晴れて建設業の許可を取得された皆様、おめでとうございます!
しかし、脅すわけではありませんが、許可を取得することで、これまでには意識する必要のなかった制限が課せられることになります。
また、これから公共事業の入札をやっていきたい、法人成りを目指したいという方も少なくないと思われますが、そのために気を付けておくべきこと、準備しておくべきことがあります。
皆様の建設業の発展・継続のために、最低限知っておいて頂きたいことをここに記しておきました。
ぜひ、お目通し下さい。
建設業許可業者になってまず気をつけなければならないのが、決算変更届です。
事業年度終了変更届と呼ばれることもあります。
これは、その許可業者の最新の会計情報や工事実績、健康保険等の加入状況を行政庁が確認するために
義務として許可建設業者に課されるものです。
提出期限は決算終了後4ヶ月以内となっており、個人事業主や一人親方の場合は、12月末日が決算日となっているので、4月30日が決算変更届の届出期限となります。
滋賀県の場合、提出書類は以下の通りです。
県様式第 1 号(決算)
様式第 2 号
様式第 3 号
財務諸表
事業税の納税証明書
事業報告書(株式会社のみ)
上記の提出書類を基本として、事業年度内になんらかの変更等があった場合には、適宜追加書類が必要となります。
決算変更届がきっちりと提出されていないと、5年ごとに訪れる更新や、業種追加の申請が受け付けてもらえなかったりすることになります。
ちなみに、これは法律に定められた義務ですので、提出を怠ると、6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金となっております。
提出を失念してしまったから即座に処罰を受けるといったものではありませんが、上記の更新や業種追加ができないというのは建設業を行なっていく上で死活問題です。
決算変更届は間違いなく期限を守って提出しておきましょう。
上記の決算変更届の他にも色々と気をつけておかなければいけない変更届が存在します。
例えば、事案発生から30日以内に届け出なければいけないものとして、以下のようなものがあります。
商号または名称の変更
営業所の名称・所在地 等の変更
営業所の新設
営業所の業種変更
営業所の廃止
などです。
さらに、事案発生から2週間以内の届出が求められるものとして、
営業所長の変更
経営業務の管理責任者 の変更
専任技術者の変更
欠格要件の該当
などが挙げられます。
日々の業務で多忙を極める中、2週間以内の届出というのはなかなかにシビアです。
上記以外にも届出が必要な事項がありますので、事業上なんらかの変更があった際には、なるべくお早めに行政書士にご相談されることをお勧めします。
建設業の許可を取得すると、それ以降請け負った工事に関して、建設業法第40条の3に定められた帳簿を営業所に備え付けておかなければいけません。
その記載事項は以下の通りです。
営業所の代表者の氏名及びその就任日
注文者と締結した建設工事の請負契約に関する以下の事項
請け負った建設工事の名称、工事現場の所在地
注文者との契約日
注文者の商号、住所、許可番号
「注文者から受けた完成検査」の年月日
「工事目的物を注文者に引き渡した」年月日
発注者と締結した住宅の新築工事の請負契約に関する次の事項
当該住宅の床面積
建設業者の建設瑕疵負担割合
発注者に交付している住宅瑕疵担保責任保険法人
下請契約に関する事項
下請負人に請け負わせた建設工事の名称、工事現場の所在地
下請負人との契約日
下請負人の商号、住所、許可番号
下請工事の完成を確認するために「自社が行った検査」の年月日
下請工事の目的物について「下請業者から引き渡しを受けた」年月日
結構な記載量ですが、法律で定められた記載項目ですから、これに従って、工事毎にきっちりと正確に記帳のうえ、保存しておく必要があります。
これは、請負代金の多寡に関係なく、すべての工事に適用されますので、ご注意ください。
また、この帳簿には契約書等の添付書類、帳簿と同様に保存しておかなければならない書類(完成図等)も法で定められています。
許可建設業者として、これらの事務を漏れなく実施していくことが求められます。
法律というのは頻繁に改正が行われるものです。
それは建設業法をはじめとした建設関連法令も例外ではありません。
例えば、令和5年1月1日より施行されたものとしては、特定建設業の許可が必要な下請代金が4,000万円から4,500万円に引き上げられたというものがあります。
日々、ご自身の業務をこなしながら、様々な法改正が行われていくのを追いかけていくのはかなり厳しいものがあります。
しかし、しっかりと把握しておかなければ、最悪の場合はうっかり法令違反を犯していたなどという事態になりかねません。
逆に、自分にとって有利で活用できる改正があったのに気づいていなかったというケースもあります。
なるべくアンテナを張って情報収集していく能力が求められます。
このページの最初にも申し上げましたが、ここに書いてあることは、建設業の許可を取得された事業者様にとって、把握し、かつ実践しておかなければならない最低限の項目です。
もし、通常業務と並行してきっちりやっていく自信がない…と思われた方は、当事務所公式LINEより、お気軽にご相談ください。
しらぬひ行政書士事務所から、建設業者様へのお知らせでした。