重力レンズ効果を用いた銀河磁場観測のシミュレーション  

講演者:大前 陸人

遠方銀河の磁場観測として重力レンズ効果の応用が考えられている(Maoら2017)。Maoら(2017) はファラデートモグラフィーを用いて、銀河の重力レンズ効果によって背景光源の放射が介在銀河の異なる位置を通過したファラデー深度の差から磁場を求める手法をとっている。この手法は高赤方偏移の銀河まで調べることが可能であり、電波シンクロトロン放射の観測では難しい銀河磁場の宇宙論的進化を探る将来の有力な方法として期待される。現在、ASKAPを用いた偏波全天観測(POSSUM)が始まっており、重力レンズ効果を受けた偏波源の検出が期待される。しかしながら、POSSUMでは重力レンズ天体を空間分解できない可能性がある。そこで、そのスペクトルから空間的に未分解なレンズ銀河のRM構造を取り出す手法として、QU-fittingと呼ばれる手法を用いた。結果として、空間分解できていなくてもそれぞれが経験したRMの平均や分散を得ることができた。