基本概念:
海外動向:
└ 米国
└ オーストラリア [TEQSAを中心とした制度的アプローチ]
└ 英国 [QAAを中心とした質保証とアカデミック・インテグリティ]
└ カナダ (準備中)
資料から読む:
└ TEQSA Academic Integrity Toolkitを読む
└ QAAのAcademic Integrityを読む:英国高等教育における共通枠組みとCharter
└ 米国の事例を読む:Stanford University(Honor Codeによる価値共有)
└ 米国の事例を読む:Vanderbilt University(学生運営のHonor System)
└ 米国の事例を読む:Stony Brook University(規程とAcademic Judiciary)
アカデミックインテグリティ(Academic Integrity/学問的誠実性)とは、学びや研究において、正直に考え、表現し、他者の知的貢献を尊重しながら、自分の成果に責任をもつための基本的な考え方である。
これは、単に「不正をしない」「盗用をしない」という規則の問題にとどまらない。引用の仕方、共同作業のあり方、データや資料の扱い、課題への取り組み方、評価の受け方など、学びと研究の過程全体に関わるものである。
国際的に広く参照されている団体の一つに、ICAI(International Center for Academic Integrity)がある。ICAIは、Academic Integrityを、困難な状況においても6つの根源的価値に基づいて行動することとして説明している。その6つの価値は、Honesty(正直)、Trust(信頼)、Fairness(公正)、Respect(敬意)、Responsibility(責任)、Courage(勇気)である。
この6つの価値は、生成AI時代の学びを考えるうえでも重要である。生成AIは、文章作成、要約、翻訳、アイディア出しなど、学習を支援する可能性をもつ一方で、提出された成果物がどこまで本人の理解や判断を反映しているのかを見えにくくする場合がある。
そのため、アカデミックインテグリティは、AIを「使ってよいか/使ってはいけないか」だけを決めるための概念ではない。むしろ、AIを利用する学習環境の中で、学習者がどのように考え、判断し、自分の成果に責任をもつのかを考えるための基盤である。
本サイトでは、アカデミックインテグリティを、不正防止のための規則としてだけでなく、学習者が自らの学び方を誠実に選択し、説明し、責任をもつための学習デザイン上の課題として捉え、どのように学習環境を構築していくことができるか考えていく。
本ページは、International Center for Academic Integrity[ICAI](2021)による The Fundamental Values of Academic Integrity(3rd ed.)の日本語参考訳である。原著はCC BY-NC-SA 4.0で公開されている。本訳はSIG-AIDが2026年に作成した非公式訳であり、原著から翻訳という変更を加えている。本訳もCC BY-NC-SA 4.0で公開する。原文と訳文に相違がある場合は、原文を参照されたい。
原著: International Center for Academic Integrity [ICAI]. (2021). The Fundamental Values of Academic Integrity (3rd ed.). ISBN 978-0-9914906-7-7.
原文URL: https://academicintegrity.org/the-fundamental-values-of-academic-integrity
原著ライセンス: クリエイティブ・コモンズ 表示—非営利—継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0) https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/
本翻訳のライセンス: 同上(CC BY-NC-SA 4.0) 翻訳: SIG-AID(2026年)
(以下、原著の全訳)
「アカデミックインテグリティの基本的価値」初版は、William and Flora Hewlett財団の手厚い支援を受けて作成され、その編集上の指導にあたったSally Cole、Larry Hinman、Elizabeth Kiss、Jeanne Wilsonの各氏に謝意が示された。初版は、イリノイ州デスプレーンズのOakton Community Collegeによって制作された。
