喚起的組み写真とは、フィールドワークで撮影された複数の写真を空間的に並べることで、それらの写真どうしの潜在的な関係を引き出し、その写真に固有なフィールドについての理解を喚起することを目指す組み写真です。それは一見、取るに足らない出来事やありふれた風景を収めたような写真を、乱雑に並べられたものに過ぎません。しかし、写真に写っているものやその雰囲気、他の映像との関係を丁寧に辿っていけば、それぞれの写真を見ているだけでは明らかにならない仕方でフィールドがわかるはずです。
そして私たちは、人類学的なフィールドワークもきっと、フィールドで出会う無数のイメージを結びつけ、そこからのみ可能な思考を生み出すことだと考えています。
そのため私たちは、そうした組み写真の制作に取り組むとともに、人類学的な思考の発信の方法として組み写真の展示を行なっています。これは「喚起的映像」と対になるプロジェクトとして進められています。
1. 写真を選ぶ
フィールドワークを通して撮影された写真をぼんやり見て、「気になるもの」を選んでいきます。一見よくわからないものや取るに足らない出来事を写した写真も、よいと思ったならば選び出します。
2. 写真をだいたい並べる
気に入った写真を平面に「直感的」に並びかえていきます。すなわち、「写真を通してこれが言いたい!」という目算や、「あれは宗教、これは芸能」といった人類学で普通に使われるカテゴリーをできるかぎり持たないようにします。むしろ、写真から受けとる印象や感覚をもとに、似た写真は近くに、違う写真は遠くに置きます。
3. 写真を並べてしまった理由を考え、並び直す
写真を並べ終えたら、自分が並べた写真がどのようなグループを作っているか、グループどうしがどんなふうに結びついているか、といったことを考え、まとまりや関係に名前をつけます。 いったん自分が何を考えて写真を配置していたのかがわかったら、それをより適切に伝えられるように、写真を並び替えます。
4. 他の人の見え方を反映する
組み写真を見せながら、その意図を他の人に説明してみます。そうすると、組み写真がどんなふうに見えるか、どうすれば意図がよりよく伝わるかが明らかになっていきます。それにあわせて写真の順番を入れ替えたり、説明を考え直したりします。
準備中
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