基調講演
『環境教育学から自然保育学に期待すること』
基調講演
『環境教育学から自然保育学に期待すること』
能條 歩 氏
環境教育学と自然保育学には多くの接点があり、幼児の自然体験に関する研究論文は環境教育学会誌にいくつも見られる。しかし、環境教育学は学童期以降の環境教育の体系・系統について未だ明確なものを示せておらず、幼児教育に関してはその“特殊性”を踏まえた研究テーマの設定や研究手法の確立もなされていない。そのため、重要視されているにもかかわらず、「幼児にとっての環境教育とは何か?」「教育として行う幼児の自然体験とはどのようなものか?」など、自然保育の意義や方法にも大きな関わりのある話題に関して十分に語れる状況にはないため、生涯教育や持続可能な未来づくりという観点からの保育学界との議論に大きな期待がよせられている。そこで今回は、まずこれらの議論を行うにあたって重要なポイントである環境教育学の視座から見た “幼児教育の特殊性”を考えることとし、今後の議論の足掛かりとしたい。