2014年、International Center for Academic Integrity(ICAI)は、組織の変化を反映するとともに設立20周年を記念して、「アカデミックインテグリティの基本的価値」を改訂した。第2版は、当時ICAIが置かれていたClemson大学のRutland Institute for Ethicsによって制作された。
International Center for Academic Integrityによる「アカデミックインテグリティの基本的価値」第3版は、クリエイティブ・コモンズ 表示—非営利—継承 4.0 国際ライセンス(CC BY-NC-SA 4.0)のもとで利用可能である。 ISBN: 978-0-9914906-7-7(ペーパーバック)
書誌情報: International Center for Academic Integrity [ICAI]. (2021). The Fundamental Values of Academic Integrity. (3rd ed.). www.academicintegrity.org/the-fundamental-values-of-academic-integrity
International Center for Academic Integrity(ICAI)は、2018年にデラウェア州で設立された501(c)(3)の慈善非営利団体である。ICAIは、倫理的な機関と社会を促進するため、世界中の学術コミュニティにおいてインテグリティを育んでいる。
はじめに
6つの基本的価値
正直
信頼
公正
敬意
責任
勇気
アカデミックインテグリティの文化をどのように築くか
リソース
謝辞
概して、International Center for Academic Integrity(ICAI)は、学校において、また社会全体において、アカデミックインテグリティと倫理を促進するために存在している。そのためにICAIは、評価、リソース、コンサルテーションなど、さまざまなサービスを提供している。
ICAIは、インテグリティをめぐる重要な対話を促すことの意義を信じている。「アカデミックインテグリティの基本的価値」は、こうした対話を促進するために、また組織の中核的信念の表明として作成された。
「基本的価値」の最初の版(1999年)は、正直・信頼・公正・敬意・責任という5つの価値を含んでいた。2014年、6つ目の価値として勇気が加えられた。
2018年、International Center for Academic Integrityは独立した501(c)(3)非営利団体となり、理事会は「基本的価値」の第3版を作成すべき時期であると判断した。第3版は、6つの価値についての議論を引き継ぎつつ、これら6つの価値を実践に移し、教室において、機関のレベルにおいて、さらにその先において、アカデミックインテグリティの文化を築く助けとなる考え方を提示している。ICAIは世界中で会員を拡大し続けるなかで、多様な教育文化やエコシステムのなかで活用できる支援や事例を見出そうと努めている。
ICAIの目標は、本版が、こうした重要な対話を促進し、規模の大小を問わずさまざまな機関において、アカデミックインテグリティと学術的卓越性の文化へ向けた体系的な動きを支える、実践的な参考資料となることである。
なぜ基本的価値を明確にするのか
多くの教員・学生・職員・管理者がアカデミックインテグリティの原則を受け入れているのは、教育・学習・研究・サービスという目標が、倫理的な環境においてのみ達成されうることを知っているからである。にもかかわらず、学術機関が、インテグリティの原則へのコミットメントを、肯定的で実践的な言葉で明確に記述することはまれである。むしろ機関は、インテグリティの原則に反する行為を特定し禁止することによって、アカデミックインテグリティに対処しようとする傾向がある。ICAIは、アカデミックインテグリティの基本的価値を明確に述べることで、アカデミックインテグリティを、肯定的かつ実践的な形で枠づけようとしている。
ICAIは、アカデミックインテグリティを、困難に直面した場合にも、正直・信頼・公正・敬意・責任・勇気という6つの基本的価値を守ることへのコミットメントとして定義する。これらの基本的価値を受け入れることによって、教員・学生・職員・管理者は、インテグリティが判断と行動の基準となる、実効性のある学術コミュニティを築く。これらの価値がなければ、教員・学習者・研究者の営みは、その価値と信頼性を失う。基本的価値は、単なる抽象的な原則にとどまらず、倫理的な意思決定の能力と行動を方向づけ、それらを改善する役割を果たす。基本的価値は、学術コミュニティが理想を行動へと移すことを可能にする。
