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當作教授の初めての訪韓は2011年春のJ-GAP統括リーダーとしてのものであった。J-GAPとは、日本語教育グローバルネットワーク(GN)の長期プロジェクトとして2011年から開始された日本語教育グローバルアーティキュレーションプロジェクトの略称である。
GNには、韓国では、最も歴史の長い韓国日本学会が韓国代表学会として加盟しており、筆者は2008年からソウルで行われたJFスタンダード開発のための試行研究に携わっていたこともあり、韓国日本学会の理事会で選出され、J-GAPに韓国日本学会代表として参加した。後に、組織の改編後は、J-GAP韓国委員会副委員長として、プロジェクトに携わった。
その後、J-GAPのプロジェクト期間中、 當作教授はほぼ毎年訪韓したが、前半の2011-13年にかけての、J-GAP韓国に対する諮問・指導の中で、筆者は同時期に構築されていったSNAの洗礼を受け、SNAを21世紀の言語教育に必要な理念だと認識し、実践し、伝播する必要性を感じた。
2013年4月の韓国日語教育学会(KAJE)は、J-GAP韓国の協力を得て、国際学術大会基調講演とワークショップの講師として當作教授を招請し、そこで「外国語学習のめやす(以下めやす)」が配布され、SNAの一部が紹介された。2014年8月の韓国日本研究団体第3回国際学術大会(韓国日本学会(KAJA)第89回大会)では、當作教授が基調講演を行った。
2016年のICJLEバリ大会にてJ-GAPの総括発表が行われ、GN長期プロジェクトとしてのJ-GAP韓国は一段落ついた。その後も筆者はSNAを伝播する意識を持ち続け、2017年8月の韓国日本学会では“「外国語学習のめやす」と韓国日本語教育課程”という企画セッションを組んだ。
2018年2月に(財)国際文化フォーラムの主催により、東京とソウルを結んでの日韓交流学習の企画イベントが行われ、筆者はソウル会場でなく、東京会場の方に参加した。
同年5月、東京にて「SNA研究会」が創立され、創立集会兼第1回研究会に筆者も参加し、後に韓国で研究会を創立する時に連携する構想が打ち出された。
更に同年12月、韓国日語教育学会の企画発表で筆者は日韓交流学習について発表した。2019年に筆者が韓国日語教育学会の会長に就任して以降の2年間、継続して「つながりの日本語教育」を標榜し、一貫したテーマの学術大会を行ったが、その第1弾である「世界とつながる日本語教育」のテーマを掲げた春季大会では、當作教授を基調講演者・ワークショップの講師として招請し、そこで「めやすマスター」の方々と交渉し、「外国語学習のめやすをとりいれた授業を行おう」という企画発表も行った。
2021年4月24日にSNA交流学習実践研究会(SNA-COIL)を創立し、韓国日語教育学会第39回国際学術大会で「SNA交流学習実践研究会創立企画セッション」を行い、韓国日語教育学会ともMOUを締結し、筆者が創設者である「韓国日本語教育ネットワーク(NET-JEK)」にも加盟した。
当初は2019年4月に創立する準備を進めていたが、筆者が韓国日語教育学会の会長に就任し、當作教授の初訪韓からの10周年を記念する意義も含め、2021年4月に創立したのである。
2025年8月30日「第17回研究会」にて「SNA交流学習実践研究会」から「SNA交流学習実践研究学会」へと名称を変更した。
(検校裕朗(2023)「ソーシャルネットワーキングアプローチ(SNA)による研究会の創立と実践研究」『日本語教育研究』第62輯, 韓国日語教育学会, pp.45-60より、一部修正)
SNA交流学習実践研究会(SNA-SOIL)創立時の記念写真
(2021年4月24日)
「SNA交流学習実践研究学会」は、 新しい時代の言語教育のアプローチである「ソーシャルネットワーキングアプローチ(Social Networking Approach: SNA)」を理論的背景とし、SNAの理論研究とそれに基づいた実践研究を志向し、特にSNA実践の1つの類型である交流学習に基づいた日本語教育の実践と研究を二本の柱として2021年4月24日(土)に韓国で創立されました。
研究会活動として、学会での企画セッションや独自の研究集会を、現在のところ半年に2-3回程度のペースでオンラインで開催しています。
「SNA交流学習実践研究学会」は、SNA理論の提唱者である米カリフォルニア大学サンディエゴ校の當作靖彦教授を顧問に迎え、韓国の日本語教育からスタートしましたが、日本語教育だけに留まらず、英語教育や韓国語教育等、隣接他分野との融合・連携なども視野に入れています。更に、韓国と日本の交流を主軸に考えて出発していますが、それだけに留まらないひろがりの可能性も内包しています。
更に、日本(東京)で創立され、主にアメリカと日本を舞台に活動している「SNA研究会」とも、交流会や合同会も視野に入れて交流しています。
顧問:當作靖彦
カリフォルニア大学
サンディエゴ校名誉教授
会長:検校裕朗
極東大学教授
副会長:諏訪昭宏
釜山外国語大学教授
理事 五十音順
石黒みのり(東京都立青梅総合高等学校) 、小川靖子、佐藤揚子(明知大学)、朴智淑(トロント大学)、畑中愛(慶熙大学)、藤田智彦(元国際交流基金ソウル日本文化センター日本語専門家)、三國喜保子(釜山外国語大学)、峯崎知子(弘益大学)、李敬淑(アジュ大学)
国際協力委員
阪上彩子(立命館大)、東本裕子(横浜商大)
SNA交流学習実践の輪を広げていきましょう