県に知られる植物の分布図を描いてみた結果をいくつかの分布類型に分けて示す。
・岡山県を基準産地とする植物
岡山県の地名が植物名についている:アテツ(阿哲)、キビ(吉備)、ジョウボウ(上房)、セトウチ(瀬戸内) 、タカハシ(高梁) 、ノハラ(野原) 、ビゼン(備前)、ビッチュウ(備中)、ヒルゼン(蒜山)、ワケ(和気)
人名がついている:シラガ(白神壽吉)、ヨシノ(吉野善介)
・岡山県の植物分布
岡山県南部のみに分布:ウバメガシ、トベラ、ヒメユズリハ、クロガネモチ、クスドイゲ
岡山県中部のみに分布:ツクバネガシ、アオガシ、イヌガシ、ヤブサンザシ、ネコノチチ
岡山県北部のみに分布:クマシデ、ハウチワカエデ、コミネカエデ、ヒメモチ、ホツツジ
岡山県北東部のみに分布:ウラジロウツギ、サラサドウダン、コハクウンボク、シオジ
岡山県西部のみに分布:ヤブウツギ、エヒメアヤメ、アオイカズラ、オオムギスゲ
吉備高原の東西に分かれて分布:コウヤミズキ、ヨコグラノキ、ウスバヒョウタンボク
主に石灰岩地に分布:ケキンモウワラビ、チョウジザクラ、シロヤマブキ、チョウジガマズミ
2 岡山県版レッドデータブックの改定
今年度は『岡山県版レッドデータブック2020』が発行されて5年を迎えることから、見直し作業が行われている。作業を通じてカテゴリーが変更になる植物(たとえば「絶滅」とされていたツチグリの再発見)や新規に追加される植物(イズモサイシン、タイシャクカラマツ、サツマイナモリ、エゾリンドウなど)の候補種がリストアップされつつある。分類群の扱いや関連する都道府県の様子などについてご指導をお願いしたい。