学術コミュニティは、その構成員が基本的価値を「生きる」、すなわち日々の行動において実践するときに発展する。そのためには、これらのコミュニティは基本的価値を喚起し、職員・学生・教員・管理者に対し、倫理的価値の役割と、それがキャンパスの内外における生活のさまざまな側面を方向づけ、改善する力について、繰り返し考え、議論するよう促さなければならない。社会の諸機関がインテグリティに満たされるとき、それらは市民文化全体をより強固なものにする。
正直 名詞
正直であるという性質。詐欺や欺瞞がなく、正当で、真実であること(注1)
正直は、インテグリティの不可欠な基盤をなし、信頼・公正・敬意・責任を完全に実現するための前提条件である。
正直は個人から始まり、より大きなコミュニティへと広がっていく。学生と教員は、知識を探究するにあたり、自分自身に対しても互いに対しても正直でなければならない。自習室でも実験室でも、図書館でも運動場でも教室でも、正直さを育み実践することが、生涯にわたるインテグリティの基盤を築く。
機関もまた、学生・教員・職員・支援者、そしてより広いコミュニティに対して正直であることにコミットしなければならない。組織のレベルにおける正直さが、学術的営み全体の基調を定めるからである。
価値として確立された正直は、信頼の発展を可能にし、促進する。信頼は、時間をかけ、経験をとおして蓄積されるものであり、言葉よりもむしろ行動の積み重ねの上に築かれる。
正直を示す方法:
真実を語る
著作物の所有者(音楽家・著作者・芸術家・講演者など)に功績を帰する
約束を守る
事実に基づく証拠を示す
客観性を目指し、あらゆる立場と自分自身の潜在的な先入観を考慮する
注1: merriam-webster.com/dictionary/honest, 2020年9月15日アクセス
信頼 名詞
人や物事の人格、能力、強さ、真実性に対する確かな信頼(注2)
誰か、または何かの真実に依拠しうることは、学術的探究の基本的な柱であり、学術的営みの必要な基盤である。学術コミュニティの構成員は、学生の学修成果物であれ研究であれ、その営みが偽られておらず、基準がすべての人に公平に適用されていることを信頼できなければならない。信頼があってはじめて、私たちは新たな探究を他者の研究の上に基礎づけ、自信をもって前進することができる。信頼は、学生と研究者が、恐れることなく協働し、情報を共有し、新たな考えを自由に流通させることを可能にする。
信頼は相互的である。他者の信頼に値することと、自らが他者を信頼できることとは、表裏一体である。
学生は、正直に取り組み、十分に考えた、本人による真正な学修成果物を作成することによって信頼を育む。教員は、課題について明確な指針を定め、学生の学修成果物を公平・迅速かつ率直な方法で評価することによって信頼を育む。
信頼は、明確で一貫した学術基準を定め、その基準を確実かつ公平に適用し、正直で公正な研究を支える学校によって育まれる。
学術コミュニティの外部においては、信頼は、コミュニティが学術研究・教育・学位を尊重し依拠することを可能にする。信頼のコミュニティは、参加者が他者を公正と敬意をもって扱い、また扱われることを期待できる環境を作り出すことによって、協力を生み出す。
信頼を示す方法:
期待を明確に述べ、それをやり遂げる
価値・プロセス・成果における透明性を促進する
他者を信頼する
信を置く
相互理解を促す
真正さをもって行動する
注2: merriam-webster.com/dictionary/trust, 2020年9月15日アクセス
公正 名詞
公正であるという性質または状態。とりわけ、公正または公平な扱い、いずれか一方への偏りのなさ(注3)
公平な扱いは、倫理的なコミュニティを確立するうえで不可欠な要素である。それは、真実・思想・論理・合理性の重要性を補強するからである。公正の重要な構成要素には、予測可能性、透明性、そして明確で合理的な期待が含まれる。
教員・学生・管理者・職員を含む学術コミュニティのすべての構成員は、公正な扱いを期待する権利と、他者を公正に扱う義務をもつ。
教員は、模範を示して導き、期待を明確に伝え、不正直に対して一貫して対応し、アカデミックインテグリティの原則を確実に堅持することによって、学生・同僚・機関に対して公正である。
学生は、自分自身のオリジナルな作品に取り組み、借用した作品を適切に明示し、アカデミックインテグリティの方針を尊重し堅持し、機関の良い評判を保つことによって、公正を実践する。
管理者と職員は、インテグリティのコミュニティを確立し育むことを助け、学生・教員・職員・卒業生・機関を敬意をもって扱う、明確で有用かつ公正な方針を提供するとき、そのコミュニティに対して公正である。
不正直やインテグリティの侵害に対する、公平・一貫・公正な対応は、教育上の公正にとって基本的である。正確で公平な評価もまた、教員と学生のあいだに信頼を確立することによって、教育プロセスにおいて重要な役割を果たす。
公正を示す方法:
規則と方針を一貫して適用する
他者と公平に関わる
開かれた心を保つ
客観的である
自分自身の行動に責任をもつ
注3: merriam-webster.com/dictionary/fairness, 2020年9月15日アクセス
敬意 名詞
高い、または特別な尊重・評価。尊重されているという性質または状態(注4)
学術コミュニティにおける敬意は相互的であり、他者だけでなく自分自身への敬意を示すことを求める。自分自身への敬意とは、自らの価値を損なうことなく困難に立ち向かうことを意味する。他者への敬意とは、意見の多様性を尊重し、考えを問い直し、検証し、洗練させる必要性を認めることを意味する。
学術コミュニティは、コミュニティの構成員に対して、また表明される多様で時に相反する意見に対して敬意があるときに成功する。最も活力があり生産的な学習環境は、活発な参加を育む。それには、厳密な検証、活気ある議論、そして考えをめぐる生き生きとした意見の相違が含まれるが、それらは、意見を述べる人々への礼節と丁重さによって和らげられている。
学生は、自らの教育に積極的な役割を果たし、議論に貢献し、他の視点に積極的に耳を傾け、自分の能力を最大限に発揮することによって、新たな知識を得る機会を尊重し活用するとき、敬意を示す。
教員は、学生の考えを真剣に受け止め、学生を個人として認め、その考えの発展を助け、作品に対して十分で正直なフィードバックを与え、学生の視点と目標を尊重することによって、敬意を示す。
学術コミュニティの構成員はさらに、出典の適切な明示と引用をとおして、他の研究者の知的貢献を認めることによって敬意を示す。すべての構成員が敬意を示し享受する環境を育むことは、個人の責任であると同時に集団の責任でもある。
敬意を示す方法:
積極的傾聴を実践する
フィードバックを進んで受け入れる
他者の思考や考えにも妥当性があることを受け入れる
共感を示す
開かれたコミュニケーションを求める
他者を肯定し、違いを受け入れる
自分の言動が他者に及ぼす結果を認識する
注4: merriam-webster.com/dictionary/respect, 2020年9月15日アクセス
責任 名詞
責任があるという性質または状態。道徳的・法的・精神的な説明責任。信頼性、頼りにできること(注5)
インテグリティの価値を堅持することは、個人の義務であると同時に、共有された関心事でもある。学術コミュニティのすべての構成員――一人ひとりの学生・職員・教員・管理者――は、その学識・教育・研究・サービスのインテグリティを守ることについて、自分自身に対しても互いに対しても説明責任を負う。
共有された責任は、変化を生み出す力を分かち合い、増幅させる。責任あるコミュニティは、無関心を乗り越え、集団のアカデミックインテグリティ基準を堅持するよう他者を鼓舞することができる。
責任があるとは、不正に立ち向かい、否定的な同調圧力に抗い、肯定的な模範となることを意味する。責任ある個人は、自分自身の行動について自らに説明責任を課し、他者による不正行為を抑止し防ぐよう努める。
責任ある教員は、教室や機関の方針を作り実施するだけでなく、これらの方針をめぐる期待を明確に伝える。彼らは約束を守り、自分自身および自機関の方針を遵守する。
同様に、責任ある学生は、教室や機関の方針についての情報を得て理解しようと努める。彼らはこれらの方針に従い、理解できない、または同意できないときには問いを発する。
責任ある機関と管理者は、教育プロセス、機関の方針、さらにはその資金源や課外活動までもが、機関の使命と長期的ビジョンに整合するよう努める。
責任を示す方法:
自分の行動について自らに説明責任を課す
沈黙のほうが容易であっても、他者と困難な対話に関わる
機関の規則と行動規範を知り、それに従う
個人的な境界を作り、理解し、尊重する
課題と期待をやり遂げる
良い行動の模範となる
注5: merriam-webster.com/dictionary/responsibility, 2020年9月15日アクセス
勇気 名詞
危険・恐れ・困難に対して、あえて挑み、耐え忍び、立ち向かう精神的・道徳的な強さ(注6)
勇気は、それに先立つ基本的価値とは異なり、より人格の資質ないし能力に近いものである。しかし、それぞれの価値と同様に、勇気もまた実践し、発達させることができる。
勇気はしばしば、恐れがないことと解釈される。しかし実際には、勇気とは、恐れがあってもなお自らの価値に従って行動する能力である。
勇気があるとは、自らの信念に従って行動することを意味する。知的能力と同じく、勇気は、それが試される環境においてのみ発達しうる。したがって、インテグリティを備えた学術コミュニティは、必然的に、選択を行い、そこから学び、成長する機会を含む。この反復的なプロセスをとおして、勇気と、アカデミックインテグリティの他の5つの価値は、互いに織り合わされ、相互に依存し合う特性として発達しうる。
勇気を示す学生は、悪い成績や、仲間その他からの報復といった否定的な結果を招く危険を伴う場合でさえ、自分自身と学友に対して、アカデミックインテグリティの最も高い基準を課す。
教員のあいだでは、勇気は、他の5つの価値によって定義されるインテグリティの文化を維持することについて、自分自身・学生・他の教員に説明責任を負わせようとする意志として現れる。勇気ある教員はまた、方針を使命とビジョンに整合させ、インテグリティを育む環境を支えることについて、機関と管理者にも説明責任を負わせる。管理者についても同様である。
学術コミュニティの構成員は、インテグリティを体現する決定を下すことを学ばなければならない。そして、それらの決定を行動に移すために必要な勇気を示さなければならない。勇気を発揮することによってはじめて、責任があり、敬意があり、信頼でき、公正で、正直な、そしていかなる状況に直面しても耐えうるほど強いコミュニティを作り出すことが可能になる。
勇気を示す方法:
周囲の人が行動しないときにも、勇気をもって行動する
不正に対処するために声を上げ、同じように行動する他者を支える
自分が信じることのために、不快な状況にも耐える
インテグリティを守るために、ひるまない
リスクを引き受け、失敗する可能性も受け入れる意志をもつ
注6: merriam-webster.com/dictionary/courage, 2020年9月15日アクセス
ICAIは、世界中の学術コミュニティにおいてインテグリティを促進し、その努力をとおして、倫理的な機関と社会全体を促進しようとする国際的な組織である。当組織は、この営みの文化的側面を認識し、世界中の学術機関・組織と協力・提携し、インテグリティの盟友のネットワークを築くことを誓う。この営みの一環として、ICAIは、インテグリティの文化を育もうとする組織の指針となりうる、アカデミックインテグリティ分野の新たな研究と動向を共有する。
機関のレベルにおいて、インテグリティの文化は、組織の根底に、基盤的な要素として存在する。そのような文化を築くには、組織の上層・下層、そして全体にわたる行動とコミットメントが必要である。教育におけるアカデミックインテグリティの基本的価値を促進するには、高いインテグリティの基準を、教育上の使命、さらには思いやりや配慮と両立させることが求められる。
成功したアカデミックインテグリティ・プログラムのプロセスと実践に対する30年にわたる注目は、学術コミュニティにおけるプログラム開発について、以下の推奨事項を示している。
インテグリティの風土を確立するための「万能の」公式は存在しないが、いくつかの手順を踏むことで、成功の可能性を最大化することができる。
機関は、以下を行うべきである:
アカデミックインテグリティの文化が、機関の使命とビジョンの達成をどのように支えるのかを、明確かつ定期的に説明する。
期待がコミュニティ文化の不可欠な構成要素として十分に理解されるよう、コミュニティのすべての構成員に対してアカデミックインテグリティの基準について教育する。
自機関におけるインテグリティの認識を定期的に評価する。
学生が実践し、間違い、そこから学ぶ機会をもてるよう、実証された能力と学習成果を含むように教育方法を再構想する。
教員が肯定的な教育環境を作り、教室でインテグリティを促進することを助けるため、学内の連携・協働を確立する。
効果的に理解可能で、手続き上健全で、一貫して実施できる、明確で公正なアカデミックインテグリティの方針・手続き・声明を策定し、周知する。
キャンパス・コミュニティのあらゆる層のあいだで、アカデミックインテグリティの肯定的な側面を促進する。(提案についてはオンラインのリソースを参照のこと。)
アカデミックインテグリティの方針が、一貫し、公平で、透明であり、その目的に照らして効果的であり、分野の変化(例えば、新技術や進化する不正の手法)に対応し、教育的で、その射程において将来を見据えたものであることを確保するため、方針を定期的に見直す。
方針に従い、基準を堅持する人々を支援する。
学術的不正直への誘因を減らすため、機関全体で教育方法を再評価する。
チュータリング・センター、ライティング・ラボ、カウンセリング・サービス、アクセシビリティ・サービスなど、学生の成功を促す支援サービスを作り、促進する。
リソースが乏しいときでさえ、これらの目標に機関のリソースを充てる。
機関は、それぞれ異なる環境、異なるコミュニティ、異なるニーズのなかに存在する。その結果、各機関のアカデミックインテグリティ・プログラムの詳細は、互いに異なるものとなる。しかしいずれの場合も、方針・手続き、コミュニティの基準、そして日々の行動のあいだの関係は、機関の使命・ビジョン・価値と、整合し、一貫し、両立するものであるべきである。
教員と職員は、これらの機関レベルの方略を、個々の教室・学科その他の学術単位のなかで適応させ、変化を垂直方向にも水平方向にも推し進めることができる。
全面的な文化の変革は困難であり、時間をかけてゆっくりと生じる。文化の変革を成功させるには、忍耐と、学生・教員・職員・管理者・機関、そして社会全体の継続的な関与が必要である。
International Center for Academic Integrity(ICAI)は、会員機関に対して、効果的なアカデミックインテグリティ・プログラムを開発するための支援とリソースを提供している。ICAIは、更新されたリソースの一覧をウェブサイト上で維持しており、www.academicintegrity.org/resources で見ることができる。
ICAIはまた、以下を提供している。
コンサルティング・サービス: ICAIは、アカデミックインテグリティの専門家集団を擁しており、彼らは、会員組織・機関がアカデミックインテグリティを評価し、インテグリティの文化を高めうる方略を特定することを支援できる。
アセスメント: ICAIは、会員組織が自らのインテグリティの文化を評価するためのいくつかの機会を提供している。これには、機関のベンチマークとして比較データ分析を提供できる、研究水準の調査であるICAI McCabe Student Survey of Academic Integrity が含まれる。
会議とウェビナー: ICAIは毎年、さまざまな会議やウェビナーを主催し、世界中の組織のアカデミックインテグリティの研究者と実務者を集めて、最新の成果を共有している。当組織は、ICAI地域コンソーシアムをとおした地域会議と、年次会議を後援している。
講演とワークショップ: 学校や大学全体のための方針づくりから、不正直に抗する学習環境の構築まで、ICAIの専門家は、対面でもオンラインでも、カスタマイズされた講演やワークショップを行うことができる。
International Center for Academic Integrityは、「アカデミックインテグリティの基本的価値」の本改訂への貢献に対し、以下の個人と組織に感謝する。
Azalea Hulbert ICAI理事。米国・West Virginia University、Office of Academic Integrity ディレクター
Amanda McKenzie ICAI理事・書記。カナダ・University of Waterloo、Quality Assurance(Academic Programs)ディレクター
James Orr ICAI理事・会計。米国・University of Memphis、Vice Provost for Academic Affairs and Strategic Enrollment
Camilla Roberts ICAI理事・会長。Kansas State University、Honor and Integrity System ディレクター
academicintegrity.org
International Center for Academic Integrity(ICAI)は、倫理的な機関と社会を促進するため、世界中の学術コミュニティにおいてインテグリティを育んでいる。ICAIは、会員機関に対して、評価サービス・リソース・コンサルテーションを提供し、インテグリティをめぐる重要な対話を促進している。当センターは、その目的を共有するすべての人々の参加と関与を歓迎する。
センターの詳細については、ウェブページ www.academicintegrity.org を参照のこと。
原著は、クリエイティブ・コモンズ 表示—非営利—継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)のもとで公開されている。